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マーシャル・トーク

2010年3月 1日 (月)

ルーク篁、マーシャルを語る <後編>

後編はドップリとマーシャルに対する想い、そしてギターを練習する人たちに有意義なメッセージを送ります。

一番最初のマーシャル

M:一番最初に入手したマーシャルは?
L:え~と、あれですね。聖飢魔IIに入ってからですね。大人になってから。
Img_0366 M:エ~?でも我々の世代はそうかな?何年?
L:そうなかなか買えませんでしたよ!あれは1987年ですね。同じ事務所にプリズムがいて、和田アキラさんが楽器店に委託で出しているマーシャルを見つけてそれを直接売ってもらったんですよ。今でもありますよ。
M:100W?
L:イヤ、1987でした。マスターボリュームが付いています。
M:それとジェイルさんのマーシャルはシャラさんの持ち物だったとか?
L:そうそう!相当無理を言って譲ってもらったらしい。でもさ、あの頃ってヘッドの大きが2種類あるなんてことも知らなくて…。知った後は「大きいの(1959)」とか「小さいの(1987)」なんて呼んでましたよ!
M:モデルネーム何て関係なかった。あるのは「2段積み」と「3段積み」の2種類。
L:そうだった!

ウルリッヒ・ジョン・ロート

M:ところで、去年ウリ見ましたよね。
L:ね~。
M:ウリ相当お好きなんですか?シェンカーとかかと思ってた。
L:ゼンゼン!もうスコーピオンズ大好きで。ウリがいたスコーピオンズ見に行きましたもん!
M:まだ大分幼いころだったでしょ?どうしてまた。
L:昔は僕フォーク少年で、NSPってあったでしょ。その天野さんがオールナイトニッポンをやってて、二部の、そこで「ロボット・マン」をかけてくれたんですよ。それで、ウワァ!ってなっちゃった。で友達が『In Trance』を買ってきてそれを聴いてブっ飛んじゃった!このギターってスゴイよな~って。もう「ダーク・レディ」の最初なんて何の音かわからないじゃないですか!アームなのかワウなのか。で、こないだのウリの来日公演でも途中でフィードバックを使ったソロがあったじゃない?まさにアレですよ!(興奮状態)

マーシャルのギタリスト

M:他に「マーシャルのギタリスト」といえば?
L:リッチーでしょ、ウリでしょ、あと誰だろうな~?ジミー・ペイジでしょ。
Img_0494 M:また極端にスタンダードですね!
L:ん~、やっぱり僕らの世代はそういう感じですよ。
M:ジェフ・ベックは?
L:ベックね~。いまだにJCM2000だもんね。
M:ん~、微妙。前回は1987を弾きましたからね。でもあの音。市販品ですよ。ウリの1959もウチから出したんですが…。
L:ちゃんとあの音だもんね!出ちゃうんだよね~。スゴイよね~、何ていうんだろうな、尋常じゃない音だよね。
M:パシーン、パシーンって。
L:そう…早い。よくアンプを選ぶときに「早い」かどうかって言うんだよね。(ジェイル)大橋なんかもそう。「VintageModernなんかいいんじゃない?」なんてすすめた時も「それ早い?」って訊いてた!って言ってもわからないかもしれないけど、要するにギターを弾いてすぐにポーンと音が出るかっていうこと。もっと言うと弾く前に音が出るっていうイメージ。
M:いわゆるレスポンス。
L:そう。それが素晴らしいのがマーシャル!そしてレスポンスが早いのがああアンプなんですよ。

マーシャルのルックス
M:マーシャルのルックスについてはいかがですか?
L:僕にとっては完璧なものなんです。黒白金。この3色がそろっていればもうマーシャル。もうImg_7437 「家具」と言ってもいい!
M:それで並べるとカッコいいじゃないですか。
L:そう、黒白金でね(爆笑)
M:他のアンプはいかにズラリと並べてもあの雰囲気は出ない。不思議ですよね。
L:絶対無理。不思議だよね。絵になるのはマーシャルだけ。
M:ところが最近はあんまり積まない。
L:残念だよね。
M:CANTAでやりましょうよ!

2203KKについて
M:ルークさん2203KKもお持ちですよね。でもお使いになられているところを見たことないん2203kk_front ですけど…。
L:イエイエ、レコーディングで使ってますよ。CANTAのレコーディングは2203KK。それから聖飢魔IIの一番新しいのもこれで録ってます。
M:歪み一発?
L:そう。メチャクチャいい!ビックリしたもん。レスポンスは早いし、The Beastもすごいし!
M:The Beastをオンにしてお使いなんですね
L:はい。このノイズ・ゲイトの音の切れ方とかカッコいいんだよね~!

マーシャルに望むこと

M:マーシャルに望むことはありますか?
L:うん、まずはルックス。このまま永遠にこのルックスでこの雰囲気を出し続けて欲しい。そして、ずっと「早い」アンプでいて欲しいな。早くて太いマーシャルなら僕は一生ついて行きますよ!

ルーク篁からのメッセージ

M:最後にギターを練習している方々に何かメッセージをいただけますか?
Img_0447 L:ギターを今現在練習している人はギターが好きなんでしょうからもうその時点でOKだと思います。ギターに立ち向かっているというか…。そこから先、上達するにはどうするのか…いろんなやり方があるし、今は教則DVDや教則本などうまくなるための道具が山ほどあるわけですが、最も重要なのは、自分がそれで続けられるのかということなんです。それだけって言ってもいい。上手になるコツというのは「続ける」ってこと以外にないんです。だから「いかに続けるか」ということを考えた方がいいんですね。どうせすぐにはうまくならないんだからイヤになるに決まってるでしょ?やめるのは簡単です。練習しない でうまくなる人は天才でスッと世の中に出ていくことができちゃう。でも、そんな人は滅多にいるわけない。上達して自分の音楽を作って世に出ようと少しでもおもっているのだったらもう続Img_7450_2 けるしかない。アドバイスは「がんばれ」しかないんです。
ロック・ギターの場合はもちろんそのお供にマーシャルがなければダメです、だってロックの歴史なんだから。この音とともに僕らは生きてきたわけ。ここ(マーシャル)から出た音を聴いて、これがロックなんだとか、これがハードロックなんだとか、これがスラッシュメタルなんだと か知ってカッコいいナァ~って思って来たんだもん。マーシャルが基本なんですよ。まず、これを押さえないとね。マーシャルがうまく弾きこなせなかったら次に進めない。この太い音を何とか弾きこなさなきゃいけない…これがロックなんですよ。とにかく1回は通らないとマズイです。1回弾いて「おかしいな、オレってこんなに下手だったかな?」とか「全然いい音じゃないじゃん!」とか思った場合は、もう1回弾いてみる。ま、これが何回か続くと思う。そうしているうちにここからあの素敵な音が出だすんですよ。不思議なもんでね。弾いているうちに自分の手や耳が工夫をしていくんです。そうやってうまくなっていく。マーシャルは必ずその努力に応えてくれるアンプなんです。

Img_7439_2

マーシャルのことはよく理解していただいているし、お話はお上手だし、もちろんギターテクは言うことなし。今までも色々な方にロードショウへの出演をお願いしてきましたが、ルークさんの会は忘れることのできない充実したイベントになったと思います。ルークさん本当にありがとうございました。また是非お手合わせ願います!また、最後までお付き合いいただきましたご来場の皆様に心から感謝申し上げます。甥っ子のたかし君によろしくお伝えください!

2010年2月26日 (金)

ルーク篁、マーシャルを語る <前編>

今回のルーク篁さんの『マーシャル・トーク』は去る2009年12月13日に開催されたマーシャル・ロードショウの模様を収録したものです。ルークさん、お話が滅法お上手で聴いているこちらも最高に楽しくて、何度もマーシャルとは関係ない話題に突入しました。その辺りも少々文字にしておきました。お待たせしました!前後編の2回にわたってお送りします。お楽しみください!

ニュー・アルバムについて

マーシャル(以下M):ニューアルバム『Green Horn』を発表されて、レコ発ツアーも完了。お疲Green_horn れさまでした。いかがでしたか、ニューアルバムの反応は?
ルーク篁(以下L):去年は(2008年)ベスト・アルバムしか出せなかったので、昔から聴いてくださっていらっしゃるファンの方々には1、2曲しかお聴かせできなかったんです。だから今度のアルバムは2年半ぐらいぶりらしいんです。
M:らしい?
L:あんまり自覚がないんですよね。だから待望のアルバムになったようです。そして、聴いてみると元気がよくていい感じだし、みんな「いいんじゃないですか」って。
M:おいしいエキス満載で…聴かせどころを無理やり詰め込んだとはいいませんが…。
L:アハハハハハ!(大爆笑)
M:失礼。ギターソロもバッチリ決まっていて素晴らしい。それでこのアルバムで使われたアンプがJVM410 H。これで全部録られたんですか?
Jvm410h_front L:そうですね。全部JVMだと思う。
M:思う?
L:(爆笑)イヤイヤ全部コレ。コレです。
M:よくミュージシャンってレコーディングの状況を覚えていらっしゃいますよね。「あの曲のあそこは何を使ってどのエフェクターをかけて…」とか。それなのに…。
L:ウッソ~!そうかな~?皆さん、そう?
M:たいていは…。
L:シャラさんも?
M:シャラさんは完璧に覚えていらっしゃいます。マイクの角度まで。それで、シャラさんもアースシェイカーのニュー・アルバムは全部JVMで録られました。
L:知ってる知ってる!シャラさん、最初JVM苦手だったんだよね!
M:アレ?人のことは覚えていらっしゃるんですね~?:(会場大爆笑)
L:将棋指しの方々なんかもモノスゴイ記憶力ですもんね。指した手を全部覚えちゃう。
M:それで千手先まで読んじゃう。でもミュージシャンも記憶力のよい人が多いですね。ルークさんも先日のポール・ディアノとか高見沢さんとかサポートされるときは暗譜されるわけでしょ?大変ですよね2週間で30曲覚えてこいなんてことも…?。
L:そう。でも覚えておかないとステージで格好つけられないじゃないですか。僕はね、うまいギタリストとは思っていませんが、そこそこ格好のついてるギタリストだと思ってるんですよ!(会場大爆笑&拍手)
M:マーシャル・ブログで色々な方に写真を撮らせていただいているでしょ。一発で気に入った写真が撮れる方と何枚撮ってもうまくいかない方もいらっしゃる。そこへいくとルークさんは撮った写真がみんなキマってる。一発で決まる。いつもカッコつけてるってことかもしれないけど…。(会場爆笑)
L:そうですか。でも僕はたくさんある写真の中でいいのが少ない方だと思うんですよ。
M:レベルが高いんじゃないんですか?
L:イヤイヤ、聖飢魔IIの頃から…エース清水なんかカッコいいわけですよ!でも僕は「コレじゃダメだネェ」みたいな。
Luke958 M:このお写真は?手裏剣?(爆笑)
L:きっと指輪を見せたいんですよ。
M:お、なるほど!
L:写真ってスタジオとかで撮られるの難しいですよ!すごい明るい所で、いいおべべ(ママ)着せてもらって、もちろんそれなりの顔をするんだけど…。突っ立てるだけじゃダメじゃない?それ考えると海老ちゃんなんかスゴイよね!(爆笑)モデルってスゴイよ。何もないところで、シャッターの音しかしないところでスゴイ笑顔でさ!普通できないっすよ!
M:だからといって海老ちゃんはこのポーズしないんじゃない?(大爆笑)
L:今日はこの調子いくよ~、3時間ぐらい!
M:大丈夫、大丈夫、このロードショウ、最長3時間半までやったことあるから!
L:エ~!(会場大拍手)

と、こんな調子でマーシャルとはまったく関係ない話でスタートしたルーク篁のロードショウ。新商品の紹介を交えルークさんにマーシャルについてたっぷり語っていただきました。

JVMについて

M:さて、1曲目をJVM410Hで弾いていただきました。JVMは現在のマーシャルのフラッグシップ・ライン。一番の高級機ですね。JCM2000の歴史を塗り替えるべく、最も歪んで、ギタリストが望む必要な機能をすべて搭載して、かといって無駄な機能はすべて排し、それでいてプレイヤーが使いやすい…という条件をすべて満たしたモデルなんです。
これ、フロントパネルにはツマミが28個、スイッチが8個付いているんですが、ゼンゼンややこしくないですよね?
L:ウン、ゼンゼン簡単で使いやすい。アンプの基本の機能だけでできているからね。
M:それで、さきほどの演奏を拝見しますと、ルークさん、チャンネルひとつしか使わない。OD2のREDモード。クリーン・トーンを出す時もギターのボリュームを下げるだけでチャンネルは変えませんでしたよね?他にもチャンネルがあるんだから使えばいいのに!
Img_0427 L:イヤ、これがいいアンプの証拠なんですよ!ギターのボリュームをフルアップした時にしっかり歪みきるアンプっていうのは世の中にいっくらでもありますよね。でも、ボリュームを絞っていった時に歪みがドンドンなくなってくるというアンプというのは実はそんなにない。それで歪みがなくなっていった時に音が細くなっちゃうアンプっていうのは山ほどある。マーシャルは歪みがなくなっていった時に音が太いまんまクリーンの音が残っててくれる。(なぜか大拍手!)
M:その通り!全く同じことをして音を作っている人がいます。
L:ホウ?
M:石原慎一郎さんです。SHARAさんもOD1のORANGEしか使わない。それでギターのボリュームを絞ってクリーンを作っていますね。
L:ウン、その方がストレートなんですよ。昔のギタリストってそうだったんですよねってあんまり言いたかないんですけど、表現の方法のひとつとしてボリュームの調節っていうのがあるワケなんだよね。1曲の中で静かでクリーンなアルペジオから盛り上がってウワーッと歪みのパートになる時、スイッチひとつでポンと音が変わるんじゃなくてボリュームを上げて歪ませていく…これって「抑揚」なわけじゃないですか。クレッシェンドっていうか。これはひとつの表現ですからね!これができないアンプはスイッチで音を切り替える。スイッチではクレッシェンドはできないんだよね。ポーンといっちゃうから。そこが、つまりボリュームの操作ってのがエレクトリック・ギターのひとつの醍醐味なんですよ。
Img_7457 M:要するにジミヘンですな。
L:そうね。あといつもは歪みきった音で弾いているんだけど、「このパートは少しだけ抑えたい」とかいう時がありますよね。それをスイッチでやろうとすると難しい。アンプが歪んでいないのと、アンプは歪ませておいてギターのボリュームを下げて歪ませないというのは全然違うからね。
M:レコーディングの時もそうされているんですか?
L:そうです。クリーンはクリーンで録ることもありますが、大体そうやって音を作っています。そうだな…『Green Horn』の中の「Go Faster! (×4)」の静かなパートはグッとギターのボリュームを下げてるんですよ。その後のワーって戻ってくるところはボリュームを上げてる。ちゃんとそういう音になっていますよ。
M:ああ~、今日はもうこれで終わりでもいいや。言いたいことルークさんが言ってくれるから…。でもね、いくらギターのボリュームをいくら操作しても音が反応してくれないアンプってもの世の中にはあるんじゃないですか?
L:あるある、たくさんありますよ。
M:ボリューム操作だけじゃなくてピッキングの強弱や角度、これらをキッチリ表現してくれなImg_0491 いと困るわけですよね。
L:その通りです。
M:その点、マーシャルは信頼できる?
L:もちろん!
M:それに安いし…。
L:そうなんですよ!マーシャルって絶対安い!

マーシャルとの出会い

M:我々…って言っていいですか?(会場笑)我々が若いころってマーシャルを弾くどころか、匂いすらかげなかった。
L:そうそう!世の中になかったからね。あっても楽器屋さんのショウウィンドウの中。試すことなんて到底できなかった。
Img_7448 M:ルークさんは幾つぐらいでギターを始めたんですか?
L:僕は10歳くらいかな?
M:早ッ!ご存知の方も大勢いらっしゃるとおもいますが、ま、昔はもう気が遠くなるぐらいマーシャルは高価だった。でも、ジム・マーシャルの方針もあって、また世の中も色々変わって今みたいに気軽に入手できるようになりました。
L:お会いしたいですね、ジム・マーシャル!
M:ルークさんのマーシャルとの出会いっていかがでした?
L:僕はフォーク小僧だったんですよ。姉貴がディープ・パープルのレコードを買ってきて…。
M:出た!「お姉さんのディープ・パープル」!このパターン多いんですよね~!
L:全部マーシャルでしたよね。それが出会い。このアンプを使うとこんなカッコいい音が出るのか~って思った。
M:「ライブ・イン・ジャパン」?
L:いや「マシン・ヘッド」だった。
M:でもあれってマーシャルの写真とか入ってましたっけ?
L:どうだったかな?ホラ昔はレコードなんてそう買えなかったじゃない?だから、ウチは「マシン・ヘッド」、アイツんちは「ライブ・イン・ジャパン」とかいって交流が広がって情報量も増えていいった。
Img_0356 M:パープルなんだ?ツェッペリンじゃなくて…。
L:もう完全にディープ・パープル。ツェッペリンみたいなブルースを基に延々に弾いていくみたいなものよりジョン・ロードの「ハイウェイ・スター」のソロの方がリリカルで美しくて好みだった。
M:やっぱりマーシャルに憧れた?
L:もうメチャクチャ憧れましたよ!目標。アレさえあれば何とかなる!…みたいな。
M:では生まれて初めて行った外タレのコンサートって覚えています?
L:ウン。Tレックス。
M:マーク・ボランがいた頃ですよね?それって相当おマセですよ。
L:だから姉貴ですよ。でも知ってる曲を演ったっていう印象がないんですよ。「ゲット・イット・オン」は演ったらしんだけど…。演奏の前に映画が上映されたんですよ。20分くらいの。もうそれの音が大きくて「ウワッ、すごい所へ来てしまった!」ってすごく驚いた。

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つづく

2010年1月15日 (金)

大谷令文、マーシャルを語る <後編>

弾いてみたいマーシャル
M:弾いてみたいマーシャルって何かあります?もし自由に古今東西のマーシャルが選べたら…。
R:ジミヘンがファーストで弾いたヤツ!(笑)誰か持ってんのかな~?
M:実際にジミヘンが使っていたマーシャルって工場に行った時に見せてもらったことがあります。ただのうす汚れた1959だった!でも、アンプの上面に「JH EXP」だったかな?白いステンシルが入っていたのがカッコよかったっていうか感動した。
Img_0950 R:さっきメイオールのバンドの持ち物って話があったけど、ソフト・マシーンの持ち物だったマーシャル!アラン・ホールズワースもジョン・エサーリッジも使ったマーシャル。
M:あの頃ジェフ・バーリンもマーシャルでしたもんね。ディ・メオラも。
R:そうだアル・ディ・メオラもそうだ。ソフト・マシーンのマーシャルは、ホールズワースのインタビューで読んだ記憶があるんだけど、『Bundles』のころのレコーディングはそのマーシャルで録ったって。
M:その後のホールワースは?ライフタイムの頃…。
R:やっぱりマーシャルだったみたい。少し新しいモデルだったらしいけど。UKもそう。ま、自分の持ち物ではなかったのかもしれないけど、あの頃はどこへ行ってもマーシャルだったからレコーディングも全部マーシャルになっちゃう。
M:ベースもね。
R:弾いてみたいなソフト・マシーンのバンドの持ち物だった50Wのマーシャル!(笑)絶対あんな音出ないな!マクラフリンもマーシャルだった。
M:そう!だから『Jack Johnson』や『Live Evil』もマーシャルで弾いていているのかと想像するとメチャうれしい!
R:絶対そうだよ!
M:「音デカイ!」ってマイルスに怒られたとかね!
R:そうやって考えるとジャズ/フュージョン系のプレイヤーもマーシャルが多かったよね。『Elegant Gypsy』の音なんか大好き。

マーシャルの素晴らしさ
M:ま、いまさらお訊きするのもナンですが、マーシャルの素晴らしさを言葉に表すと…?
R:レスポンスがピッキングに恐ろしく忠実ということ。左手についても弦がフレットをこする音まで表現してくれる。
M:でも他のブランドのアンプだってそうじゃない?
R:イヤ、こんな反応はない。なんかもっとオブラートに包まれた感じになっちゃう。そこへいくとマーシャルが出すのは一番ダイレクトな「素」の音がする。
M:なるほどね。
Img_0961 R:トーンもそう。ウォームな音からエッジが効いた音まで両極端な音が1本のギターで出せる。これがすごくいいことだと思う。僕はマーシャルって意外に器用なアンプだと思ってる。
M:マーシャルのクリーン・トーンってどう思います?
R:もう大好き!
M:マーシャルといえば「歪み」というイメージが定着しているけど…
R:違う違う!
M:…案外「マーシャルのクリーンが好き!」という人が多いんですよね。
R:ヘンドリックスだって「リトル・ウイング」なんか最高にビューティフルだし。
M:ウリが言ってましたが、実際のヘンドリックスの音ってメチャクチャ大きくてクリーンだったとか。
R:そうだろうな~。ポール・コゾフもそうだよね。ソロももちろん素晴らしいけど、コードワークの音。アレアンプに直だもんね。
M:ピーター・バラカンさんの本(『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック(ミュージック・マガジン社刊))』:マーブロでは別の機会にも登場しましたが、メチャクチャ面白い本です。超おススメ!)を読むと若いころはさしてうまくなかったとか…。でも、お金持ちだからいいギターをバンバン買えたらしくて。
R:うまくなかったって?!
3:子供の頃の写真を見るとジャズとか習ってそうだけど。お父さんは有名な俳優ですよね?
Dsc_6197 R:デヴィッド・コゾフ。
3:その写真を見ると七三に分けてレスポールとか箱物を持ってるんですよ。スゴイ高そうなヤツ。だから多分ジャズを習ってたんじゃないかと思った。
R:クラシック・ギターも習ってたらしい。
3:そうじゃないとあのコード・フォームはロックでは考えられない。
M:そういう話ってアメリカへ行って現地の人と話してもあまり盛り上がらないんですが、その点、イギリスは何度言っても非常にワクワクさせられます。マーシャルの連中と話をしていてもすごく盛り上がるんですね。それが生々しい!ビートルズを見ているおじいさんなんかは当たり前。
3:まさし(ロンドンで活躍中のブルース・ロック・ギタリスト。1962を愛用)が言ってたけど、ロンドンはせまーい世界にものすごくたくさんの人がひしめき合ってておもしろいって。

マーシャルに期待すること
M:これは令文さんには愚問かもしれませんが、今後マーシャルはどんな風になって行ってもらいたいですが?どんなことを期待しますか?1959の製造を続けろとか?
R:ああ、もうそれに尽きるね。(一同爆笑)リバーブが搭載されるともっとうれしいんだけどな~。

若い人たちへのメッセージ
M:若い方々にギターを弾くよろこびについて何かメッセージをいただけませんでしょうか?ギタリストにとって一番の見せどころであるはずのギター・ソロが最近はひどく疎遠になってしまいましたよね?
Img_0948 R:そうですよね。結局そういう楽曲を必要としていないということなんでしょうね。でもテレビなんかで流れているバンドものにはギター・ソロが必要じゃないかもしれないけど、もっとブルース寄りの音楽があったり、もっとフュージョン寄りの音楽があったりとか、いろんなジャンルの音楽が同時に存在しているのが当たり前の世界だから、もっと色々聴いて、他のジャンルの音楽を聴いてその要素を取り入れて自分たちの音楽に活かすということが大事なんじゃないかな?
M:そうですね。令文さんは本当に色々な音楽を聴いていらっしゃる。
R:ウン。僕はクラシック・ギターを聴くのも、ジャズ・ギターを聴くのも大好き。そして、ギターという楽器はメロディもコードも両方奏でることができて…しかも、ステージで走りまわりながら弾けるのもこの楽器のよさだし。
M:こんあ楽器めったにないですよね!
R:ないない!しかも。歌いながら弾けるし!(笑)

リズムは楽しい!
M:昔、ジャンゴ・ラインハルトに関する文章を読んでいて、「ギターを見たことのない人に「ホラ楽器だよ」といってギターを渡したら、一体その人はメロディを弾くか、リズムを刻むか?ジャンゴはリズムじゃないか?」なんてのがありました。
R:わかるわかる。でもソロがうまい人はリズム・ギターもたいていうまい。
M:こうして第一線のプロの方たちと接していていつも思うのはみなさん、本当にリズム感がスゴイなって。指が早く動くとかの前にみんなリズム感が素晴らしい。
R:リズムって楽しいものなんだよね。みんな「得意のリズム」っていうのを必ず持っていて、そDsc_6204 れを見つけられるかどうかっていうことが大事なんです。僕だったら三連系のシャッフルっぽいのが大好きで得意かもしれない。
M:確かに!「Razor Boogie」のイメージが強い!
R:(笑)三連は大好き。ところが若い人たちにギターを教えているとみんなシャッフル系が苦手。最近はあるように聞いたけど、考えてみるとここ何十年もの間シャッフル系のヒット曲ってなかったじゃないですか。だから若い人たちは聞いたことがほとんどなかったんじゃないかな?(♪シャッフル・リズムを刻みながら)こんなヒット曲ってないでしょ?
M:確かにそうですね。
R:僕はどうやって発見したのかな~?…たまたま得意なリズムを見つけられたからよかった。得意なリズムを見つけることがギターを練習を楽しくさせる秘訣かもしれない。
M:いつでもステイタス・クォーに入れますよ!
R:入りたい!
M:いまでも本国ではものスゴイ人気ですからね。白いマーシャル並べちゃって!
R:イギリス人ってシャッフル好きなんじゃない?ナザレスとか。(笑)

練習について
M:他に何かギターを練習している方々にメッセージはありませんか?
Dsc_6238 R:初めのうちはクリーンな音で練習するのがいいと思う。余計な歪みはない方がいい。
M:音量については?これも雑誌のインタビューで読んだのですが、ウリはなるべく小さい音Img_0949_2 で、一方エディはなるべく大きい音で練習すべきと意見が分かれていましたが…。
R:(大笑)それはあるよね!ま、ウリが言っているのは家でやる地味なスケール練習とかのことで、エディが言っているのはリフとかの練習ということでしょう。
3:イヤイヤ、音の大きさのスケールが欧米とかなり違うから参考にならないと思いますよ!(一同大笑)

造詣の深い人
M:今までずいぶんとたくさんのプロ・ギタリストの方とお話をさせていただきましたが、令文さんの 聴いている音楽の幅広さはその中でもトップ・クラスですね。フォルムラ・トレとか出てきた日にゃノケゾった!
R:プログレ好きですもん。友達から教わるのが多いんですよ。こないだもフィンランドの変なバンド見に行った。
M:何てバンド?
R:アラマーイルマン・ヴァサラット。チェロが2本入ってんの。
M:ウワ、見たかった!(後にインターネットで試聴しましたがメチャクチャかっこいい!令文さん、教えてくれてありがとう)
M:今日は色々と楽しいお話をありがとうございました。
R:いいえ、こちらこそ!

と割愛した部分も含めて脱線に脱線を重ねたインタビュー。楽しかった!色々な人と出会うことは色々な音楽と出会うことでもある。一度きりの人生、どうせなら色んな音楽を楽しんじゃおう!

2010年1月14日 (木)

大谷令文、マーシャルを語る <前編>

令文さんと音楽の話をするのは実に楽しい。今回はマーシャルについてたくさん語ってもらおうと思ったが、話が進むうちについついマーシャルから離れ、何度も音楽の話に大きく脱線してしまった。あまりにも脱線した部分は割愛させていただいたが、マーシャルの話、ギターのこと、練習のこと、そして音楽のこと…たっぷりと語ってもらいました。2回に分けてお送りする稀代のマーシャル弾き、大谷令文のインタビュー、ぜひお楽しみください。

マーシャルとの出会い
マーシャル(以下「M」):みなさんへの共通の質問です。マーシャルとの出会いはどんなでした、思い出してみるに?
大谷令文(以下「R」):ウ~ン(考えて)。リッチー・ブラックモアが好きだったんでミュージック・ライフのグラビア見たり…、イヤ、『ライブ・イン・ジャパン』のジャケットかな?Img_0943
M:でもあれって外も内もあんまりマーシャルは写っていない…。
R:輸入盤だったのかな?
M:『Made In Japan』?
R:レインボー・シアターの。
M:エ?
R:あのジャケットの写真は「レインボー・シアター(後日マーブロ『ロンドン・ロック名所めぐり』でレポートします)」で撮影したものだよ。
M:知らなかった!それからマーシャル歴といえば?
R:やっぱり好きになったギタリスト、ジミー・ペイジなり、ヘンドリックスなり、全部マーシャルだったからね。それに『フォーカス・アット・ザ・レインボー』。
M:お、またレインボー・シアター?!
R:ヤン・アッカーマンもあのときはマーシャルだよね。やっぱりマーシャルってスゴイんだナァって。
M:フォーカスはご覧になったんですか?
R:2回目に来た時見ました。
M:2回目ってフィリップ・キャサリンが来た時?
R:イヤ、ヤン・アッカーマンだったんだけど、もう『マザー・フォーカス』の頃だったから音楽が…。
M:メロウ?
R:そうそうそうそう。アンプもマーシャルじゃなくて、何かロータリー・スピーカーとか使ってた。あんまり感動しなかったな(笑)。

マーシャルのギタリスト
M:他に「マーシャル」で連想する名前ってどんなのが出てきます?
R:やっぱりレッド・ツェッペリン。今ではもういろんな情報が入ってきてレコーディングの時は違うアンプを使っていたとか知っているけど、当時のイメージとしては映画で見た3段積みにしていないマーシャル。印象的だった。
M:あの人は積みませんね。こないだもそうだった。
R:あ、あの再結成の時?
M:そう。どんどん積んじゃってもらいたいんですけどね。無条件で「マーシャル」と聞いて出てくる名前と言えば?リッチー?
R:イヤ、ヘンドリックス。
M:あ、そう?そういえばさっきからゲイリー・ムーアの名前が全然出て来ないのが少々意外なんですけど。
R:ゲイリー・ムーアはもっと後になってからかな。音楽を聴き始めたころはまだそんなに出て来てなかった。
Img_0951 M:初めにゲイリー・ムーアの名前を意識したのは?
R:ん~、コラシアムII。
M:いっしょだわ!『Electric Savage』?
R:そう。レコード屋へ行って「コラシアムの新譜」を見つけたら「II」になってた。んでギタリストの名前を見たら「ギャリー・ムーア」って…
M:そうそう、当時は「ギャリー」って表記してた。
R:どっかで聞いた名前だなって思って。知識として名前だけ知ってたのかもしれない。
M:イヤ、令文さんよくゲイリーの曲を演るからかなり初めの方に名前が出てくるのかと勝手に想像してた。
R:ん~、彼の場合、意外とアルバムごとに音色が変わっているからそんなに強烈なトーンのイメージってないんだよね。大好きだけど。でも、「マーシャル」っていうサウンドで印象が強いのはヘンドリックスであったり、リッチーであったり、いわゆるひと世代前のギタリストたちだよね。
M:エリック・クラプトン、つまりクリームは?
R:やっぱりいい音だなって思う。でも、僕が聴きだしたころにはもうクラプトンはレイドバックしてた。(笑)クリームは後になって聴いたんだけどライブなんかはすごい音だよね。

最初のマーシャルとマーシャル歴
M:一番最初に入手したマーシャルって覚えていますか?
R:ええ。19か20歳の時、知り合いから譲ってもらった50Wのマーシャルでしたね。多分1973年か1974年製だっと思いますけど。
M:キャビネットも?
R:ウン。ひとつ。
M:それにエフェクターをつないで使ってた?
R:結局オーバーフドライブみたいなものを使わざるを得なかった。初めて弾いたときは「エエっ!?こんなに歪まないの?」ってびっくりした。(笑)
Dsc_6343 M:ここんとこ皆さんそうおっしゃいますね~。それからのマーシャル歴と言えば…。
R:100Wに買い替えた。やっぱり新品ではなくて「オールド(註:そういえば、ギターやアンプが本格的に大量生産の時代に突入した1970年代の半ば頃から“古い楽器の方が現行品より音も質もいい”という風潮が猛烈に強まった。その当時はそういった古い楽器の呼称としては、まだ”ビンテージ”という言葉は全く使われておらず、”オールド”と呼ばれていました)」、1973年製くらいのものだった。そのまましばらく、マリノ時代もずっとそれを使っていましたね。何台か100Wも買ったり交換もしたけど全部70年代前半のものだった。ここ10年位は1969年の100Wです。
M:いつも使ってるヤツね?Dsc_6169
R:そうそう。イヤ、もう15年位になるか…。
M:っというともう初めからずっとスタックになるワケですね?
R:そうですね。それしかなかったし…。
M:その昔、マーシャルのコンボが日本に上陸した時、やっぱりスタックの印象が強すぎてコンボは普及しないのでは?と思われたらしい。
R:でもブラインド・フェイスのジャケットにはリハーサルの時の写真が載っててクラプトンがコンボのマーシャル使ってたよね。Bluesbreakerじゃないモデル。(註:現在の紙ジャケ見開きCDの内側に写っているのは1959 SUPER TREMOLOのハーフスタックしか見ることができません)
M:ブラインド・フェイスは69年?
第3の声(令文の友人、以下「3」):69年頃のコンボって1962しかなかったはず。ブルースブレイカーズ時代の1962はジョン・メイオールの備品だったらしいですからね。
R&M:備品?!(笑)
3:だからピーター・グリーンも同じマーシャルを使った。
M:じゃピーター・グリーンもマーシャルだったワケ?
3:あのときはそうですよね。
R:バンドの持ち物だから…。(笑)
M:最初のマーシャルを手に入れたのは30年位前?
R:(笑)もう、そうだね。
M:その頃はメチャクチャ高かった時代ですねよネ。
R:ウン。新品で買ったら大変。
M:待てよ、もしかしてずっとワン・ボリュームのモデルでマスター・ボリュームのモデルを使ったことない?
R:イヤイヤ、弾いたことはもちろんありますよ!(笑)でも持っていたことは一度もない。言い換えるとピン・スイッチのモデル以外は所持したことがない。

思い出のマーシャル
M:それでは、何か思い出のマーシャルってあります?「アレ欲しかったな~」とか「手放さなきゃよかったな~」とか。
Dsc_6347 R:イヤ、特にないかな。いつも自分の一番気に入ってるのが手元にあるからね。その時、その時自分の持っているものは手放したくない。
M:それは幸せですね。
R:でも最初の50Wはとても気に入ってたんだけど、お金がなくて売っちゃった。(悲)
M:お持ちのギターを見ててもそうだけど、元来、バンバン楽器を買い替えるようなタイプではいらっしゃらないんですね?特に新し物好きではない?
R:うん、そういうタイプではない。いまだに1959のプレゼンスを上げると音が変わったとか、スピーカー・ケーブルで音がどうなったとか発見が多いんですよ。だから僕には新しいものは特に必要ない。

セッティングについて
M:セッティングに関して特別なこだわりってあります?あまりいじくらない?
R:基本的にはいつも同じ。
M:ミドルは10にしなきゃ気が済まないとか…?
Img_0952 R:ミドルは10だな~。(笑)プレゼンスも上げ目。
M:やっぱり1959が一番?
R:一番!ワン・アンド・オンリー。音といい、見た目といい。自分のギタースタイルが、ピッキングといい、ボリューム・コントロールといい1959とともに成長してきたからね。他のブランドのアンプを使うと特にピッキングが自分のものじゃないような感じがする。
M:でも世の中にはアンプをジャンジャン取り替える方もいらっしゃる…。
R:ウ~ン、不思議で不思議でしょうがないな~。(笑)常にボリュームは10、ピッキングの力も10で弾いているのかな?
M:なるほどね!
R:1959に限らず基本的にナチュラルな歪みが出ないアンプでは右手でニュアンスを出すのが難しいと思う。自分のスタイルがもうそうなっちゃてるからね。

つづく

2008年11月10日 (月)

ポール・ギルバート、ニューアルバムとマーシャルを語る

あぁ、思わずまた聴いてしまった、ポール・ギルバートの新作『ユナイテッド・ステイツ(UNITED STATES:WHDエンタテインメント㈱』。親しみやすいメロディ、魅力的な歌声、そして手に汗握るギター・ソロ。ロックのおいしいところすべてを希代のギタリスト「ポール・ギルバート」というのフィルターを通して具現化した作品とでも言いましょうか。聴き応え十分の作品なのです!

United_states

そして、またしてもポール・ギルバート本人がマーシャル・ブログへのインタビューに応えてくれました。アルバムのこと、マーシャルのこと、そして自分の音楽のこと…ぜひお楽しみください!インタビューを読んだあとは『ユナイテッド・ステイツ(UNITED STATES)』聴きたくなっちゃうよ~!

VintageModern 2266C

YMT(以下Y):今回のレコーディングではどのモデルを使ったんですか?VintageModern 2266Cだけ?
Paul Gilbert(以下P):2266Cがメインだね。でもところどころHandwired 2061X1987Xも使ったよ。
2266c Y:また2266Cのセッティングをお訊きしてもいいですか?
P:もちろん!
BODY  7
DETAIL  6
TREBLE  6
MIDDLE  4
BASS  7
PRESENCE  6
MASTER VOL.  10
REVERB  0
MID BOOST  “ON”
DYNAMIC RANGE  “HIGH”
って感じだね。それと、家でレコーディングできるレベルに合わせてTHDのHot Plateを使った。そうすることによってKT66(2266Cのパワー管)から実に美しい倍音が生み出されるんだ。それと近所迷惑にもならないしね。(注:アッテネーターはマスターボリュームではありません。アンプを大音量にしてアッテネーターで極端に音量を絞る使用法はアンプにダメージを与えることがありますのでご遠慮ください)
Y:2266Cのマーシャルとはどの曲でナニを使ったんですか?
P:覚えている範囲では…「パリス・ヒルトンそっくり(Paris Hilton Look –Alike)」と「ウエイスト・オブ・タイム(Waste of Time)」のソロで1987Xを使った。レコーディングはアッという間に終わっちゃったんで細かいところは覚えていないナァ~。とにかくマーシャルを使って弾くことができて楽しかったよ!

ディストーションについて

Y:ディストーション・サウンドに関するセッティングについて教えてください。どうやってあの歪みを作っているんですか?アンプで?それとも結構ペダルを使います?
P:1987Xや2061Xを使う場合は時々短いケーブルでリンクしている。こうすると2061Xでは歪みが増すし、1987Xではウォームさが増すんだ。コントロールはどうしているかは正確には覚えていないけど、ボリュームは限りなくフルに近づけてアッテネーターを使っているんだ。
もう少しサスティンが欲しい時には、歪み系のペダルやコンプレッサーを使うこともあるよ。覚えているのはHBE CPR “Compressor Retro”か。

作曲とマーシャル、そして音楽

Y:この『UNITED STATES』はホントに全曲いいですね~。この中でマーシャルにインスパイアされて作った曲なんてありましたか?
P:「最後のロック&ロック・スター(The Last Rock and Roll Star)」みたいな曲をアコースティック・ギターを使って作るのは難しいんだ!ハードにロックする曲を書く時はマーシャルの素晴らしいトーンが間違いなくインスピレーションを与えて曲作りを助けてくれるんだ。
Paul_freddie Y:ギター・ソロはすべて完璧ですね!メロディアスで、ドラマティックでスリリングでトリッキー、構成もよく考えられている。まるでそれぞれがひとつの曲のようです。あれらは即興で弾いたんですか?それともあらかじめ考えてあったのですか?
P:それはフレディがコ・プロデューサーであったことに助けられたんだ。僕はエンドレスでソロを弾いていると迷子になっちゃうんだ。フレディはソロを聴いていてくれて、いいプレイをした部分を教えてくれるんだよ!すべて即興で弾き始めて、それから録ったものを聴く、そして構成し直すんだよ。
Y:ちょっと個人的な話になりますが、いつかマーシャルのパーティでご一緒させていただいた時、私はフランク・ザッパのような手の込んだ音楽が好きで、あなたはどちらかといえばシンプルなもの好みだという話をしましたね?その点この『UNITED STATES』はあなたが求めている音楽に合致しているのでしょうか?
P:僕の音楽は「複雑さ」や「シンプルさ」に根ざしたものではないんだね。僕はAC/DCが好きだし、アラン・ホールズワースも大好きだ。僕はフランク・ザッパの音楽を本当に好きになりたいと思っているんだ。なぜなら、「彼」という人間が好きだからね。フランクは知性的で、愉快で、創造的な人だったよね。でも彼の音楽は僕にはそうは共鳴しないんだ。なぜかはわからないんだけどね。失礼!
僕はフレディといっしょに作った『UNITED STATES』がとても気に入っているんだ。僕がリード・シンガーになろうとチャレンジした時、いろんな制限があったんだ。声はそんなに高くないし、声質がシンプルだったんだ。フレディといっしょだとその制限が吹っ飛んじゃうんだ!突然僕の音楽がダイナミックで自由なものになっちゃうんだ。(Photo Copyright : William Hames)

今後の方向性

Y:ホントにフレディの声は魅力的だし、Emiさんのプレイも素晴らしい、素敵なバンドですよね。一方ではあなたのインストの作品も同様に素晴らしいと思っています。この『UNITED STATES』の後はどちらの方向に進んでいくのでしょう?どちらに進もうとマーシャルを連れて行きますか?
P:新しいツアーやアルバムのアイデアがたくさんあるんだ。でも、それらが完成するまでそのアイデアを公にはしないつもりなんだ。新しいアルバムを発表することやツアーするということは世界中のみんなに対する僕からのプレゼントだという感じがするんだ。それに取り組んでいるうちはみんなにもらってもらいたくはない。きれいな箱に入れて包み紙で覆っておきたいんだ。そしてみんなにプレゼントするのさ!もちろん、僕の音楽を作るのにマーシャルを使うだろうね。最高のものが必要なんだ!
Y:アルバムでお気に入りの曲は?そしてお気に入りのギターソロは?
P:「パリス・ヒルトンそっくり(Paris Hilton Look –Alike)」がすごく気に入ってる。曲もギター・ソロもね。他はと言えば「バッド・タイムス・グッド(Bad Times Good)」、「最後のロック&ロック・スター(The Last Rock and Roll Star)」それと「アイム・ノット・アディクテッド(I’m Not Addicted)」ってとこかな。

2月に会いましょう!

Y:最後に、日本のファンへのメッセージとマーシャルについてひとことお願いします。
P:フレディと僕とで来年の2月に日本に行きます。これがフレディにとっての日本初体験になるので、みなさんの国を見て回ったり演奏することを本当に楽しみにしています。僕はみんなの前で新しい曲をプレイしたりフレディといっしょにはじめてステージに立つことを楽しみにしています。
そして、もしあなたがギタリストであるならば覚えておいてください、マーシャルがただの汎用品でないということを。ステージで爆音を弾く必要がある時のマーシャル・サウンドの美しさを聴いてごらんなさい、いいバンドがスタジオで使うときのマーシャルの音を聴いてごらんなさい。何十年にもわたって数え切れないほどのプロ・ギタリストがマーシャルを使ってきた理由があなたにもわかるはずです。マーシャルは「ホ・ン・モ・ノ」なんです。さぁ、ガツンと行ってみようゼ!!

★2月のフレディとの来日に先立ってポールのインストア・イベントが開催されます!こちらもお見逃しなく!!

詳しくはコチラ⇒WHDエンタテインメント公式ウェブサイト

2008年11月 6日 (木)

ウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)、マーシャルを語る~ウリがやって来るぞ!

こんな仕事をしていると幸運にもたくさんのプロ・ギタリストに接する機会があります。そんな折には当然音楽や好きなギタリストに話が及びます。そして、驚くほどたくさんのギタリストがこの人に影響を受けたとおっしゃいます。「この人」とは本日のメイン・キャスト、ウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)です。

そして、もうすぐ奇跡の来日!しかも、東京公演は30年前、スコーピオンズの『蠍団爆発 -Tokyo Tapes』をレコーディングした中野サンプラザホール。それだけにウリ自身も今回の来日は感慨が深いようです。

その来日公演に先立ちまして、ウリがマーシャル・ブログへのオリジナル・インタビューに応じてくれました。ウリが語るマーシャルへの想い、ジミ・ヘンドリックスのこと、いいアンプとは?…ぜひお楽しみください。そして、コンサート会場でお会いしましょう!

Uli

マーシャルとの出会い

YMT(以下Y):1960年代後半から70年代の前半、ドイツと日本のマーシャルに関する状況は大きく異なっていたと思います。はじめてマーシャルを知ったのはいつ、どうやって?

Uli Jon Roth(以下U):70年代の最初のころは確かにドイツでもマーシャルはどちらかといえば珍しい方だったと思います。まわりでマーシャルを使っているバンドはほんのわずかでした。イギリスのバンドはすでにマーシャルを使っていました。ドイツではジワジワと広がっていった感じでしたね。当時はもっと小さいアンプが主流でしたね。

Y:あなたにとって一番最初のマーシャルを覚えていらっしゃいますか?もし、そうであればどんなモデルでしたか?

U:もともとはVOXのAC30を使っていました。最初のマーシャルは1972~1973年Dawn Road(ドーン・ロード)のころ手に入れました。100W Super lead Plexiのトレモロ付きでハンブルグで購入ものです。中古品だったような気もしますが、今となっては定かではありません。このアンプは私のすべてのアルバムで使われています。今でも大事にしています。とてもクリーンで特徴のある音がします。アンプを歌わせるにはかなりドライブさせなければならないんですよ。以前、出力をしらべたことがあったのですが、あのアンプはクリップする前で何と140Wも出ていたんですよ!

Y:あなたのキャリアの中で通り過ぎてきたマーシャルを覚えていらっしゃいますか?

U:非常に少ないですね。いくつかはなくしてしまったし、リペアに出したまま忘れてしまったなどというものもありましたが…。ツアーではほとんどすべてのモデルを試しましたが、いつもSuper Lead Plexiのリイシューに惹かれていきますね。それとVintageModernと50W(1987X)も大好きです。

ジミ・ヘンドリックス

Y:この仕事を通じて実にたくさんのプロ・ギタリスに接する機会があるのですが、多くのギタリストが「影響を受けたギタリスト」としてあなたの名前を挙げます。そして、あなた自信に影響を与えたギタリストがジミ・ヘンドリックスということをおっしゃっていますね?そこで、ジミに関していくつか質問をしたいのですが…マーシャルを使うことについてジミの影響を受けていますか?

U:私がジミの演奏を見た時、アンプには興味がありませんでした。まだ若すぎたんです。アンプの選択がこれほど重要だったなんて知らなかった。

Y:そう、ジミのステージを実際にご覧になったんですってね?ジミは日本に来なかったので、実際に彼のステージを見た経験のある日本人はほとんどいないと思います。あなたの経験からして、つまり、一流の音楽家の目と耳を通した本物のジミの演奏はいかがでしたか?いつ、どこでご覧になられたのでしょう?マーシャルを弾いていたと信じていますが、どんなサウンドでしたか?

U:実は2回見ているんです。最初は1969年のことでした。2回目はフェーマルン島(バルト海南部に浮かぶ島)で開催された彼の最後の大きなコンサートでした。2回ともマーシャル・スタックを使っていましたよ。最初に見たのはハンブルグのとても美しいホールでのことでしたね。とにかくファンタスティックなサウンドでした。ギターの音が途方もなく大きくてコンサートの後、耳がキンキンしていました。でもサウンドは本当に驚くべきものでした。あんなサウンドはそれ以前はまったく聞いたことがなかった。何というか宇宙からの巨大な声というか…。あのトーンは生涯忘れ得ないでしょう。パワフルでウォームで、そしてまるで歌をうたっているようで…。

セッティングについて

Y:マーシャルのセッティングについて何かこだわっている点はありますか?たとえばいつもMIDDLEは10にしているとか。

U:会場によってまったく異なります。各々の会場によって異なったセッティングのアプローチが必要なんです。最初のころはアンプを鳴らしてよい音を得ようとかなりハードなセッティングにしていたものですが、今ではもっと洗練されたアプローチをしています…。

すぐれたアンプとは?

Y:ストレートな質問です。マーシャルのよさって何だとお思いですか?

U:マーシャルはユニークなものです。あんなアンプは他には絶対ありません。マーケットにはマーシャルと異なったサウンドやキャラクターを持った他のブランドのよいアンプもいくつかありますが、時々それらをマーシャルとミックスして使うのが好みだったりします。しかし、ライブやレコーディングということになると、メインのチョイスはどうしてもマーシャルになる傾向がありますね。それにマーシャルはとてもタフでツアーにも持ってこいなんです。非常に壊れやすいアンプというのもありますからね。マーシャルは丈夫で頑丈です。マッチョマンに言わせれば「マーシャルこそ男のアンプだ」ってことになるでしょう。

Y:あなたの作品のなかでお気に入りのマーシャル・サウンドは?

U:わかりません。私のサウンドは常にチャレンジを続けていますから。でも、いつも同じか、似たアンプを使うようにする傾向があるんです。さっきも言ったように昔はアンプをハードにセッティングしていました。しかし、発見したんです…アンプの豊かなダイナミクスによって生み出されるプレイの美しさというものを。それを実現してくれるアンプこそマーシャルなんです。

Y:私の人生の中で大きな後悔のひとつは、1978年のスコーピオンズの中野サンプラザ公演を見逃したことです。翌年の来日公演には行きましたが、もうあなたはいらっしゃらなかった。とてもガッカリしました。そこで私のような後悔をしないように、今回のあなたの来日公演はできるだけ大勢の方に見てもらいたいと願っているんです。最後に、日本のギター・プレイヤーやファンの方々にメッセージをいただけますか?

U:また日本に行くことを本当に楽しみにしているんですよ。中野サンプラザホールは音響も素晴らしいし…とても印象に残っているんです。あの音響があのまま残っているといいのですが…。会場でたくさんの方々にお会いできるよう願っています。そして、会場の空気を昔と変わらぬマーシャル・サウンドで満たすことでしょう。

Y:どうもありがとうございました。もうすぐお会いできますことをとても楽しみにしております。

★ウリ・ジョン・ロート来日公演の詳細はコチラ⇒ザックコーポレーション公式ウェブサイト

(2008年11月5日 emailにてインタビュー)

2008年10月 3日 (金)

北島健二、マーシャルを語る~後編

お待たせしました!北島さんのマーシャル・トークの後編をお送りします。

北島健二の機材観
Y:「誰々が使っていたマーシャル」とか特に弾いてみたいマーシャルなんてあります?
K:僕はもともとマーシャルが大好きだし、保守的な人間なんですね。ただ、道具には一切「幻想」を抱かないタイプなんです(爆笑)。話のネタとしては面白いんだけどね。ま、ジミー・ペイジが弾いていたレス・ポールなんて出されたらビビるかもしれないけどね!
Kenji_kitajima5 Y:なるほど、「幻想」を抱かない…か。
K:自分が使ってナンボ。音を聞いてナンボ。この音大したことないじゃん。エッ、1,000万円!?よかった~、買わないで!みたいな。「オッ!すげぇ音!」ということであればブランドがどうでも買っとかなきゃ!って思っちゃう。まったく実務的な性質なんです。一期一会というか、出会った時の感動とかインパクトの方が大切だと思ってる。そういう意味では何かをイメージで追い求めるということはしないな。

セッティングについて
Y:レコーディングもライブももちろんマーシャルをお使いいただいていると思いますが、何かセッティングなど使い分けていることってありますか?
K:ん~、あの~、ないです。多分。
Y:エッ?!
K:まったくないです。ほぼ同じセッティングです。ただ、レコーディングの場合はセッティングの自由度が増すのに対して、ライブの場合は一気に色んな音を出さなきゃいけないという制約はあるワケ。でも、レコーディングでもライブと同じセットで弾くし、パッと思いついたときに「このサウンドだったら直でつないだ方がいい」となったらエフェクターを取り除くし、たま~にアンプで歪ませてみたりするし。また、アンプをクランチにしてエフェクターで少し歪みを足してみたり。自由度が増しますよね。
Y:なるほど。
K:ライブの場合も会場によってEQは変えますよね。ハイとかローとか出方が違うから。ライブだからとかレコーディングだからとかで音質を変えるのではなくて、その場の環境でEQを調整するワケです。レコーディングでもその部屋に合わせて調整します。つまり、部屋でも小屋でもその場所によってEQは調整しなければならないんです。
Y:会場の音響スタッフにお任せということにはされませんね?
K:自分のところで鳴っている音がどう聞こえているかということだよね。自分の音を作ってから会場のエンジニアと打ち合わせます。ま、滅多にあることではないんだけど、エンジニアが「ギターの音が硬いんですけど…」って言われて、でも僕に聞こえている音は甘かったりすることもあります。「そうなんだ?!」というわけで、アンプの音を甘くして、モニターを硬くして返してもらったりすることが実際あります。
Y:先日、渋谷AXでのTM NETWORKのリハを拝見した限りでは、もう一発で音が決まって、あとは(そうる)透さんと昔のロックの曲でウォーミングアップしてるだけ…という感じでしたが。安定しているというか…。
K:ツアーで何回かやってきていれば大体わかりますからね。オペレーターの方ももうこっちのようすがわかっていますから。

輝かしいキャリア
Y:北島さんはパールでカーマイン・アピスとプレイされたり…。
K:見逃したヤツね。
Y:へ?
K:イヤ、BBAの話し!(笑)
Kenji_kitajima6 Y:相当後悔されましたね? その素晴らしいキャリアの中で印象に残ったお仕事は何ですか?
K:ん~(長考に入られました)ん~、野外で演奏する機会が少なかったので野外でもライブは印象に残っていますね。いつか九州に行った時、台風がやってきて「いったいできるんだろうか?」って。
Y:グランドファンク状態?
K:そう。演っている時は雨があがって、でもステージがびしょ濡れでメンバーがステージを走ろうとしたら滑ってみたり。
Y:どの時代?
K:フェンスの時。ピンク・クラウドなんかも出てたかな?あと、亡くなったしょこたんのお父さん。
Y:中川勝彦さん。
K:そう。とか、フェンスの初期のころ、まだ技術が初歩的で暑さに耐えかねて機材についている液晶が全部消えちゃったなんてこともあったね。熱に耐えられないってことがわからなかったんだろうね、まだデジタル機器が本当に出てきたばかりの時だから。で、みんなで煽って本番までに冷やしてみたりね。

北島式ギター練習法
Y:最後に若いギタリストたちに何かアドバイスを頂戴できますか?
K:(熟考の末…)ギターを練習する時は左手の運指とオルタネイト・ピッキングを重要視するようにアドバイスしています。それといろんなサウンドで練習することも大切です。いつでも歪んだドライブさせた音で練習するのではなくて、クリーンな音でもキチンと弾けなければならないし、その逆で、いつもクリーンで練習していてイザ本番で歪ませて弾いたらミストーンだらけでどうにもならないなんてこともある。つまり、ディストーションのサウンドで弾かなければ得られないテクニックもあるんですね。どれだけ演奏上のノイズがディストーションさせないとわからないということもあるワケ。ディストーションでもクリーンでもそのサウンドに適したテクニックというものがあるんですね。だからいろんなサウンドで練習するということが大事なんです。だから、逆説的にいえば目いっぱい歪ませて運指の練習をしてもいいと思う。最低でも運指練習は毎日10分やってくださいって生徒には言うんだけど、本当は2時間はやって欲しい。ただこればかりやっているのは辛いので、飽きてきたら思う存分ディストーションをかけてやればいい。
Y:いろんなサウンドで練習するわけですね?
K:そう!気分転換にもなるしね。大抵はクリーンなサウンドで運指練習をしろっていいますよね?でも単純なことをただ長時間やるのは辛いもんです。それを自分なりの方法でいかに飽きずにやるか考えるのもとても大事なことなんです。もうディレイまでかけちゃったり!(笑)とにかく気持ちよく弾いて、途中でいつのまにかクインクインってソロみたいになってもいいし。それで満足したらまたクリーンの練習に戻るということでいいと思うんですよ。集中力を持続させるためにアレンジすることは全然ありだと思う。
Y:どんどん楽しく練習して多くの人にますますギターの魅力に浸かってもらいたいですね。貴重なアドバイスをありがとうございます。

と、ここでインタビューがほぼ終了したのですが、この後、何となく好きなギタリスト談義がまた始まりました。話はジャズ・ギタリストにまで及び、とても濃い内容になったためボーナス・トラック的にここに掲載させていただきます。

続・好きなギタリスト
Y:ひとりアイドル・ギタリストをあげるとすると、やっぱりジェフ・ベックですか?まさかロニー・モントローズではないでしょう?
Kenji_kitajima8 K:本当はひとり」なんて決められないでしょう?それで最近そういう質問には決まってこう答えることにしているんです。実際にものすごく好きなんだけど、それは、レズリー・ウエスト。
Y:え~?!ホントに?
K:ものすごい好きなんだ。
Y:またアメリカじゃないですか!
K:そうだね!アメリカ人多いね!(大爆笑) 何でかな?
Y:全然イギリス出てきませんね!
K:でも、あの人はグルーヴにカントリーっぽさはあるけれど、いわゆる「アメリカ」の「アメリカ」たるロックとは違うじゃない?オールマン・ブラザーズとか、レイナード・スキナードとか、イーグルスなんかみたいのは確固たる「アメリカン・ロック」としたものがあるじゃない?でも、レズリー・ウエストはそこじゃないよね。
Y:確かに。いわゆるハードロックですもんね。
K:異端児だよね。何がスゴイかって、僕、元々ドラムが好きじゃない?
Y:よ~く存じ上げております!
K:叩くのは趣味で聴くのが好きでね。ドラムの評論家っていうか、ドラムに関してはうるさいんだけど。ま、それは置いておいて。
Y:ウンウン。

打楽器的なギター
K:ギターを弾く場合の打楽器的な部分、音程がある楽器はどうしても打楽器にはなれないんだけど、でもリズムというものは音楽の中でとても大事な部分だよね。そういう意味でレズリー・ウエストってフレーズが4つ位しかないのに最後まで楽しく聴かせてしまうというのは彼の中の打楽器的な要素が大きいと思うのね。リズム感、グルーヴ感がものスゴイ。フレーズ面を追及すればいくらでもスゴイ人はいるんだけどね、ジャズなんかもそう、でもギターの打楽器的なよい面を出している人はそうはいない。あと、チャーリー・パーカー?黒人の。
Y:チャーリー・クリスチャン?
K:そう。パーカーは管楽器か?
Y:アルト・サックスですね。
K:チャーリー・クリスチャンのCDを買って聴いたの。
Y:『ミントン・ハウス』?
K:かな?それで思ったのは、この人は音の出し方とグルーヴが全然違うなってこと。音程的な要素はこの人にとってそれほど大切ではない。サウンドとグルーヴが全然白人と違うというか…。魅力があるよね。みんながこの人がスゴイっていうのはそういうところだと思う。後で白人が同じことをやってもあれほどのパワーとかグルーヴはないよね。
Y:ウェス・モンゴメリーも打楽器的な感じがするような気がしますが…。
Kenji_kitajima7 K:あの人もそうだね。もっと音楽的なところを加味していった。
白人はクラシックの素養があって音程とかメロディをどういう風に発展させてどれだけ詰め込むかとか。話がそれちゃったけど、レズリー・ウエストもチャーリー・クリスチャンも音程が出せる楽器なのにそういう打楽器的な魅力を出しているんでいくらフレーズが少なかろうと歌い続けられるんだ思う。
Y:私はあるイギリス人の友達からレズリーが実際に使ったピックをもらったんです。体形から察するにさぞかし頑丈なものかと思ったらペランペランだった。
K:結構ソフトを使っている人って多いよね。サンタナとか。
Y:マウンテンなんてご覧になられました?
K:いえ。
Y:Wilkinsonブリッジのトレヴァー・ウィルキンソンから聞いたんですけど、彼が若かりし頃、リヴァプールでマウンテンを見たことがあったそうです。それそれはものスゴイ爆音で最高にカッコよかったらしいですよ。
K:そう。見たかったな。これからも「ひとり好きなギタリストを挙げろ」という無理な質問をされた時はレズリー・ウエストの名前を挙げるようにします。実際好きだし。
Y:アメリカン・ロック好きの北島さんとしてはね!(大爆笑)

アメリカン・ロック
K:アメリカン・ロックは好きじゃないけど、カントリー&ウェスタンみたいなものは好きですよ。とかバンジョーを高速で弾いちゃうようなのとか。ギターでもスゴイ人がいますよね。ブレント・メイスンとかね。
Y:ブレント・メイスンはスゴイですよね!
K:ああいうのは好きなんですけど、カントリー要素が微妙に混ざったロックとか好きじゃない。これが僕にとってまさにオールマンだったり、イーグルスだったり…。
Y:グレイトフル・デッドとか?
K:そう。ザ・バンドも。
Y:ああ、それらこそアメリカン・ロックですね。
K:だからアメリカのロックだったら、ガーっとロックしているのが好き。
Y:グランド・ファンクとか?
K:好き。マウンテン、モントローズ…。
Y:ジミ・ヘンドリックスは?
K:だいぶ大人になってから好きになった。高校の時は「この人はデタラメを弾いてる」と思ってた。「うまい人じゃないな」と思ってた。その辺は常識的にクラプトンとか、ジミー・ペイジとか、「こういうのがウマイ!」て思い込んでた。30近くになってスゴイって思うようになった。
Y:曲もすごくいい。
K:うん。それと歌。あの人の歌こそスゴイね。声が太くてセクシーで。いわゆる黒人のグルーヴじゃなくて、ジェフ・ベックにも似たタイミングのグルーヴっていうかな~?リズムに乗るっていうんじゃなくて「間」みたいなね。そういうグルーヴがスゴイんだ。
Y:イヤ~、色々な音楽の聴き方があるんだな~っととても勉強になりました。長い時間ありがとうございました。

(2008年6月10日 弊社スタジオにて収録)

2008年9月25日 (木)

北島健二、マーシャルを語る~前編

太い音、厚い音…同じマーシャルを使っても弾き手によって様々なサウンドが飛び出してきます。北島健二さんのマーシャル・サウンドを聴いていつも思うのは「官能的な音」。その長く輝かしいキャリアをサポートして来れたことはマーシャルにとってとても光栄なことです。

今回お送りする北島さんのマーシャル・トーク…色々と楽しいお話が詰め込まれたロング・インタビューになりました。前後編、2回に分けてお届けします。

北島さんとの邂逅
YMT(以下Y):実は私は北島さんとは縁が深くて今から30年近く前、まだ高校生の時の話ですが、ある人を介して私がやっていたバンドの練習に臨時ドラマーとして来ていただいたことがあったんですね。北島さんはあのころまだデビューしたてだったヴァン・ヘイレンのコピー譜を雑誌に掲載されていて…あの時はもうあこがれの人に会えて感動しました。
北島(以下K):ああ~。そうでしたねぇ。
Y:それから数年後、大学時代に参加していたバンドのドラマーが、高校時代に北島さんとやっていたということなんです。高校時代からジェフ・ベックを弾かせたら右に出るものはいなかったとか…。
K:大好きだったからね。
Y:北島さんにはHandwiredシリーズの発表会でデモンストレーションをしていただきまして、またこうしてマーシャルを通じてお付き合いができて大変幸せに思っています。
K:いいえ、こちらこそ。
Y:あのドラムを叩いていただいた時、「アンプは何をお持ちなんですか?」という質問をしたんです。すると北島さんは「マーシャルとXXXX/XXXXXX(高級アメリカ製アンプ)」とお答えになったんですね。あの頃まだ、関税の関係もあってマーシャルが非常に高価でした。こっちはもう「マーシャル」という言葉を聞いただけでも興奮するような年ごろでした。それなのに北島さんはいとも簡単に「マーシャルを持っている」とおっしゃる…感動しましたね。ハッキリと覚えています。「いつかは絶対に北島健二になるぞ!」って思いました。結局、全然なりませんでしたけど、ま、何とかこうしてお近づきにはなれた。

マーシャルとの出会い
Y:そこで、質問。みなさんに共通の質問です。北島さんとマーシャルの出会いは何でしょう?マーシャルというものを意識したのはいつごろ、どうやって?
Kenji_kitajima1 K:あの~、ボクらの世代だからね~。ギターだったらレス・ポール。ハムバッカーが好きだから自然とレス・ポール系だったね。で、アンプはマーシャルになるよね。ボクはアメリカよりはイギリスの志向が強いんでギターはレス・ポール、アンプはマーシャルになったね。「そういうもんだ」って決めてかかってましたね。
Y:アーティストからの影響は?
K:ボクらの頃は映像がなかったので雑誌だよね。写真を見るしかない。夢中になって聴いていたジミー・ペイジやジェフ・ベックの後ろにあるのはマーシャルだったからね。ほとんどがマーシャルだった。ボクらの世代はみんなそうやって刷り込まれているんじゃないかな?
Y:あとはレコード。
K:そう。実は後になって知ったんだけど、レッド・ツェッペリンの最初の頃はマーシャルでレコーディングしていたわけではないんだよね。でも、ライブで使っている写真を見るからもうマーシャルって刷り込まれたね。
Y:レッド・ツェッペリンやディープ・パープルはご覧になられましたか?
K:見てない。
Y:土方(隆行さん)はツェッペリンをご覧になったとおっしゃっていましたね。(註:おふたりはとても仲良しです)それとBBA。
K:BBAはボクも行くつもりでチケットを買ったんですよ。でもお金がなくて直前になって兄貴に売っちゃった!
Y:ウワ、もったいない!行っとけばよかったですね!!

最初のマーシャル
Y:一番最初に手に入れたマーシャルはいつ?
K:プロになってからだと思う。
Y:プロというのは「WHY」ということですか?
K:ん~、WHYとセッション・プレイヤーとしてスタートした時期がクロスしてるのね。自分の中でのプロとしてのデビューというのは19歳の時の舘ひろしさんのツアー・バンドなのね。「舘ひろしとセクシー・ダイナマイツ」っていうの。でも、そのためにメンバーを集めて結成したバンドというワケじゃなくて、ボクも前に弾いていた人の後任で参加したのね。しばらくするとドラムとベースがメンバーチェンジして、入ってきたのが青山純と伊藤広規なの。
Kenji_kitajima4 Y:高校を出てすぐですね?高校の時には織田哲郎さんとバンドをやっていたんですよね?
K:そう。同期生で2年の時に転校してきたの。彼はもともとギタリスト志望だったんだけど、歌がウマいんでボーカルやれよ!って。
Y:昔、(北島さんもご存じの)私設の音楽サークルの会合があって、そこに織田さんが出演されたんです。で、その時こうおっしゃった。「自分は四国で一番うまいギタリストだと思ってた。でも、東京に出てきたら恐ろしくうまいヤツがいて本当に驚いた。それが北島健二だった」って。
K:アイツ、ボクのことを紹介する時必ず「自分のギタリストへの道をあきらめさせた男」とかいうんだよね!(爆笑)
Y:その頃のお話を聞かせてください。
K:彼はまったくものおじしない性格でね、うちの高校は大学の付属校だったんだけど、大学の軽音楽部の部室を平気で訪ねて行って、バンドに入れてくれとか言っちゃうの。
Y:エェェ?
K:って入っちゃったの。で、それを聞いたらボクも入りたくなって彼に言ったら「言えば入れてくれるんじゃない?」くらいのことを言うんだよね。結局ふたりで入れてもらってね。それはフォークソング同好会みたいなサークルだったんだけど、多少ロックっぽいこともやっててボクらはレッド・ツェッペリンをやってた。結構オジャマな感じだったと思うけどみんなよくしてくれたね。
Y:で、結局そのセクシー・ダイナマイツの時にはじめてマーシャルを手に入れたんですか?
K:ん~、その前、アマチュアの時に買っているかもしれないな。記憶が定かじゃないな。
Y:1959ですよね。3段積み?
K:イヤ、2段だった。その最初のマーシャルはその後、カタやん(註:土方隆行さんのこと)に売ってしまった。大分使った後でしばらくマーシャルを使ってない時があったのね。その時カタやんから「あのマーシャル使ってないの?」って訊かれて。「使ってないから譲ってもいいよ」って売っちゃった。でも、またマーシャルが欲しくなってJCM800を買ったの。それをずいぶん長いこと使ったな。今度、カタやんに会ったらボクが売ったマーシャルはどのタイプだったか訊いてみて。
Y:了解です。ところで、土方さんとそんなに仲がよろしいのはどういうワケ?
K:事務所が一緒だったんです。ボクはギタリストとしてもそうなんだけど、WHYもスケジュール管理をしてもらっていてね。カタやんもフライング・ミミ・バンドかその後のナスカを管理してもらっていたんでよく会ったりしてね。あの頃はツイン・ギターでレコーディングなんてよくあって、カタやんと一緒に弾いたりもしたというのもあってね。
Y:チョット以前にテレビでごいっしょに郷ひろみさんをやられていましたもんね?見逃しませんでしたよ!
K:アハハハ!
Y:で、そのJCM800は?
K:もうずいぶん使った。
Y:その後がTSL60?
K:そうです。

好きなギタリスト
Y:誰かものすごく好きな音を出すギタリストっていますか?
K:モントローズ。あの音はスゴイ。
Y:ウワ!久しぶりにその名前を聞きましたよ!でもイギリス派っておっしゃってたじゃないですか?!
Kenji_kitajima2 K:そう!でもあの人相当イギリスの音楽を聴いていると思うよ。ブリティッシュ・ロックに憧れたアメリカ人って感じがするからね。
Y:たしかに。
K:まぁ、明るいミキシング処理がしてあるけど、音そのものはブリティッシュだよね。
Y:この質問でロニー・モントローズの名前が出てくるのははじめてですね。他には?
K:ボストンのトム・シュルツ。ラインで録ってたらしいけど、音はよく似てるよね。ブライトで太くてツヤがあるっていうかね。あと傾向は違うけど1枚目のヴァン・ヘイレンもいいな。マーシャル・サウンドそのもの。音の良し悪しとかプレイのスゴさもあるんだけど、あの有無を言わさぬ存在感!
Y:ブラウン・サウンドね。するとクリームなんていうのは通過していないんですか?
K:ボクね、あんまりクリームは好きじゃないんだ。エリック・クラプトン自体は好きだけど。バンドはレッド・ツェッペリン、ギタリストはジミー・ペイジ、ギターとしてはジェフ・ベックがすごく好きなの。ジミー・ペイジが核にあって、ジェフ・ベックに傾倒していったんだけど、ボクの中ではエリック・クラプトンは少し古い感じがするんだよね。甘いというか。
Y:ジェフ・ベックはどの時期がお好きなんですか?
K:ボクのリアルタイムは第2期ジェフ・ベック・グループ。
Y:『ラフ・アンド・レディ』の頃。
K:と通称「オレンジね」。
Y:ようやくイギリス系の名前が出てきましたね。

マーシャルのよさとは
Y:今度はセッティングについて。マーシャルを使う上で「こうするとよい」などというアドバイス的なものはありますか?
K:ミドルを上げ目にしているね。ボクは基本的にエフェクターで歪ませるんでアンプはクリーンな状態にセットするね。
Y:ビックリしたのは2203を使う時にはたいていHIGHにインプットするんですが、北島さんはLOWにつなげるんですよね。
K:あれはね、HIGHにインプットすると歪ませれば歪ませるほど音が細くなっちゃうから。というのが理由の半分くらいかな。
Y:モッサモサな音になりそうな感じがしますけどね。
Kenji_kitajima3 K:イヤ、マーシャルはそれを跳ね返すブライトさがあるからね。あれでエフェクターで歪ませると音も太いままでちょうどいい感じなんだ。
Y:たいていの方はマーシャルがアンプ自体で歪む音がよくて使われていらっしゃるワケです。反対にアンプはクリーンにセットしておいてエフェクターで歪ませる…もちろん、この使い方でも何ら問題ありませんし、昔はそれが当たり前でした。しかし、この方法であればアンプがマーシャルでなくてもよいのでは?なんて思ったりしますが…。
K:楽器屋さんでアンプやエフェクターを試して気に入って買っても、いざスタジオでドラマーがマックス・パワーで演奏したりすると、自分の音がまったく聞こえなくなっちゃうなんてことが多々あるよね。その点、マーシャルの音は芯があって、一瞬扱いにくそうな強さがあって、アンプで歪ませようとエフェクターで歪ませようと、サウンドが曖昧になるんで、もちろんうるさい感じはしますが、レコーディングでもディストーションの方がクリーンよりもレベルが低かったりして。「音量感」というものはあるんだけど実はボリュームはそんなに上がっていない。歪ませた時に他の楽器に負けてしまうような時でもマーシャルのクリーンだとその部分をキープすることができるんですよね。
Y:我々の世代はもともとマスターボリュームのついているアンプなんてそうなくて、アンプで歪ませるということがなかったですよね?
K:もとはそうだよね。
Y:で、マーシャルの場合、JCM800が出てきてアンプでギンギンに歪ませるなんてことができるようになりましたが、しっかりした音が出るアンプといいエフェクターの組み合わせが基本だったんですよね?
K:アンプが歪むまでボリュームを上げられる環境なんてなかったからね。

以下後編につづく…

(2008年6月10日 弊社スタジオにて収録)

2008年7月 4日 (金)

石原SHARA慎一郎、マーシャルを語る

デビュー25周年を迎え今なおジャパニーズ・ヘヴィ・メタルの最高峰に君臨するアースシェイカー。その中心人物、石原SHARA慎一郎さんにたっぷりとマーシャルについて語っていただきました。

マーシャルとの出会い

YMT(以下Y):いつも通りまずは、皆さんにお聞きしている月並みな質問からまいります。本でもレコードでもコンサートでも何でもいいんですが、SHARAさんが一番はじめにマーシャルを意識したのはいつごろ、どうやって?
石原SHARA慎一郎(以下S):マーシャルを意識したのはやっぱ「外タレのうしろに写っているアンプ」ってことかな?
Y:たとえば誰?
S:みんながみんなそうやったやん。ジミヘンもそうやし、ヴァン・ヘイレンももちろんマーシャルやったし、UFOもそうやね。逆にその当時マーシャルじゃないバンドで覚えているのは、ザ・フー、クイーン…(沈黙)…ほかあったかな?
Y:ツェッペリンはご覧になってるんでしたっけ?
S:イヤ、見てない。ディープ・パープルは見た。マーシャルやったね~。『マシン・ヘッド』のジャケットにも写とったし。
Shara_3 Y:やっぱりギターを始めてから意識が強くなった?
S:うん、そうやね。
Y:何歳くらいからギターを始めたんですか?
S:エーとね、中学の1年か2年かな。
Y:当然その頃はマーシャルなんて手に入るわけがないし…。
S:もちろん。アコースティックやったし。
Y:エレキを始めたのは?
S:自分で買ったのは…、高1やね。
Y:やっぱりマーシャルはあこがれの的でした?
S:あこがれたね~。
Y:この人がマーシャルだからマーシャル…なんて人はいました?
S:マイケル・シェンカーとヴァン・ヘイレンやね。
Y:ヴァン・ヘイレンが出てきたのはシャラさん何歳の時?
S:高3ぐらいやね。
Y:何かヴァン・ヘイレンの方がシャラさんより後に出てきたような感じがしてしょうがないんですよね~。
S:ヘヘヘ、イヤイヤ。
Y:それじゃ1959ですね。それでは、一番最初に経験したマーシャルは?いつごろ、どうやって?
S:高校2年の時かな?見知らぬ大学生とセッションすることがあって、その人がマーシャルを持ってたんよ。「やった!マーシャルが弾ける!」ってすごくうれしかった。その人が持ってたSGで弾いた。その時のマーシャルがメッチャ良かったんよね~!
Y:ヘェ~。でも、失礼ですが、そんなにギターがうまかった時期でもないでしょ?それでも良さがわかった?
S:イヤ~、うまかったねェ~!(爆笑)
Y:この質問はね、みんな初めて弾いたり買ったりしたマーシャルにガックリ来たっていうのが定番の答えなんですよ!おかしいな…。
S:(爆笑)だって、ホンマによかったんやもん!
Y:どういうふうによかったんですか?
S:カールコードでギターをつないでいたんやけど、スッゴイ歪むの。
Y:100Wだったのかな?その先輩の持ち物だったんですかね?
S:たぶん50Wやね。その先輩の持ち物で「コレ、使い」って弾かせてくれたの。それでギターも渡されて弾いたら、アァ~「あの音」なの!しっかも「こんなに弾きやすいの?!」って驚いた。
Shara_1 Y:エェェェェー?!
S:感動してね。いくらでも音が伸びるし、いくらでも弾けるし。でもう、アンプを買うならもうマーシャルって決心した。で、シェイカーがまだ二井ちゃん(二井原実氏:LOUDNESS、X.Y.Z.→A)とやってた頃、どこかの学園祭で…関大やったかな?野外のステージにマーシャルが置いてあって「これを使ってください」って言われて…18歳くらいの時かな。「素晴らしい!今日オレはまたスゴイ演奏をしてしまうのか!」って思った。
Y:どうでした?
S:それが!弾いたら音がもうペランペランで!(大爆笑)
Y:歪まなかったんだ!?
S:もうまったく歪まない!100Wだったんやね。でも音はデカかった!野外でも後ろからくる音圧に圧倒された。しかも、歪んでないからパキパキの音で…。
Y:歪みのペダルだってあったでしょうに?
S:もちろん、よく使ってたんやけど、その日はマーシャルがあるって聞いてたし、当然あの音が出るだろうからいらんやろと思ってペダルを持って行かへんかった。
Y:でもその思い出のマーシャルは70年代中盤くらいの製造でしょ?そのあたりのモデルがよく歪むなんて聞いたことないな。私もそれくらいの時期の1959を持ってて、ずいぶんライブハウスで使ったけどただの一回もアンプで歪んだことはなかったですよ。
S:ん~!、でもあれは強烈に歪んだよ。後になって探したけど見つからなかった。。友達のお姉ちゃんの友達が持ってたって聞いたんやけど。
Y:すごくよかったって幻のように思い込んでるだけなんじゃないですか?
S:イヤ、デビューしてすぐに探したんよ、「やっぱりあのマーシャルがいい」って。友達に電話しまくってね。
Y:で、結局そのマーシャルは手に入らなかったんですか?
S:そう。手に入らなかった。

はじめて手に入れたマーシャル

Y:それで、普通のものを入手したんですね?
S:友達で1959の3段積み持ってて使っていないのを知って…バイク・レーサーで宮城ヒカルって知らん?そいつが持ってて譲ってもらったん。3段で。
Y:UNIT3ですな?
S:そう!UNIT3やね!
Y:もうシェイカーが始まっていたんですか?
S:イヤ。デビュー前やね。19歳くらいの時やから。
Y:それじゃ、とにかくそれが初めてのマーシャルだったワケ?いきなり3段積みで。
Shara_6 S:そう。でもちょっと恐いんでそいつの家に試しに行ったの。大きい家やったんけど、「ここじゃ音は出せない」って弾かずに買ったんよ。
Y:ウワッ!ノンビリした時代だったんですね。私も2段積みを弾かずに譲ってもらったことがありました。だって、マーシャルならどれでもうれしかったんだもん!
S:そうそう!んで、自分の家に持って帰ってん。当然「コリャ、いっちょ弾いたらんとアカン」ゆうて自分の部屋に入れて、プラグインして「とりあえずはフルテンや!」って。もうノイズだけでも大きくて恐くなった。(爆笑)でも「何とかなるやろ、40Wのアンプをフルにしても大丈夫だったから」というのがあったから。んで、ドーンと弾いてやった!
Y:何が起った?まるっきり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」じゃないですか?!
S:自分も思いっきりビックリして、汗がダーっと出てきて、「ダンダンダンダン」ってオカンが上がって来て。「アンタ!なにやっとんねんッ!!」て怒られた。「もうしません!!」って謝ったよ!(爆笑)
Y:でもみんなそういうのを経験していますよね!布団をかぶせて弾いたとか。
S:やるやろね~!
Y:シェイカーのデビューって何年でしたけ?
S:1983年。
Y:その頃大阪でのマーシャル事情ってどうでした?
S:結構使ってたよ。目立ってたバンドはみんなマーシャル使ってた。プロを目指しているバンドは例外なくマーシャルだったよ。

好きなマーシャル・サウンド

Y:目標としているマーシャルのサウンドってありますか?
S:ウン。ヴァン・ヘイレンのバッキングの音でマイケル・シェンカーのソロの音。
Y:ソロの時にワウ・ペダルをかませばいいんじゃない?
S:イヤ、ワウを使ってないマイケル・シェンカーの音が好きなの。初期のころね。『フォース・イット』とか。
Y:そういえばこのインタビューをメールでポール・ギルバートにした時、彼もUFOの『ライヴ(Stranger In The Night)』の音が好きだって言ってた。ってんでもう何十年ぶりかに聴きなおしてみたら、なるほどいい音でした。
S:…そうかナァ~?あれはあんまり…。
Y:なんか合わないナァ~。
S:合わへんネェ~。(大爆笑)いい音やけどあんまり好きやないんよ。
Y:じゃ、ま、『フォース・イット』が一番ということで。ヴァン・ヘイレンはファースト?
Shara_4 S:あれはビックリしたワ~。
Y:リッチーとかは?当然影響を受けた世代でしょ?
S:ウ~ン、『ライヴ・イン・ジャパン』のソロの音なんかはいいと思うけどバッキングがあかんのよ。
Y:バッキング重視なんですな?ロビン・トロワーなんかは?シャラさん、よく弾かれるじゃないですか?アレ、あんまり音がいいとは思えませんけど。
S:エエ~ッ?ウッソ~!
Y:何かこもっていて、もうちょっとスッキリしていた方がいいな。
S:ストラトであんだけ太い音出すヤツおらんで!
Y:トーンを絞りすぎのような。
S:ウン。かなり絞ってるね。
Y:ロビン・トロワーご覧になりました?
S:ウン。観たよ。
Y:どうでした?マーシャルでした?
S:マーシャルやったね。でもあんまりやったな。ベース(ジェイムズ・デュワー)が歌に専念して、新しいベースだったからかな?やっぱりあの「ライヴ」には勝てなかったね。
Y:あの『ライブ』はホントにカッコいい!でも、「I Can't Wait Much Longer」のイントロの音なんてこもってない?
S:こもってないて~!
Y:今日のインタビューはタフですわ!意見が全然合わない!
A:合わないね~!!(大爆笑)
Y:あと、マイナーですけど、我々の話題によく出るザル・クレミンソン(ザ・センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド→ナザレス)は?
S:あれSGの音なんだよね。メッチャ枯れたSGの音。
Y:いい音ですよね。ヴォイシングもカッコいいし。
S:ワウのプレイもいいんだよね~。
Y:ウマい人ですよね。別にあんな格好しなくてもいいと思うんだけど。今もあのバンドやってるんですよね。アレックス・ハーヴェイ抜きで(註:アレックス・ハーヴェイは1982年死去)。ザルはしっかりマーシャルを使っています。

こだわりのセッティング

Y:シャラさんはTSL100MF400Bを使われていますが、何かセッティングのこだわりってあります?例えばBASSは絶対フルとか…。
S:BASSはフルテンでDEEPスイッチは絶対押す!押さないとダメ!
Y:低域フェチ?
S:イヤ、そうでもない。押すとちょうどいいんだよね。
Y:シャラさんの音って厚いですよね。AVTを弾いても分厚い。その秘密はそこかな?
S:下がドンと来てほしいんだけどダブダブはイヤなんよ。
Y:やっぱりキャビの要素は大きい?
S:大きいね~。
Shara_2 Y:本当にシャラさんはMFキャビがお気に入りで…。今後たとえヘッドが変わったとしてもキャビはこのまま?
S:ウン。だってこれ以上のキャビはないからね。それくらいスゴイと思ってる。また、このスピーカーに余裕があって、なんていうかGREENBACKが耐えきれずに「助けて~!」って暴れてしまうのがカッコいいんだけど、コイツは涼しい顔しとる。ピタピタピタって音が背中にへばりつく感じがあって何やってもザッ!っと応えてくれるのがスゴイ。
Y:他は?MIDDLEを10にする人とかもいらっしゃいますよね。
S:アカンやろ~、それは。(笑)ミッドは音のレンジを決定する非常に微妙なところやからあれをプラスにするかマイナスにするかで聞こえ方がガラッと変わってくる。だから10にするとうまくないと思ってる。ミッドを上げると太く聞こえてソロなんか弾きやすくなるからね。でも。「太さ」ってちゃうところなんだよね。

マーシャルから離れる

Y:それでは、それほどお好きなマーシャルなのに離れていた次期がありましたね?それはどうして?
S:ディレイ音がきたなくなるのがイヤでね、センド・リターンが欲しかったんだよね。で、あるメーカーに遊びに行ったら色々とすすめられてね。「ああ、なるほどキレイになるな」って。
Y:その頃はセンド・リターンのついているマーシャルはなかったか…?
S:なかったんよ。レイブンから買った50Wにセンド・リターンをつけた。ダメだった。音が変わらないっというからやったんやけど、音が変わった。あのマーシャル好きやったのに!
Y:だから結局センド・リターンを求めてマーシャルから去ったワケね。
S:そう。でも、ラック式は音が細くてすぐにマーシャルに戻ろうとしたんよ。でもその時のローディが「今さらマーシャルもないでしょう!」って他の持ってきたんよ。こっちも「マーシャルやったらいい音で当たり前でつまらん」ってギタリスト特有の変な天の邪鬼根性が出てきて色々マーシャル以外のアンプを試してアレにしたの。それでずいぶんと使ったね。でも、練習スタジオなんかに行くとマーシャルが置いてあって弾いてみるじゃない?JCM2000が出てきたころ。そしたら「ナニこれ?こっちの方がメッチャ音ええやん!しかもマーシャルやし!」ってだんだんマーシャルに帰りたくなってきた。でもローディが変えさせてくれん。(笑)「何をいまさら!今のままで十分いい音ですよ!」ってね。その後のローディもその系統でマーシャルを使わせてくれん。でもどうしてもマーシャルが欲しくて秘密でここを紹介してもらったの!(爆笑)
Y:それでようやく帰ってくれたんですね。

弾いてみたいマーシャル

Y:それでは、「あのマーシャル弾いてみたい!」ってモデルはあります?伝説のでも、好きなアーティストのマーシャルでも。
S:僕の中の伝説のマーシャルは例の最初のマーシャルやね~。また弾きたい。
Y:あ、そうか!もしそのマーシャルにめぐり逢ったら「これだ!」って見分ける自信あります?
S:ン~、わかるかも知れない。あれほど歪むのはなかったから。いい音やったナァ~。
Y:ヴァン・ヘイレンがデビュー・アルバムで使ったマーシャルは弾いてみたい?
Shara_5 S:弾いてみたいね~。あと「フォース・イット」でシェンカーが使ったマーシャルも!
Y:やっぱり「レット・イット・ロール」?
S:最初のフィードバックにやられたネェ。アレ、おかしいよ。あんな音、今でも出んもん!あと録った日が違うんかな?いろいろな音が入ってる。
Y:「現象」は?
S:しっくり来ないな~。音が違うもん。
Y:合わないな~。「フォース・イット」を録るまでに何かあったのかな?
Y:ニューアルバム「Quarter」でもギターの音が分厚いですよね?これで本当にギターの音を重ねてないですね?TSL100とMF400Bにラインの音を混ぜてるとか。
S:そう。ソロも同じ。あとブースターを1個かましてたりする。

レコーディングとライブ

Y:レコーディングとステージで何かマーシャルのセッティングを変えていたりしますか?音量以外に。
S:僕はね、まったくいっしょ。絶対いっしょにしなきゃダメ。
Y:みなさんレコーディングではかなり爆音にできるけど、ステージではなかなかそうはいかないって。
S:逆にレコーディングでいい音になってるのに、どうしてそれをステージに持ち込まないの?って思う。
Y:でもやっぱりステージだとバランスの問題があって大きくできないことも多いでしょ?
S:ん~、でもレコーディングルームで音を大きくしすぎると部屋が飽和状態になっていい音じゃなくなると思う。せいぜい真中くらい?
Y:部屋が狭いでしょうからね?
S:イヤ、でっかい部屋でもダメ。僕はね、「遠い音」ってキライなんよね。「近い音が」好き。だからラインも混ぜるんやけどね。マイクを立てて直接マーシャルの音を録るんやけど、マーシャルの音ってすごく飛ぶから回ってきてそのマイクが音を拾っちゃう。被ってしまうんよ。だからマイクの後ろに毛布をかけてもらうんよ。
Y:あ、アレ跳ね返ってくる音を遮断してるんですか?
S:そう。あれが録音した時にものすごい差を生むんよ。ボケた感じがなくなる。オフマイクも大ッキライなんよ。だからそのまま持ち込んでライブと同じように録るんよね。
Y:ピッキングのニュアンスとか、レスポンスの速さとか、ダイナミック・レンジの広さ、アンプの性能としてのマーシャルってどんなものですか?
S:すべてにおいて100点満点やね!やっぱ練習した分だけそれが音に出るしね。そこはホントにスゴイと思うよ。ギターじゃなくてアンプだよね、その辺は。

今後について

Y:今後は1年に1枚くらいのペースでシェイカーのアルバムを出していく感じですか?
S:そうやね。
Y:その中でトライしてみたいマーシャルってありますか?
S:MODEFOURキャビは変わらんから、あれでVintageModernを試してみたいな。
Y:最後に若いギタリストたちに何かひとことアドバイスをお願いします。
Shara_7 S:やっぱりいいアンプを使わないとこの空気の振動ってわからないと思うよね。それで空気の振動こそがロックだと思う。それが音楽のおもしろさだしね。空気感っていうのは大事だよ。シミュレーターっていうのはいいものだし、これからも進歩していくんやろけど、使ううえでこの本物の空気感がわかっているかどうかが重要だと思う。それを知っているかどうかで音を作るうえでものすごい差が出るはずだよ。だから自分の音を作っておくという意味でアンプは絶対に自分のものを持っておくべきだし、格闘するべきだと思う。自分んアンプを使って人の音をマネするのもいいし、コピーするならそこまでやるべきだよ。そこまでやってはじめて本当にシミュレーターが使いこなせるんじゃないかな?まずはマーシャルを使って「本物」の音というものをしっかり身体に染み込ませてもらいたいな。

(2008年6月5日 弊社スタジオにて収録)

2008年5月 8日 (木)

中野重夫、マーシャルを語る

ジミ・ヘンドリックスのサウンドを追及するバンド・オブ・シゲオ・ロールオーバーの中枢、中野重夫。実はそのキャリアは長く、野獣でデビューして以来30年が経過している。そして、その30年のキャリアはマーシャルと歩んだキャリアでもあるのだ。その想いをタップリと語ってもらった。

中野重夫のプロフィール

YMT(以下Y):中野さんの場合はキャリアが非常に長いのでまずはプロフィールからお聞かせ願えますか?野獣(のけもの)のあたりから。
中野重夫(以下N):1978年、ヤマハ主催のMid Landというコンテストの東海大会でグランプリをとって…その前に、ジューダス・プリーストの前座をしてね、どいうわけか。
Y:野獣で?
N:そう、名古屋公演だけ。名古屋市公会堂で。そのころは結構人気が出てきているころで、ジューダスのファンのお客さんがかなりこっちに注目してくれたね。そのノリでさっきのコンテストに出たもんだから、出番の時にはものすごく盛り上がって、問答無用でグランプリをもろたな。
Y:ジューダスの後がMid Landだったんだ?
Shigeo_stage03_2 N:確かそう。それで東京のEAST WESTに出たんやね。前の年の1977年にサザンオールスターズが出ていて、78年にはゲストで来てた。それで野獣とサザンが同じ楽屋だったんや。あの頃はウシャコダもおったし、カシオペアやシャネルズとか同期っぽくデビューしたんやね。レコード会社と契約して、ある人のすすめで自分たちのプロダクションを作った。それで一口坂スタジオでレコーディングしたわけや。ツイン・リード、ベース、ドラム、ボーカルという編成。このボーカルは三重のほうで今でもいっしょにAce & Rollaってアコースティックのバンドをやってるんや。そいつは「君こそスターだ!」で全国2位まで上がっていって芸能界からもずいぶんと誘いがあったらしんやけど野獣を選びよったんや。そっち行っとけばよかったのに…。

野獣解散!
Y:それで野獣は?
N:ま、色々やったけどレコードがあんまり売れへんかったんや…7,000枚位かな?これでも当時は結構な枚数なんやけどな。驚くのは今でも第一線で活躍している人たち、たとえばバーニー(日下部正則氏)とか西山毅さんとかが「昔コピーしましたよ!」なんて言われるんよ。結局、1年で解散してしもたんや。
Y:たった1年?
N:そう。もったいなかったな。当時は今と違ってインディーズなんてものはなかったかからな。レコードを出すなんて夢のまた夢や。
Y:ライブハウスす出ることができればかなりのもんでしたもんね?
N:我々の場合にはバンドに勢いがあった。若かったからな。でも、世の中が変わっていってしもた。ハードロックが下火になりよったんや。ディープ・パープルもユーライア・ヒープもなくなってしもて。
Y:一気にお休みになっちゃいましたもんね。
N:あの頃は、ウエスト・コーストやカシオペアのようなフュージョンが盛んでな、ハードロックをやっていると本当に「除け者(のけもの)」になてしまう雰囲気やった(ウマイ!)
Y:エ?それで「野獣(のけもの)」って名前なの?
N:ちゃうちゃう!ただオレ、名前付けるの好きでな…ちなみに三重県のMAXA(マクサ)というライブハウスもオレがつけたんや。
Y:あ、あれってそうなんですか?
N:そう。「五色の天草(あまくさ)」か「あ」を取っただけなんやけどな…。冗談で言ったらホンマにつけよった!
Y:それから野獣はどうなったんですか?
N:ま、みんなやりたいことがあってバラバラになってった。ジャズへ行ったやつもおったし、もう満足いうて音楽やめたのもいた。それでも野獣は案外女性ファンが多くてな、ファンクラブとかその会報なんてのもあった。やってる音楽はハードロックやったけど、ま、アイドル路線や。それで、みんな芸名がついとったんや。オレは「ローラ」。カローラに乗っとったから。ボーカルが「エース」。ハイエースやな。ベースはチェリーだった。みんなで化粧したりしてな。
Y:それで?
N:レコーディングの時にギターの音がうまく録れやんでな。あのころ、ヴァン・ヘイレンが出てきてて、てっきりあの音で録音できると思とったんや。ところが、低音が出すぎてうまくいかない。で、低音をすべてカットしたらスカスカの音になってしもて。マスタリングも大失敗や。それで結構メンバーが意気消沈した部分もあったな。

バンド遍歴、そしてロールオーバー
Y:その後、中野ブラザーズ?
N:そう。弟とバンドを始めた。弟はウエスト・コーストっぽいきれいなサウンドが好みでオレと全然志向が違っとったんやけど、彼のボーカルを聞いて一緒にやりたいなと思ったんや。
Y:中野ブラザーズはレコードを出したりしなかったんですか?
N:うん。LMCというコンテストの全国大会でグランプリをとって、副賞でアメリカへ行かせてもらって…それで終わった。
Y:それでいよいよロールオーバー?
N:いや、その前にひとつダイナゴンというバンドをやったんよ。ダイナミック・ゴンザレスいうてな。これもオレがつけた名前なんやけど。
Y:どんなバンド?
N:ハードロックでインストや。セクションみたいな。
Y:セクションはハードロックじゃないけど…。
N:いや、そんなんも詰め込んで凝縮した感じや。ドラムがハーフでさ、もう最高にいいギターを弾かせてくれるビートを出すんやね。でもバンド自体がまとまらんでな。メンバーみんながうまいし、若いもんだから「オレが、オレが」で「和」がうまれないんや。結局1年でやめてしもた。音楽ってテクニックだけでつながるもんじゃないとつくづく勉強になったね。音楽は気の合う者同士でやるもんやと…それでロールオーバーは20年つづいとる。その間、音楽やから音中心にバンドはやっていくもんやから、音に集中できなければやめた方がいいとか、3~4年のブランクがあったりとか、そうかと思うと「追悼ライブ」で毎年演らせてもろたりとか、SUPER100JHとの出会いでヤル気が出たり波が色々来るワケや。

マーシャルとの出会い
Y:いつも皆さんにお聞きしているんですが、最初のマーシャル体験は?いつ、どうやって?
N:まずね、18か19歳の時、名古屋に出て行った時、雑誌でしか見たことのないマーシャルを実際に使っている外タレを見たんや。ユーライア・ヒープとかスージー・クアトロとかステイタス・クォーとかね。
Y:ステイタス・クォーというバンドは日本ではあまりなじみがありませんが、イギリスではそれこそステイタスがメチャクチャ高い国民的なバンドなんですよね。
Shigeo_hugestack N:よかったよ、ライブは。それからシン・リジーも見たな。み~んなマーシャルや。結局そういうライブの音が気持ちよかったもんやから自然とマーシャルで決まりになるワケや。いつかはマーシャル使ったろと思った。
Y:そして、最初に買ったのが…?
N:野獣の時や。デビュー前、ジューダスの後くらいや。「もうこの勢いならマーシャルが絶対必要や」と思って買うたんや。100Wの2段積み。それで、ギターと一緒に盗まれた。ローンも払い終わってないのに!
Y:それで、また買い直したんですか?
N:いや、レコード会社と契約も終わっていて、レコード会社のスタッフが50Wのマーシャルを借りてくれたんや。

50Wに転向
Y:今度は50W?
N:あのな、実は100Wが爆音すぎてコントロールできやんかったんや。まず、自分の下手さが前面にドーンと出よる。ミュートが甘いとか、コードがきれいに鳴ってないとか。恥ずかしいところ丸出しや。で、結構打ちひしがれてな。でも、あのザクッとした音は耳の向こうに届く感じがした。
Y:みなさんの世代のマーシャルに関する話となると必ずこうなりますね。
N:こんな話が出るのはマーシャルだけやろ?で、色々な情報も入ってきておったんで、100Wよりは扱いやすそうな50Wを借りたんや。弾きやすかった。
Y:それも2段積み?
N:イヤ、3段やった。ルックスはゴキゲンやし、見上げてコントロールをいじるのが夢やったんでうれしかったな。

ジミ・ヘンドリックス
Y:どこからどうしてジミ・ヘンドリックスのトリビュートになったんですか?
N:もともとリッチー・ブラックモアが大好きだったんやけど、大学のクラブの先輩に「リッチーが好きならこれ聴いてみろ」ってワイト島のライブを渡されて聴いたんや。まず、一番最初からあの「間」にマイッタ。音質も。今聴くとあんまりいい音ではないんやけどな。もちろん名前は知っとったけど、実際に聴いてみると先入観とエラく食い違ってて驚いた。「リッチーのもっとスゴイの」という感じや。それからもう大好きになって聴きまくった。
Y:でも、野獣やダイナゴンでやってきたのはオリジナルでしょ?実際にヘンドリックスを演ることになったキッカケは何かあったんですか?
N:野獣のころでも何曲か遊びで演ったことはあっても、どこか「これは演ってはいけないもんだ」という気持ちがあってな…深みが全然違うから。すんごいブルースの演奏ってさ、音は取れてもああいう風に絶対ならへんのや。あれと同じ感じやね。でも好きでさ。例の中野ブラザーズのコンテストの副賞でアメリカに行った時、シアトルのジミのお墓へ行って「あなたの曲を演らせてください!!」って頼んだんや。
Y:お願いしたんだ?
Shigeo_stage2 N:ま、答えはなかったけど、自分に許しを与えたというか…あきらめやね。
Y:あきらめって?
N:このまま、ジミ・ヘンドリックスの曲を演奏できないと思っていたら一生できないと思ってサ。お墓にいったのがそのあいきらめキッカケになったんやね。
Y:ロールオーバーの初ライブは?
N:さっきの三重のMAXA。その時は演出でお棺の中から登場したんや。
Y:ジミ・ヘンと関係ないじゃん?
N:渋谷のEgg Manも演ったな。

マーシャルのセッティング
Y:マーシャルのセッティングについて聞かせてください。
N:基本的にはいらない部分をドンドン削っていくやり方やね、以前使っていたリイシューのビンテージはハイがきつくてな、まず、プレゼンスを下げて、トレブルも下げていく、それでもハイがきつい場合にはミドルを下げていく。そうするとミドルのおいしいところも減ってしまうんやけどハイは落ちる。ボリュームはもう3位で全開みたいな感じになる。4以上にするとクランチになってベースも出てくる。だんだんブーミーになるからボリュームを下げる。それで気がついたんや。マーシャルのボリュームはベースのコントロールも兼ねてるんだって。でも、最近ライブハウスで「ギターの音を下げて」といわれなくなった。以前はどこへ行っても「小さくしろ」っていわれて結構フラストレーションになっとったんやけど。そういえば、ジューダスの前座をやったとき「ギターの音を大きくして!」いわれた。あんなん初めてやったんやけど、その時はマーシャルじゃなかった!
Y:よろこんでいいのか悪いのか?
N:ロールオーバーはジミ・ヘンを演っているので音が大きくて当たり前という先入観があるからか、あまり最近は音の大きさを言われなくなった。でも、あれは単に音の大きさだけじゃなくて、トーンが問題なんやと思う。おいしいところがどれだけ出ているかということ。無闇に音を小さくするということは、おいしいところも削ってしまうことにもなるわけだから注意せなアカン。特にマーシャルはそう。ボリュームはマスター・トーンでもあるワケ。だから、音量を変えるということはトーンを変えるということを意味するワケや。
Y:すると、演奏会場が相当大きな意味を持ってきますね。
N:そう。キャパが小さいところでは本当のトーンが出せやんからね。トーンを追求しているものにはちょっと辛いものがあるな。

SUPER100JH
Y:そこへ行くと今のSUPER100JHはまったく勝手が違う?
N:そう。音を作るのに1年かかったけど最高や。
Shigeo_stacks Y:以前はあれほどハイを削っていたのに今はベースが0、トレブル上げ気味ですもんね?
N:トレブルは7くらい。ミドルはその日によっていじってる。以前とは正反対や。

あこがれの音
Y:それでは出してみたいあの音、この音。何かあこがれのマーシャル・サウンドってありますか?
N:「バンド・オブ・ジプシーズ」の「マシンガン」。
Y:好きだね~!
N:ギターの音色が好きでな。たぶんユニヴァイブとの相性がええんやろけど…あれを聴いてもうひとつジミ・ヘンにハマったんや。もともとスゴイ思とったけど、スタジオ録音のアルバムは何か軽いとか思ってた。ライブはどれを聴いても最高やのにな。でも、そんな感覚をすべて吹き飛ばしてくれたんが「マシンガン」だったんや。「ハイウェイ・スター」なんかを聴いていたのに、あんなE一発でドロドロ演っているような曲にある時一気にのめりこんでしもたんや。
Y:そんなに好き?
N:あの「バンド・オブ・ジプシーズ」の「マシンガン」は3分何秒目にすごいチョーキングがあってな…(考えて)…あれは今でもできない!1弦の17フレットを全音チョーキングした時にビート通りにユニヴァイブのワンワンいうウネリがかぶるんや。それがフィードバックして…完璧なコントロールや。
Y:コントロールしてんのかな?
N:イヤ、奇跡かもわからんな!あの音出したい!!
Y:ジミ・ヘンの他には?
N:ウ~ン、一番好きなトーンはクリーンなトーンで逆アングルにして弾いたピッキング・ハーモShigeo_pizza ニクスの音やな。ジミ・ヘンの「レッド・ハウス」や。(写真はピザで逆アングル・ピッキングを説明する中野氏)

マーシャルの風
Y:何か若いプレイヤーにひとことお願いします。
N:一度、マーシャルの前に立って弾いて、その風を体験して欲しい。それをどう思うか…。「スゴイ!」という人もいれば「アカン!」という人もおるやろ。でも、ギターが好きと言ってる人はとにかく1回あれを経験すべきや。プラグ・インしてみるべきや。そして、「コレや!」と思った人に知ってもらいたいのは、マーシャルだけがそういう体験をさせてくれるということやShigeo_stage

(2007年9月22日 東京にてインタビュー)

2008年4月25日 (金)

橘高文彦(筋肉少女帯、X.Y.Z.→A)、マーシャルを語る

永遠のマーシャリストにして50ワッター、橘高さんのマーシャル・ロードショウからのトークを収録しました。当日はVintageModernの素晴らしいデモ演奏、マーシャルに対する橘高さんの熱い思いに加え大爆笑トークが炸裂。3時間近い長丁場となりましたが大いに盛り上がりました。以下はその抜粋です。

★橘高さんは当日VintageModern 2266と425A、さらに2203KKとMF280Bを使用しました。

マーシャルとの出会い

YMT(以下Y):マーシャルとの出会いと言えばどれくらいさかのぼるんですか?

橘高氏(以下K):ん~、小学校ですね。11歳のときかな?キッスではじめてマーシャルを知りました。76年が初来日。

Y:あ~、日曜日の昼の部に行きました。中学の時…。

Gt K:いいなぁ、オレは大阪の小学生、行かせてもらえなかった。それで、当時のキッスのレコードは見開きの紙ジャケ(当り前!)が多くて、その内ジャケにステージ写真が載っていたんです。

Y:「地獄のナントカ」ですな?

K:「ロック・ファイア」。それで、興味を持って「ミュージック・ライフ」なんかをよく見たりしたワケです。当時のキッスのステージというのは、ステージのドーンと階段が設置されていて、その後ろの上下に16台ずつキャビを置いていたんですよね。ちゃんとMarshallってロゴもついてて。カッコいいと思った。

Y:あの年は少し前にエアロスミスも初来日を果たしましたね。

K:エアロは通ってないんですよ。ボトルネックとか使っててちょっと土臭くて苦手だった。それよりも、いわゆる商業ロックが好きだった。チープ・トリック、キッス、クイーンが3大アイドルなんです。チープ・トリックもマーシャルでしたね。その頃から外タレというか、ロックに興味を持って…漠然とギターにも興味があって音楽雑誌をよくチェックしていました。その頃、好きだった人達がみんなマーシャルだったんですね。リッチー・ブラックモアしかり、マイケル・シェンカーしかり、スコーピオンズしかり…ステージのマーシャルの壁はキッスのトラウマです。

マーシャルを手に入れる

Y:キッスの後は? K:ギターに夢中になって、プロになろうと思って…アンプが欲しいじゃないですか?でも(VintageModernを指して)なかなかこんな大きいの 買えないじゃないですか?それで、好きな人達と同じ楽器を使っていい音が出なかったらダメだと思っていたんですね。で、高校生になってマーシャルを買ったんです。JCM800を。自宅のアパートに置きましてね…ボリュームを極小にしても音がデカイんですよ!つまり、「自宅でマーシャルを弾くな!」ってことですよ。

Y:音だけじゃなくて家に入れるとサイズもやたらとデカイですからね!

K:そうそう!それでオレはあまりエフェクターを使わないでしょう。せいぜいワウワウとオーバードライブくらい。これは好きだった人達の影響なんだけど、マーシャルを手に入れて、マーシャルとギターだけ諸先生方のようないい音が出せなかったらフィンガリングやピッキングがダメということなんだと思えるじゃないですか?

Y:イヤイヤ、それは最後にわかるんじゃないですか?

K:そんな!最後じゃ遅すぎるじゃないですか(爆笑)!

Y:それがわからないからいろんな機材を試すんですよ。

K:そうか!オレもナンダカンダで20個くらいコンパクト・エフェクターを買いましたよ!省いていって結局今の状態になった。でも、アンプはマーシャル以外使ったことないな。

Y:すると、いっちばん最初からJCM800だったんですか?

Kitsutaka_roadshow K:もちろん、その前に練習用の小さいアンプは持っていましたよ。本格的にライブハウスに出るようになってからはずっとそのJCM800す。悪い音がするワケがないと思っていますもん。これもいわゆる「ブランド」ってヤツかな。絶対にいい音が出るって信用していたからテクニックを磨くことに没頭できたと思う。マーシャルのおかげです。

ロック・コンサートのシンボル

Y:ありがとうございます。さっきの「積み」の話しになりますけど、マーシャルって一番安上がりでカッコいい舞台装置だと思いません?

K:オレが言ったらマズイと思って言わなかったけど、本当にそうだと思う。コンサートが始まる前に…たとえば緞帳の隙間からズラッと並んだマーシャルが見えると、いかにもこれからものすごい大音量のロックが始まるって感じがして興奮するじゃない?人間って音でも何でも大きなものに惹かれるんですよ。マーシャルはサイズも大きいし。まさにロックをシンボライズしてますよね。しかも、それをステージだけじゃなくてレコーディングでも使ってる。ソコなんですよ!

Y:って言いますと?

K:レコーディングはマーシャルでステージは違うって人はたくさん知ってるけど、ステージでマーシャルを使っている人は絶対にレコーディングでもマーシャルなんですよね。それぐらい色が強いんでしょうね。他のアンプを使って個性の強い音を出している人だと成り立たなくなっちゃうかもしれないな。

マーシャル歴

Y:それでそのJCM800の後は?

K:デビューしたのが80年代のヘビィメタル・ブームのころで…さっきもやってたライトハンド奏法とかね…そういう時代だったんです。ま、そういうのもいいんだけど当時はもうちょっとレイドバックした70年代後半くらいのギタリストが好きでそういう音を出したかったんです。それでオールド・マーシャルを探しにいったんです。自由が丘の…名前は忘れちゃったな。

Y:ビンテージ屋さん?

K:そう。もう筋少に入ることが決まってて、もうこのVは持ってた。ま、レコーディングもあるし、ツアーもあるしということで見に行ったんだと思うな。このVとオーバードライブを持っていって、片っ端からプラグインして買ったのが…何でしたっけ?

Y:1987。

K:そう。74年製。結局それがずっとメインですね。9割9分9厘使ってる。結構歪むんですよ。

Y:それと69年製ですね?

Kitsutaka_sunplaza2_2 K:そう、筋少に入って3~4年位経ってからスペアとして必要で手に入れたんです。JCMはずっとツアーなんかにも持って行ってるんだけど…いい意味でサ、マーシャルって気分屋じゃない?いくつも気分屋をそろえて選べるようにした方が面白いと思ったワケ。ですけど、1台ずつキャラクターが違って結局は69年の方は将来年をとってブルースかなんか演るにいい感じのマーシャルでした。

Y:いろいろなプロの方とお話すると結構マーシャルがその「気分屋」だとおっしゃるんですが、不思議と皆さんイヤがっていないで、むしろうれしそうにおっしゃるんですよね。

K:ギタリストは基本的にMなんですよ!さもなきゃ、こんなに練習なんかしませんって!

Y:かのジミ・ヘンドリックスもこう言っているんですよ。「マーシャルは最高だ。ちゃんと動きさえすれば」って。

VintageModernについて

Y:特に橘高さんのようにビンテージの機材をお使いになっているとメンテが大変ですよね?

K:やっぱりメンテだけは欠かせませんね。幸い俺には優秀なテクがいるから事なきを得ていますが。

Y:その扱いに気を遣わざるを得ないビンテージですが、このVintageModernでしたら代えが利くののではないか、とあるギター雑誌のインタビューでおっしゃられていましたが。

K:どこのメーカーでも当然の変化に合わせた商品を出してくるというのは当然のことだと思うんですよ。マーシャルにしてもチャンネルが複数あっていろんな音を出すモデルとかね。でも、ここへきて俺のビンテージのような古式ゆかしいアンプを作ったというのが素晴らしいよな~。

Y:一番のカギはパワー管にKT66を使っていることなんですね。そして、設計した男がスティーヴ・ドーソンといって元アニマルズのギタリストだったんです。ゴチャゴチャと色んな機能を詰め込むんではなくて、本当に指で音を作ることができるアンプ。それに必要最小限な機能、例えばリバーブとかループとかを搭載したモデルというのが開発コンセプトなんですね。

K:本当にそうですね。さっきの演奏を聴いてもらえばわかると思うけど、普段の俺の音をほとんど変わりがないでしょ?リバーブが付いてるのがうれしくて…ガンガン入れちゃった。(実演)ノイズもさすがにビンテージよりは小さいし、EQも利きがいいし。やっぱり、ビンテージだとメンテが大変ですから、このようなモデルというのはビンテージ・サウンドを狙っているアマチュアの方には最適ですよね。この最初からリンクされているというアイデアと機能も便利でますますビンテージに近づけるようになっていますよ。

手元でつくられるトーン

Y:それからギターのボリュームを変えて異なったトーンを出すのも得意なんです。

Kitsutaka_wall_side K:そう。ギターのボリュームで歪みを調節できるというのも俺がマーシャルを好きな理由のひとつなんですよ。(実演)これができるのはマーシャルだけなんですよ!俺のライブを見てくれる人にはわかると思うんだけど、(実演:ボリュームを徐々に上げてクリーンからディストーションまでを連続で出す)こうやって、頂点にたどり着くまでつながっていたいじゃん?!チャンネルを変えるアンプだとこうはいかないもんね。これが色気がないと昔から思ってた。

Y:なるほどね。

K:それとピッキングの強弱で音を劇的に変えられるというのがマーシャルのいいところなんだけど……ムズカシイところでもあるワケよ。色気を出したいと思ったらやっぱりマーシャルだよね。そうでないギタリストはどのアンプでもいいんじゃないかな?

Y:そのピッキングの強弱でどれくらい音が変わるのかもちょっと見せていただけますか?

K:んじゃ、ボリュームには触らないで弾くからね。(実演)ホラね、こんなに音が変わる。

Y:模範を絵に描いたような演奏ですね!ピッキングする位置でも音が変わりますからね。まさに、ジミの時代から受け継がれてきた要素なんすね。

K:俺はリッチーで気が付いたの。(実演)

Y:橘高さんはオーバードライブ・ペダルをものすごく薄くかけているんですね?

K:EQみたいに使っているんです。ローを出してやって80年代メタルっぽいサウンドにしてる。(実演)歪みを足しているワケではない。(実演)

マーシャルに対する思い

K:でもさ、プロになってね、こうやってマーシャルにサポートしてもらってね、例えば俺がF1のレーサーでフェラーリのチームに入りたいんだけど、違うチームに入っちゃうなんてことがあるワケじゃない?マーシャルが好きでズ~とやってきて、今こうしてマーシャルとタッグを組めていることがメチャクチャ幸せなんですよ。

Y:マーシャル・ファミリーね!

K:ファミリーかぁ!(笑)

100Wと50W

Y:橘高さんは50W派ですよね?なぜ50W?

K:んマーシャルを初めて買いに行ったときにお店に100Wと50Wがあったんです。たいていみんな100Wですよね?でも試してみると100Wは音圧がありすぎるというか、コントロールできない感じがしたんです。こりゃマーシャルって大変だと思ったんです。で、次に50Wを試したところ家で練習しているような…いい意味でトランジスタ・アンプのような使いやすさがあったのと、いつも言うんだけど、歪みの粒子…それは、耳にも聞こえないし目にも見えないんだけど、細か~い成分がきれいに並んでいる感じがしたのね。100Wはその粒子が大きいの。男らしいんだけど、俺にはパワフルすぎたんです。その後も100Wを使う機会もあったけど、やっぱり100Wは100Wだね。前にグンと出てくるし、そこへ行くと50Wは引っ込んでる。そこがまた「哀愁」でいいんですよ。

Y:マイケル・シェンカーお好きですよね。あの人はJCM800 2205という2チャンネルの50Wを愛用していますが、その影響は?

K:もちろんありますよ。ソロになってからはこもった感じがですけど…プロデューサーの影響かな?…UFOの時はカラっとしててまさにああいう音ですよね。

Y:ポール・ギルバートも50W、イングヴェイもそうだ。もっと大物がいますよ、50Wの。

K:誰、誰?

Y:ジェフ・ベック。DSL50を使ってくれています。Bキャビネットしか使わない。

K:そうなんだ!

100Wと50Wの弾きくらべ

Y:橘高さん、せっかくここに100Wの2466もあることですし、実際に弾き比べてみましょうよ!セッティングは2266と同じにしてあります。

K:よっしゃ。(実演)

Y:どうですか?

Photo K:同じギタリストで同じアンプを弾いているわけだからそれほど音は違わないはず。でもね、弾いている方はすごく違いを感じるの。音的には50Wより太い感じがしません?弦が太くなったような感じもする。ほかのシリーズに比べてVintageModernは100Wでも扱いやすい感じがするかな。ノイズも昔のマーシャルに比べると格段に少ないね。俺、マーシャル・ノイズ大好きなんだけどね。いつかアメリカでレコーディングした時、向こうのエンジニアがブレイクで聞こえるマーシャル・ノイズを消そうとすんのよ。俺にとってはあの「シャー」が大切なの。あれがないとさびしくってダメなの。

ケリー・キング 2203KK

Y:じゃ、橘高さん、「シャー」がないヤツいってみましょう。まずはこのモデルの最大の特徴のザ・ビーストをオフにした状態。

K:(2203KKを実演)実はレコーディングでクリーンの音が欲しいときはJCM800を使っているのね。芯のあるクリーンなの。全部の帯域がまっすぐ出てくる感じ。これはあれ系のサウンドを感じますね。

Y:じゃ、今度はザ・ビーストを入れてケリーのサウンドにしてみましょう。

K:(実演:無信号じにまったくノイズが出ない)すごい!すごいけど俺のミュートはどうしてくれるんだ?(爆笑)オーバードライブもまったく要らないね。

Y:センド&リターンも付いてないんですよ。今時のアンプで。

K:俺、ただの一回も使ったことないけどね。こういう特化したものがいいんですよ!これもケリー・キングの人生に特化しているワケだ!

あこがれの音

Y:「この音を出してみたい!」というようなギタリストって誰かいます?

K:ん~、直結のサウンドということであれば、やっぱり76~77年くらいのキッスのおとかな。すごくロックな音だと思う。あと、UFOの「現象」のマイケル・シェンカーの音。俺はわりと昔から「自分の音」を作ろうと切磋琢磨してきたつもりなんだけど、ああ、あの音はいいなって最近思ったのはザック・ワイルド。ウォームでいいな。ランディ・ローズも好き。やっぱり直結のサウンドというものは何ものにも代えがたいと思うし、いい時代にマーシャルと出会うことができて幸せと思っています!

★マーシャル・ロードショウはデモンストレーションの他、このようにアーティストのトークも中心にお送りしています。

2008年4月23日 (水)

原田喧太、マーシャルを語る

デーモン小暮閣下、Scoop On Somebody、松本和之等々人気ミュージシャンのサポートの他、自分のバンドでも様々な要素を取り入れた音楽をクリエイトしその幅広い活動を通じ、ベテラン・ギタリストとしての地位を確実なものにしている原田喧太。以前はあまりマーシャルがお好きではなかったようですが…。今では大のマーシャル・ファン。マーシャルのどこに魅力を見出したのか?(敬称略)

マーシャルとの出会い

YMT(以下Y):それではいつも通りの質問から…マーシャルとの出会いについてお聞かせください。

Kenta9 原田喧太(以下H):やっぱりまずはレコードだよね、当時の。あの頃ってサ、70年代の後半ね、アンプの種類なんか今と違ってあんまりなくて、雑誌なんかを見てもみ~んなマーシャルだったじゃん。もう、メチャクチャあこがれだった。いつかあれを弾きたい!って思ってた。

Y:原田さんの世代でもあまり弾く機会がなかった?

H:スタジオになんかなかったもん。もしくは、ホントに入り始めた頃かも。初めて弾いたのは「ニュー・イヤー・ロック・フェス」だったかもね。

Y:桑名さんのバンド?

H:そう。イヤ、違うかな?でもなんかのライブで、ステージにマーシャルが置いてあって、「アレ使いたい!」って。15歳の時だと思う。

Y:マーシャル関連で影響を受けたミュージシャンってどのあたり?LAメタルとか?

H:うん、そうだね。メタルは流行ってたね。それこそランディ・ローズとかさ。マイケル・シェンカーとか。マーシャルはデビューした後も買えなくて、ずっとあこがれの的だった。でも、あまり深い縁がなかったな。

Y:借りて弾いたりはしてたんでしょ?

H:そう。でも借りたヤツがみんなしっくり来なくてね。なんかやたらキンキンしてるイメージが付いちゃってあんまり使わなくなっちゃった。

Y:その頃ってJCM900のころ?イヤ、出てないか?

H:出てない出てない。2203か1959だね。

Y:それじゃ、本当にマーシャルを自分で買ったのはずっと後になってから?

H:だからアレが最初よ。MODEFOURが。

Y:ウソッ?!そうだったの?

Kenta1 H:イヤ、19歳くらいの時にはマーシャル使ってたこともあったな。パラダイス・ジャムの頃。改造してあったヤツだけど買ってはないと思うな。いいアンプだったんだけど、あれどこへ行っちゃったんだろう?

マーシャルを使う!

Y:それじゃ、本格的にマーシャルを使い出したのは2001年のZildjianのイベントでDSLを使ってから?

H:そう。あなたと知り合ってからだよ。透ちゃん(そうる透)のおかげだよ。

Y:180度変わっちゃったね。しかし、何でそんなにマーシャルが苦手だったんだろう?キンキンしているイメージだから?

H:欲しいローの帯域が無かったんだと思う。でも耳も変わってきてあのDSLがすごくしっくり行ったんだろうね。なんだかんだ言ってマーシャルって難しいと思うんだよね。音がまっすぐだから。プレイがまっすぐに出ちゃう。だからそれまでは扱い辛かったのかもね。

Y:上達したんだろうね~。

H:イヤイヤ。でも、まっすぐだけど、自分の望みの音を出してくれるということがわかってきたんだと思う。

Y:VintageModernとか?

H:大好き!ニュアンスが全部でてくれるから。

Y:すごくよく覚えてるのは、DSLがよかったのでもう一度試したいってスタジオへ来てくれたんだよね。そしてそこにはまだ入ってきた来たばっかりMODEFOURが置いてあって「何コレ?」って試したんだよね。5分も弾かないうちにMODEFOURに替わっちゃった。

Kenta7 H:そうそう!あれからレコーディングはほとんど全部MODEFOUR。最近はJVMが増えてきた。

Y:そうして耳や好みが変わってくる中で「あのマーシャルの音いいな~」なんてのある?

H:ポール・コゾフ。メチャクチャいい!

Y:あれはマーシャルじゃなくてもあの人の音になるんじゃない?

H:「ライブ」なんかたまらないね!

Y:アンディ・フレイザーのマーシャルの音もすごいよね。

H:それからツェッペリン。ん~あとはやっぱりリッチー・ブラックモアとかイングヴェイとか。あの辺の音は出ないよね~。

好きなセッティング

Y:原田さんの場合、武道館からクラブまでいろいろな場所でマーシャルを使ってくれているワケだけど、何かこだわっているセッティングとかある?

H:自分のアンプではBASSを絶対10にしてる。

Y:それは会場を問わずいつでも10?

H:だいたいそうだね。どこでも10。ほかのコントロールも10にしておいて徐々に削っていく。あとマーシャルはすごくいいハイが出るから、それを殺さないように楽器によってTREBLEを調節しているね。PRESENCEもいじるよ。高域を変えてギターや会場の状態に合わせるんだ。

Y:RESONANCEは?

H:使ってる。1時位まで上げてる。

Y:JVMでお気に入りのチャンネルは?

H:メインはCRUNCHのORANGE。クリーン系はCLEANのGREENとORANGEの両方。ソロの時はOD1のORANGEとOD2のGREENを使ってる。OD2のREDも使ってるかな?CLEANのORANGEなんかすごくいいよ!カッティングに最適なんだ。

Y:他のアンプのご経験もあらるる原田さんにお聞きしますが、音だけでなく、弾き心地に関してもマーシャルの特徴って何か感じますか?

Kenta6 H:レスポンスからダイナミックレンジからすべていいね。音ヌケとか。音の速さっていうのかな?ニュアンスもすごく出るし。

ライブとレコーディング

Y:マーシャルを使うときにレコーディングとステージのセッティングではっきり区別していることってある?

H:ボリュームだけかな。レコーディングではいくら出しても大丈夫だからね。でも上げすぎちゃうと音が詰まっちゃうんだ。それには注意してる。マイク乗りが悪くなっちゃうの。ライブより少し上げめにしてる感じ。それ以外は特に区別していることはないな。

Y:今後の活動は?

H:今年は自分のバンドをやっていこうかと思ってるんだ。トリオ・バンドとかソウルっぽいバンドとか。

Y:最後に一言お願いします。

H:あのね…マーシャルに囲まれているとしあわせ!

SYU(ガルネリウス)、マーシャルを語る

今や日本を代表するへヴィメタルバンド、ガルネリウスを率いるSyuも大のマーシャル・フリーク。彼のマーシャルへの想いをたっぷり収録したインタビューをお楽しみください。

マーシャルとの出会いはJCM900

YMT(以下Y):月並みな質問ですが、マーシャルとの出会いについて教えて下さい。

Syu氏(以下S):16、17歳の時、練習スタジオに置いてあったJCM900がはじめてのマーシャルです。何の迷いもなくプラグインしました。

Y:どうでした、はじめてのマーシャルは?

S:音づくりの方法もまったくわかりませんでしたが、そのパンチのある音に驚きました。バンドの仲間もウワァ~ってなって。

Y:生まれてはじめてのギターアンプってどんなものでした?

S:通販で買ったギターセットについていたヤツですね。4~5万円位で何でも付いているセットでした。

Y:天下のSyuさんもそんな頃があったんですねェ~。

Syu_iv_001 S:イヤイヤ(爆笑)その小さなアンプのボリュームを目一杯上げて歪ませて弾いていました。そのシャリシャリ感にすっかり慣れちゃって。だから、JCM900をはじめて弾いた時のあの真空管が出すパーンという迫力のある音に驚いたのを覚えています。

Y:その頃はどんな音楽を演っていたんですか?

S:メタルです。Xとか。当時、僕のまわりはX派とBoφwy派に分かれていましたが、両方演ってました。

Y:もうその頃からうまかった?

S:イエイエ、ま、バイオリンをやっていたので他の人たちよりは有利だったかも…。

Y:当時、「Marshall」に対する憧れみたいなものってありましたか?

S:もちろん!どの雑誌を見てもステージの上はみんなマーシャルだし。

Y:どちらかというと日本のアーティストからの影響が大きい?

S:そうですね。

Y:それで、はじめてのマーシャル、JCM900に突入したわけですね。

S:はい。もうその時からミッドレンジが好きで、当然ミドルはグイっと上げめ。トレブルもプレゼンスもグイグイ上げて、ひとりでバッチンバッチンいわせてました。ただ、あまりギターがいいものではないし、ギターとアンプの組み合わせのことなんかわからないし…でもひとりで「最高に気持ちいい」とよろこんでいました。当然、バンドの連中からは白い目で見られました。

プロ活動を始めて

Y:いつプロ活動を始めましたか?

Syu_roadshow S:22~23歳ですか。アニメタルからです。

Y:アンプは何を使っていました?

S:JCM2000のTSL100です。発表されてすぐ買ったんですよ。

Y:じゃ初めて自分で買ったマーシャルがTSL100。

S:はい、完全にTSLッコでしたから。

Y:でも、しばらくマーシャルから離れていた時期もあったよね。

S:TSLが壊れちゃって…。

Y:それでまたマーシャルに戻って来てくれたわけだけど、何か発見ってありましたか?

S:まず感じたのはとにかくパンチが効いてる。音の芯っていうのかな。きらびやかな高域。ミッドは立っているし。ノブの多さも魅力なんですよ。Tone Shift、Deepなんかのコントロールも充実してますでしょ。フットスイッチも好き。

Y:それじゃ、はじめてマーシャルJCM900を弾いたときの感動がまた…って感じ?

S:イヤ、その感動を完全に凌駕してましたね。病みつきになっちゃいました。

あこがれのマーシャル・サウンド

Y:この人のマーシャルの音っていいな…て思う人はいますか?

S:初期のイングヴェイ、ザック・ワイルド、島(紀史)さん。島さんの音づくり大好きです。リッチー・ブラックモア。

Y:アンプのコントロールについて教えて下さい。まず目立つのはいつもミドルが10ですね。なにかこだわりがあるんですか?

Syu_iv_004 S: はい。僕は「10から調整していく派」なんです。トレブルがよく出るのはわかっているからすちょっと抑え目にして、ローは上げ目で「体感ロー」を稼いでいます。あとは会場に応じてです。トレブル、ベースは特に。歪みの量も会場に合わせて調節しているんですよ。

Y:ところで、セッティングは?

S:もう基本はワウとチューナーです。

Y:基本的に歪み系のエフェクターはつながないんですね。

S:基本も何も、歪みは全部アンプにおまかせですよ。

Y:VintageModernを使うときはオーバードライブ系を使っていたよね?

S:はい、でもあのMid Boostの使い方を教わってからは無用です。

Y:何か「これがマーシャルだ!」って思い当たることはありますか?例えば「ピッキングした時にこう鳴るのがマーシャル」みたいな…。

S:「クリアな芯」ですね。例えばガツガツと早く刻んだ時でもひとつひとつの音がはっきり出てくる。つまり音に芯があるのがマーシャルだと思う。

Y:何か、古今東西のマーシャルで試してみたいモデルってありますか?

S:全部試したい!特にギターも同じにしてザック・ワイルドのセットを試してみたいな。

Y:彼の音はとてつもなく美しいもんね。

S:「美しい」としか言い表せないですよ!あれだけ歪んでいるのに!

Y:イングヴェイも美しい。

S:そうそう、美しい!

レコーディングとライブ

Y:今度のアルバム(One For All-All For one)はTSL?

S:はい2000です。

Y:レコーディングでもステージでもTSLを使ってきてもらったわけですが、それぞれのシチュエーションで気をつけていることというか、使い分けているようなことはありますか?

Syu_iv_002 S:はい、あります。たとえば、バッキングを録るときには歪みを抑えたセッティングにしたり、というのはあんまり歪ませすぎると全体像がボケる時があるんです。一方、ライブではチャンネルはひとつしか使わない。つまりアンプのセッティングは一切変えずに、ギターのボリュームで音を変えます。また、これができるのがマーシャルのいいところなんです!多チャンネルの意味があまりないかもしれませんが!(爆笑)これからは使い分けていきたいな。

Y:ピッキングのニュアンスとか、ダイナミック・レンジ、レスポンスなんかに関してはいかがですか?

S:使うギターによってものすごく左右されると思うんですよ。マーシャルってそのギターの特徴をどこまでも引き出してしまうでしょ?しかもいい方向に…。レスポンスはどんなギターを弾いた時でも早いと思います。特にいいギターだと木材の鳴りを強調してくれる。それとピックアップが合体した音が出てくるのを感じます。反対にピックアップの音しか出ないと感じるギターもありますよね?

Y:ダイナミックレンジについては?

S:素晴らしい!ピッキングのニュアンスだけで音色はガラリと変わる。あたかもギターのボリュームを操作してかのよう。色々なアンプを試してきましたけど、これは本当にスゴイことだと思う。

ニューアルバムとマーシャル

Y:ニューアルバム(One For All-All For one)でこのマーシャルの音を聞いてくれ!みたいな箇所はありますか?

S:そりゃもう全部ですよ!強いて言えば、8曲目の「The Flame」という曲では歪み抑えてクランチにして、かつギターのボリュームを下げてブルージーな感じに仕上げてみました。もちろんリードチャンネルを使っています。それから、ワウを踏んでマーシャルを弾く。これにハマリまくってます。恐ろしくワウとの相性がいいんです。気持ちいい!ぼくはデジタルがあまり好きではないんですよ。どこまでもアナロギー(?)でいたい。

Y:他に何かマーシャルに関するコメントはありますか?

S:とにかくマーシャルっていうのは、ぼくの感覚ではすべての歪み系ギターアンプの元になっていると思っています。これからもずっとずっと弾き続けていきたいな!

2008年4月22日 (火)

土方隆行、マーシャルを語る

日本にはテレビやラジオから土方隆行のギターの音が聞こえてこない日はありません…。マーシャルの音です。日本を代表する名ギタリストへのインタビューをお楽しみください。

マーシャルとの長いつきあい

YMT(以下Y):マーシャルとの出会いは?失礼ですけど…一体何年前の話しになるんでしょうかッ?

土方隆行氏(以下H):え~と、中学2年生の頃ですから…、30…35、36年前ですかね?

Y:マーシャルは今年で45歳なんですよ。もうほとんどマーシャルの歴史とともに過ごされていますね?

Hijikata_iv_02 H:1969年くらいかな?クリームでマーシャルを知りました。クラプトンとジャック・ブルース。

Y:それでははじめてお使いになられたのは?

H:最初に買ったのが多分18歳のころ。やっぱり30数年前ですね。

Y:いきなり「買い」ですね?それは今の若い方々と完全に状況が違いますよね。今は「最初のマーシャルはスタジオ」は当たり前です。我々が(インタビュアーも土方氏とほぼ同世代)若い頃にはマーシャルの匂いさえ嗅ぐことができなかった。

H:あの頃スタジオにマーシャルがあったら大変でしたよね!今は普通ですもんね。それまで国産のギターアンプを使っていたんですが、マーシャルは最初から3段積みでした。UNIT3と呼ばれていたヤツ。値段がガクっと下がったときに買ったんです。

Y:1974年の1959?うれしかった?

H:もちろん。最高にうれしかったですね。部屋において、朝起きるとそこにある!それだけでうれしかった。でも実際使う段になると…。買ったはいいけど、一体どうしようかと思いました。

Y:歪まないし、ハイは恐ろしく強いし…。

H:音が大きくて全く家じゃ使えませんでしたもんね。一度、キャビを部屋の壁に向けて、その間に布団をパンパンにつめてミュートしてボリュームを上げて弾いてみたことがありました。

Y:どうなりました?

H:家全体が揺れました!(爆笑) 結局、最初のマーシャルは使いこなせないままに手放してしまいました。

Y:アソカの頃の話しですか?

H:イヤ、その前の話しで、ジェフ・ベックのコピーバンドをやっていました。「ラフ・アンド・レディ」の中の曲とか…。でも実はリッチー(ブラックモア)が大好きでマーシャルはリッチーの影響が強かった。

Y:多いですね~、リッチーの影響を受けた人って。

H:てっきりああいう音が出ると思ったんですよ。ところが実際にストラトをハイのチャンネルにインプットして弾いたら…鼓膜が破れるかと思った!全然歪んでくれないし…もう本当にどうしようかと思っちゃった!

Y:それじゃ、本当に全然使わなかった?

H:イエ、ライブでは何回も使いましたよ。

Y:ディストーション・ペダルで歪ませて?

H:イエイエ、そんな上等なものはなくてファズとかサスティナーとかでした。そのバンドはベースの人も3段積みを買って、ドラムはツーバス。もうルックスだけはものすごかった。ボリュームを1より上げた記憶はないですね!

Y:リンクなんかはしなかったんですか?

H:そんな高等テクニックはもっと後になって知りました。手放してから「そうか、そんな手があったのか!」って。今思えば持っておけばよかったと後悔しています。

マーシャル歴

Y:土方さんといえば日本を代表する売れっ子ギタリストで輝かしいキャリアを誇っていらっしゃいますよね。様々なお仕事をされているわけですが、その後のマーシャル歴はどう変遷されたんですか?

Hijikata_iv_01 H:実は、その後マーシャルを離れたんです。仕事上持ち運びの関係もあってもっと小さいコンボを使っていました。ASOKAの頃です。でもいつでもマーシャルは持っていたかった。

Y:でも手放しちゃった。

H:ウン。ASOKAが終わってマライアになった頃、偶然健ちゃん(北島健二氏)と同じ事務所に所属したんです。そしたら健ちゃんが今も使っている2203を買うので、その時使っていた古い2203を買わないかって。それを買い受けました。その2203は今でも使っています。

Y:あれ元々は北島さんのものだったんですか?

H:いいアンプですよ~!

Y:その後のマーシャルは?

H:だから、ずっとその2203ですよ。その後はご存知の通りのTSL60です。

Y:メチャクチャ跳んでますね!

H:だってあの2203はものすごく気に入っているんですもの。

Y:そして2061X。

H:大好き!

Y:今度はVintageModern。

H:やっぱりマーシャルですよ!

マーシャルの魅力

Y:これも月並みな質問で、土方さんの場合はじめから答えがわかっちゃいそうですが、好きなマーシャルの音といえば…?

H:リッチーでしょ…でも、最初は何といってもクリームのクラプトンなんですよ。「クロスロード」でやられました。アルバムでは「グッバイ・クリーム」。クリームってライブアルバムが結構出ていてそれぞれギターの音が違いますよね。最初に聴いたせいか、「グッバイ・クリーム」のマーシャルの音が一番好きです。「トップ・オブ・ザ・ワールド」とか「政治家」とか。

Y:まわりはどんな状況だったんですか?

H:クリームは中学の時のロック友達から教わって聴き出したんですけど、その頃、あちこちでロック・フェスティバルなるものが盛んに行われるようになったんです。フラワー・トラベリン・バンドなんかが出て…。そこにミッキー・カーチスとサムライというバンドが出たんです。エディ藩さんの他、バックのミュージシャンはイギリス人で、そのサムライの出番になったらステージのそでからいきなりマーシャルの壁が出現したんです。ギターの人、名前は忘れましたがファイヤーバードを使ってて音はもちろんあのマーシャルの音。あれが一番最初に見た生のマーシャルだったのかな。外タレなんかまだあまり来なくてね。

Y:それでは外タレのご経験といえば?

H:はじめて見たのがレッド・ツェッペリンでした。1回目も2回目も行った。特に1回目の時はすごかった!その後はディープ・パープルにはまりました。あのリッチーの音に!

Y:ご覧になったんでしたっけ?

H:イエ、行ってないんです!友達はみんな行ったんですけど、ぼくはその時ちょうどお金がなくて…。

Y:でもBBAはいらっしゃったんですよね?

H:あれも凄かった!後はもうジミヘン。でも本当にジミヘンのよさがわかったのは最近かも。

Y:最近、土方さんジミヘンの話題多いですもんね。

Hijikata_iv_03 H:やっぱり影響力は大きいですよ。

Y:マイルス・デイビスと演れればよかったのにネェ!

H:ネェ~!

Y:でも、「ジャック・ジョンソン」でガマンしときますか?

H:マクラフリンもマハビシュヌの頃はマーシャルじゃないですか!

Y:アル・ディ=メオラも…。

一流スタジオ・ミュージシャンのセッティング

Y:マーシャルを使う時に土方さんおきまりのセッティングというものはありますか?

H:マーシャルの場合、同じセッティングでもモデルによってミドルの出方が違いますよね?求めている音は共通だと思うんですけど、そこに到達するまでの過程がモデルによって違ってきますね。

Y:ミドルですか…今回のVintageModernはおいしいミドルのためのアンプですから土方さんのサウンドメイキングが楽しみですね。

H:そう!ほんとにこのミドルはスゴイ!2203なんかだと少しミドルを出すのにコツが要るけど、VintageModern は即いけますもんね!

Y:キャビネットの影響もありますからね。特にVintageModernのキャビネット425はミドルを絵に描いたような音をだしますから…。

H:まさにそうだね!キャビネットが音に及ぼす影響ってホントに大きいよね。

Y:その他何かセッティングの極意なんてありますか?例えば、ボリューム以外ゼロからドンドン上げて調節していくとか、またはその反対とか…。

H:基本的には欲しい音域を足していくよりも、いらないところを削っていく方法のほうが音はつくりやすいかもしれない。僕の場合、足していく方法はどうしても全部のコントロールが上げ気味になっちゃうんです。音量も大きめになってしまう。

Y:料理をするとき調味料を調整していて量が多くなっちゃうみたいなもんですな?

H:そうそう!あるいは全部真ん中にしておいて調節いくとかね。VintageModern の場合はBodyとDetailでほとんど決めちゃう方法がおすすめだね。だから、2203もそうだけど、マスターとゲインがあるモデルは、ま、トーンは後から調節するとして、まずゲインとボリュームでベーシックな音を作っちゃう。ゲインを高めにすればミドルが出てくるしね。

あこがれのマーシャル

Y:古今東西、あの人のマーシャルで音を出してみたい!なんて人はいますか?

H:クリーム時代のクラプトンのマーシャル。ファーストアルバムのヴァン・ヘイレンのセットは是非弾いてみたい!同じ音は出ないだろうな~。

Y:ブラウン・サウンド!

H:最近のエディの音は「プリで歪ませています」という感じだけど、あの頃はアンプ全体が燃え上がっていたって感じがします。

Y:ヴァン・ヘイレンが出てきた時は衝撃を受けましたか?もうその頃はプロでしたか…?

H:うん、プロだったかもしれない。ある楽器屋さんで初めて聞いたのを覚えてる。「これ誰ッ?!」って店員さんに訊いた。

Y:モデルとしては?

H:やっぱりオリジナルのJTM45!

マーシャルはロックの音

Y:最近は吉田拓郎さんでは2203、吉田美奈子さんでは2061Xと色々なマーシャルをお使いいただいておりますが、キッチリ使い分けていらっしゃるんですか?

H:もちろん。音楽のタイプに合わせて当然使い分けていますが、基本は僕の根底にある「ロック」のサウンドを大切にしています。ホントにイザというときに完璧なロック・テイストを出してくれるんですよ、マーシャルは。

Y:他にもいわゆる「ロック・テイスト」のアンプがありますが、一体マーシャルは何が違うんでしょうか?

H:ウ~ン、なんだろうな…。すごく抽象的なんですけど、すごく「ロック」の音なんですよ。ロック度が高い。僕の体の中にあの音が入りきっているんですね。

Y:お付き合いをしていて気がつくのは、土方さんは「あの真空管がどうだ」とか「こっちのスピーカーに変えるとどうなるか」とかほとんど…イヤ、絶対におっしゃらないでそのままお使いになりますよね?

H:そうですね。一時期ケーブルなんかに凝ったこともありましたが、考えてみるとジミヘンなんてあのカールコードであの音でしょ?そりゃいいに越したことはないけど、あんまりその辺に固執すると大事な部分を見失ってしまうような気がして…。それにマーシャルだって一番いい状態の設計にしているはずだし。仮に粗悪なケーブルしかない現場に出くわしたとしてもアンプの調整でどうにでもなるし。

Y:根っから現場の人なんですね~。30年のキャリア。はじめてのギャラは覚えていらっしゃいます?

H:夜の仕事でした。事務所に入ってお給料をいただいたのはフライング・ミミ・バンドのときです。30年前。

Y:その後はスタジオ生活?

H:あの頃世の中ディスコブームってのがありましてね。何でもディスコ・ビートに乗っけちゃう。ずいぶんレコーディングやらせていただきました。そして、その時のおかげで譜面にも強くなりました。

レコーディングとライブ

Y:レコーディングでもステージでもマーシャルをお使いいだいているわけですが、それぞれのシチュエーションで気をつけていることというか、使い分けているようなことはありますか?

Hijikata_iv_04 H:音量のことで言えば、レコーディングの場合はもう好きな音量で弾くことができるわけです。爆音でもOK。もろにマーシャルのすごさを発揮することができる反面、その音をマイクで拾わなければならない。ここでいかにそのマーシャルのすごさをマイクに拾わせるかが滅法むずかしい。エンジニアさんとのコミュニケーションが大切ですね。鳴っている音と録られている音とのギャップを埋めるのが大仕事。ま、とはいってもこっちでいい音を作っていればすんなりいくことが多いです。

Y:仕上がってみて、「アレ、ギターこんな音じゃないんだけど…」なんていうことはあります?

H:昔はよくありました。エンジニアの方が僕らより世代が上でマーシャルの音をご存じなかったんです。今はもう素晴らしい。皆さんよくマーシャルをご存知ですから何をするにもスムースです。

Y:一方、ライブはメンバー間の音量問題がありますよね?

H:そう。ライブはむずかしい。生一本のロックバンドでガァーっていくのは問題ないんですが、歌手のバックだとバラードからアップテンポまで色んなタイプの曲を演らなきゃならない。その辺の音量の調整が難しいんです。音量を抑えて音をショボくするのはイヤだし。抑えてもホットな音を保つようにしたい。だからマーシャルは使いやすいんですね。

Y:吉田美奈子さんのバックを務めるなんて楽器を演る人間にとっては最高の栄誉で、ステイタスの高い仕事だと思うんですが見ていてドキドキしてくる。耳の良さそうな方ですし、音量のバランスとか厳しいんだろうな~って。

H:そうですね。でも本当にやりがいのある楽しい仕事です。

Y:マーシャルを使ったレコーディングで気にいっているお仕事は?

H:マライア、ナスカ、すごく気に入っています。それからソロアルバムの「フル・ムーン」。あれはほとんどTSL60で録りました。あとアレ…。

Y:アレ?トニー木庭さん? H:そう!あれもお気に入りです。(註:土方さんはトニー木庭さんのソロ・アルバム「Rough & Smooth(Better Days YF-7025-N(BD))」で吉田健さん、清水信之さんとともにレイ・ゴメスの超絶曲「Westside Boogie」を演奏しています。この曲は他にも故Shawn Laneが凄まじいカバーを残しています)

気合を入れて弾く

Y:若いみなさんにアドバイスを頂戴できますか?

H:あのね、いつもマーシャルを弾くときには気合を入れるんですよ。気合を入れると音がよくなるんです。他のアンプはこれがないんですよね。やっぱり特別な思い入れがあるんでしょう。思い出を背負っちゃうみたいな。いい音で弾いてあげたくなるんです。若い方々にはわからないかもね。マーシャルとちゃんと向き合ってもらえるとうれしいな。だから、ちょっと弾いて気に入らなくても「あ、ダメだ」なんて思ってもらいたくない。すぐに結論を出してもらいたくないですね。マーシャルなら結論を出すのはとことん使ってみてからでも遅くない。

2008年4月21日 (月)

島紀史、マーシャルを語る

島紀史のステージで連想するものといえばマーシャル・フルスタック。島氏のマーシャルへの思い入れは人一倍強い。そして、リッチー・ブラックモアへの愛情…。その辺りをじっくり訊いてみました。情熱のロング・インタビューをお楽しみください!

マーシャルとの出会い
YMT(以下Y):それではまず、見たり、聞いたり、弾いたり、いつごろ、どこで?マーシャルとの出会いについてお聞かせください。
島紀史氏(以下S):イヤ「見たり」はもう自分のあこがれのギタリストが全員マーシャル(島さんは英語圏の人同様、マーシャルの「マ」にアクセントをつけて発音されます。)
だったから。15歳位の時かな。アマチュアバンドでライブハウスに出るようになった時に大きなアンプが必要になったんです。ヘビィメタルを演るのにコンボっていうわけにはいきませんよね?もう自然とマーシャルでした。
最初はJCM800時代の1959でした。先輩から譲ってもらいました。Aキャビといっしょに2段積みで。分割払いでね。帳面につけられて管理されました。「毎月キチンと払えよ」って。15~16万円位だったかな?
とにかく憧れのギタリストが全員マーシャルでしたから迷いはなかったですね。
Y:その前にも色々アンプは試された?
Shima_iv_001 S:そりゃ、小さいやつは色々と。でも大きいのはもういきなりマーシャルでした。他にも、ま、持っていたアンプもありましたが、やっぱりハードロック系ですから自然とマーシャルですね。
Y:マーシャルに誘導したギタリストの一番がリッチー・ブラックモア?
S:リッチー・ブラックモア。いっぱいいるんです。リッチーはもう別格です。で、まぁイングヴェイ、そしてウリ・ロート、で~ゲイリー・ムーア。リッチーを筆頭にこの4人の影響が大きいから当然マーシャルに行きつきます。全員マーシャルでしょ?だから、やっぱり自分の好きなギタリストがみんな使っていたからマーシャルになりますよね。
Y:今の若い人たちは、そういう「憧れの人が使っているから」という理由でなくしてマーシャルを選ぶこともあるようです。
S:でも僕の場合も中学生のときにスタジオに行ったらマーシャルがありましたもんね。僕の場合はそれで余計マーシャル度が高くなりましたけどね。でもやっぱり自分が好きな人たちへの尊敬と畏敬の念はずっと持ちつづけていたい。マーシャル以外のアンプを使っていたこともありましたけど、それも好きなギタリストがそのアンプを使っていたからですもんね。コンチェルト・ムーンがデビューして最初の2年位の間かな。
Y:どうしてその後またマーシャルに戻ったんですか?
S:そのアンプにはマーシャルを使うことによって得られる満足感みたいなものがなかったんです。背中に風圧を感じる爆音であったり、コントロールがシンプルであるがための奥深さであったり、そういう満足感は僕のギタリスト人生ではマーシャル以外には得られなかったんです。

マーシャル歴
Y:先輩から譲っていただいたJCM800の1959以降はどうなったんですか?
S:73年製位のピンスイッチの1959を入手しました。それは改造されていてマスターボリュームがついていました。そして、コンチェルト・ムーンのファーストの頃まではその1959を使っていました。97年のそのインディーズのアルバムを発表する位まではその改造された1959を使っていたんです。その後、さっきのマーシャル以外のアンプを買うために手放しました。結局、2000年にダブル・ディーラーのプロジェクトを立ち上げる時に、自分の中で「マーシャルじゃなきゃダメだな」って思ってトレモロつきのまた73年製位の1959を手に入れたんです。と、88年製位の最初の4インプットのリイシューを入手しました。
Y:1959Sですね?
S:後でわかったんですが、トレモロの方はどうも50Wだったんです。(註:1987のトレモロつきは1975年まで製造されていた)どうも音が小さいな~って思ってたら50Wだった。これが最初の50Wマーシャル体験でした。
それからまた100Wを入手しました。このアルミパネルの1959です。プレキシではないので70年代初頭ですよね?
他にも50Wの音のニュアンスが欲しくて2台位入手しました。100Wも何台か買いました。その内残っている1台がこれ(上掲)なんです。だからこうして見てみるとビンテージばっかりでしたね。
Y:島さんといえばそういうビンテージのイメージは確かにありますね。
S:憧れた人たちが使っていたアンプのルックスっていうのもありますからね。ビンテージ特有の。
Y:その後はもうずっとこれ(上掲)なんですか?
S:そう。ずっと使っています。ナンダカンダで6台位買いましたかね。今のこの2台は案外トラブルと無縁でしてね。マーシャルはホント圧倒的に丈夫。でもさすがにガタが来はじめたかな。
Y:日本国中回って酷使されてますからネェ。
S:でもとにかく「マーシャルは丈夫」っていう印象が強いな。

あこがれのマーシャル・サウンド
Y:それでは、島さんが「こういう音を出したい!」というあこがれのサウンドというと?理想の音みたいなものはあります?
S:もちろんありますよ!2期ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアの音!リッチーはマーシャル以外のアンプもあの辺りで使っていたようですが、「ライブ・イン・ジャパン」の音を参照すればあの音はもう200WのMajorですよね。レインボー期もそうですが、リッチーの音は成し得ていないんです。イングヴェイだったらアルカトラズ時代の音なんかは理想ですね。後はウリ・ロートのエレクトリック・サンのアルバムの音。スコーピオンズの時はルドルフ(シェンカー)と合わさってひとつの音という感じでしたが、「アースクエイク」や「ファイヤー・ウインド」のようにストラトキャスターと古いマーシャルの組み合わせによるあの音も理想の音ですね。
Y:ウリ・ロートの場合、彼の歌の好き嫌いがハッキリわかれるようですね?
S:もうウリなら何でも許せます。「あばたもえくぼ」か「恋は盲目」(爆笑)?
Y:それではもし、プロ・ギタリストには失礼な質問かもしれませんが、島さんのお好みを音を出してくれる神様がいたとして、自由にその音を出せることになったら、ギタリストとしてコンチェルト・ムーンはもちろん、人前でその音で弾いちゃうんですか?
S:やりたいけど…もうそれらをミックスした音というものが自分の中で出来上がっているから、例えばリッチー・ブラックモアのあの「ライブ・イン・ジャパン」のトーンのニュアンスでイングヴェイ・マルムスティーンくらい歪んでいて…ブラックモアよりイングヴェイの方が歪んでいるからね…ウリ・ロート的な「音の張り」みたいなもの、更にゲイリー・ムーアがストラトをマーシャルに突っ込んだときの荒々しさ等をすべて合わせて自分が演る「ヘヴィ・メタルに向く音」と言う風に考えるから、そのままの音では自分の音楽に向かないと思う。

悪魔に魂を売ってでも出したい音!
S:でもね、でも、あの「ライブ・イン・ジャパン」のあのリッチーの音が得られるなら…(間)…おShima_iv_002 金がいくらかかろうが、悪魔に魂を売れと命じられようが、何としてでも手に入れたいですね。
Y:それはそれでコンチェルト・ムーン用の音とは別に取っておくわけ?
S:(笑顔で)うん!
Y:そんなに好き?!
S:(笑顔で)うん!あの音と引き換えにおまえの命をいただこうと言われても、一瞬でもあの音が出せれば命捨てます。…ぐらいには思いますよね。
Y:ヘェ~。家に帰ってCDもう一回聴き直しますわ!
S:ガハハハハ!あの「ライブ・イン・ジャパン」は後から音質をいじったりしていますので、「完全版」なんかの生のリッチーの音を聞くともっと凄いですよ。
Y:ま、島紀史=リッチーなのはよ~くわかりますが、それから離れるとどうなりますか?例えばジェフ・ベックだとか…。いい音だな~って思うのは?
S:ヘンドリックス!
Y:CDで言うと?
S:「アクシス:ボールド・アズ・ラブ」。あと、「リトル・ミス・ラバー」って曲あるでしょ?あの音大好き。ジェフ・ベックはBBA時代と「ラフ・アンド・レディ」のころ。
Y:あとは?
S:一連のレッド・ツェッペリンの音も好きだし、最近ではザック・ワイルドの音がすごく好き。
Y:ザックの音はホントに美しい。
S:うん、僕のファンの方々はあんまりザックのイメージが僕にはないみたいだけど、大好きです。ガッツのある音でしょ?最近のギタリストの中では格段に上ですね。ザックはちっとも最近じゃないかッ?!(笑)
Y:そんなに好き?
S:実はね。にわかには信じてもらえないくらい好きなんです、ザック。ザック好きさに苦手なオジーものにも手を出します。意外ってよく言われます。男らしいものが好きなんですね。割合ナヨってなっていて好きなのはウリ・ロートくらい。
Y:住む世界が違う感じですもんね?実際に会って話すとなんかこうユラ~としたオーラを感じます。
S:絶対に霞食ってますよ!

島紀史のセッティング
Y:島さんの1959人生の中で得たレギュラーのセッティングみたいなものはありますか?
S:プレゼンスが1時、ベースはゼロ、ミドルが10時、トレブルが3時、ボリューム1がフル近く。リンクはしない。
Y:ベースはゼロ?
S:会場がデッドだったりすると確実にゼロ。低域が逃げるような会場は…上げても9時くらい。
Y:エフェクターは?
S:ワウとオーバードライブくらい。
Y:オーバードライブは入れっぱなし?
S:そう。レベルは10にするけど、オーバードライブはほとんど切ってますね。八時くらい。
Y:ようするにアタッチメント(笑)で歪ませてるワケではない?(註:最近「アタッチメント」という言葉をほとんど聞かなくなっているため笑っています)
S:そう、アタッチメント(笑)じゃない。
Y:でもそれだとスッカスカな音になりそうですけどね?
S:ま、1959を大音量で鳴らすと箱鳴りのローが出ますからね。あのスピーカーが悲鳴を上げるガッツのあるローは最高ですからね。

キャビネットについて
Y:島さん、このホームページはアンプばかりじゃなく、キャビネットにも重点を置いているんですよ。キャビの遍歴はいかが?
S:最初にJCM800時代の1960Aを持ってて、15歳の時です…僕のこのキャビ遍歴がまた面白くない!(笑)三段積みにしたくて18歳の時にBキャビを買い足したんです。その時のBキャビを今だに使っています。あ、もちろんスピーカーは入れ換えていますよ!
Y:スピーカーが飛んじゃったんですか?
S:イヤ、使いすぎてヘコヘコになっちゃったんです。その時楽器屋でアルバイトしてて色んなスピーカーを試したんです。それで一番ビタってきたのがセレッションのVintage30。
それ以来Vintage30ばっかりです。それで、その最初に買ったAキャビは…今でもそのBキャビの上に乗ってます!ダミーですから中はスカスカです。
Y:それじゃ1回もキャビネットは買い換えていないんですか?
S:うん。だからボッロボロ。自分でビンテージにしたみたいなルックス。とにかく自分のイメージする音を出してくれるのが1960とVintage30の組み合わせって完全に決まってしまっていますね。
Y:信頼できるってワケですね?
S:色々試したんですよ、G12T-75とかも。でも少し余裕がありすぎたりして。

弾いてみたいマーシャル
Y:新旧を問わず弾いてみたいマーシャルって何かありますか?
S:古いのだったら、あの1号機みたいなヤツ。
Y:一番最初のJTM45?
Shima_iv_003 S:うん。
Y:いわゆるオフセット?マーシャルが最初1965年にあのモデルを売り出すときに23台の予約が入ったんですが、予約リストの中にリッチーの名前が入っていたんですって。実はピート・タウンゼンドだけでなく、リッチーもマーシャルの開発には結構協力したらしい。
S:ヘェ~。そんな話を聞いたらなおさら弾きたい!あとメジャーですね、200W(モデル名1967、1967~1974年に製造されていた)。自分でも持っていたことはあったんですけど…。あと、ザックのシグネイチャー(2203ZW)も弾きたかったナァ。

●コンチェルト・ムーンの再開
Y:ダブル・ディーラーの活動に終止符を打たれて、心機一転コンチェルト・ムーンの活動に集中されて行くわけですが、何かその活動の中でマーシャルの位置づけというものはいかがでしょう?
S:ま、マーシャル以外のアンプで大きな音を出すということは絶対にないでしょうね。イヤ、今後の人生においてもマーシャル以外あり得ないかな。ただ、信頼度とか、最近の新商品の動向とかも考えると、お世辞やおべんちゃらじゃくなくてますます重要になっていますね。はっきりいってライブもレコーディングもVintageModernに変えようかと思っています。
今までクリニックや自分の機材が持ち込めない場合、アンプは必ずマーシャルを指定してきました。アンプ「Marshall」って書いてあれば、JCM900でも2000でも自分の音を作ることができるし、信頼度は何者にも代えがたい。コンチェルト・ムーンは来年結成10周年をむかえてメタル度もますますアップしています。より一層マーシャルでないとダメです。

レコーディングとステージ
Y:レコーディングでもステージでもマーシャルをお使いいだいているわけですが、それぞれのシチュエーションで気をつけていることというか、使い分けているようなことはありますか?使い方のコツとか。
S:やっぱりレコーディングの時はマイクで録られて、それなりにコンプレッションもかけられた音になるでしょ?だからステージで背中に音の風を感じて弾いている時と全然違います。たとえ同じセッティングにしてもね。なので、レコーディングの時は更にゲインを下げます。だからさっきお話したオーバードライブなんかは完全に切ります。音を小さくするという意味ではありませんよ。ゲインを下げた音にコンプレッションなんかをかけた音が返ってくるわけです。その音のニュアンスがステージの音と近いかどうかにこだわります。ボリュームは落とせないんです。そこでゲインを落とすんですね。それから、さっきベースはゼロと言いましたが、レコーディングの時は10時くらいまで上げます。
Y:なるほど。
S:ステージで感じるあのゴンと押してくるようなニュアンスはマイクは絶対に拾えないんです。だから、ベースを上げてやるんです。その違いは気をつけてます。
Y:それでもプレイバックを聞いて音がイメージ通りでないと後から加工したりするんですか?
S:僕は極力しないようにしています。録るときよりもミックスする時にEQ処理をすることはあります。とにかく背中で鳴っているマーシャルの音を再現することの試行錯誤には時間を費やしますね。

カッコいいリフはマーシャルから!
Y:島さんの感じるマーシャルの魅力を一口で語るとなると…。
Shima_iv_004 S:最大の魅力はガッツのあるこもらないローですね。あの6弦をミュートして弾くゴンゴンと弾いたニュアンスはマーシャルじゃないと出ないんです。そのガッツ感。パンチ力。僕がヘビィメタルをプレイしていて一番重要なのはそこなんです。
Y:あ、だからディープ・パープルにしてもレッド・ツェッペリンにして低音弦を使ったカッコいいリフ曲ができたのかな?
S:そう!カッコいいリフづくりにマーシャルは一役も二役も買っていますよ、間違いなく。
Y:そういわれてみるとフーにしてもキンクスにしてもコードでリフ曲をつくるバンドはマーシャルを使っていない…。(キンクスのレイ・デイビスは後年マーシャルを使っているようですが)
S:違うアンプでそれをやるとパンチがなくてぼやけちゃうんです。ボトムがすごく出ているのにぼやけちゃうんですよね。マーシャルはガッツ。ベースをゼロにしておかないとパンチが出すぎちゃう時があるんですよ。ストラトでもそう感じます。そして、明らかにピッキングのニュアンスを客席に届けてくれるハイがあるんです。何kの周波数帯とはわからないですけど、せっかく何年も練習してきたピッキングのニュアンスを完璧に再現してくれるのがマーシャルなんですよね。…ということは逆に使うのも難しいといえますね。ごまかしが効かないもん。そして、偉大な先達を見てください。リッチー、イングヴェイ、全員ピッキングのニュアンスがメチャクチャ豊かでしょ?それを再生する能力がズバ抜けているんですよ、マーシャルは!そこだ!
オッ、今ええこと言うた!何も考えてなかったのに!(爆笑)

VintageModernの魅力
Y:最近島さんはギター・クリニック等ではVintageModernを使用していただいていますが、あのアンプのどこが島さんにアピールしているんですか?
S:もちろん、名前の通りですよ!ビンテージ・マーシャルを長年使ってきた人間にとってこれほど違和感のない新商品はまずないと言っていいでしょう。ビンテージ・マーシャルはボリュームのコントロールがむずかしかったり、ご機嫌斜めになったり…どうしても古いからね…そんなことがVintageModernにはありませんからね!モダンという要素で言えばBodyとDetailのPre Ampの部分。ビンテージものでリンクしてもああはいかない。うまくミックスできても今度はボリュームが調節できませんもんね。特にクリニックでは音量の自由がきかないことが多いわけですから、ボリュームを下げても出したいニュアンスを出してくれる…この部分は最高です。クリーンが欲しければギターのボリュームを下げて上げればいいだけだし。つまみは200ケもついてないし(笑)。僕はそんなにツマミは要らないと思ってる。JVMだってツマミが多そうに見えるけどただ各チャンネルのコントロールが独立しているだけで全然シンプルですもんね。まったくもってわかりやすい。
Y:それではステージで使ったとしたらどうでしょうか?
S:そりゃ、そのままマスターボリュームを上げてあげればいいだけ。

シンプルにしてディープ
Y:それでは最後に読者の皆さんにマーシャルに関するひとこと頂戴できますか?
S:たまたま僕はヘビィメタルを演っていますが、フュージョンであれ、ブルースであれ、はたまたジャズであれ、アンプに関して言えばマーシャルで解決すると思っているんですよ。とことんクリーンで行こうと思えばいけるし、ラウドにディストーションかまして行こうと思えば右出るものはいないでしょう?シンプルですよね。シンプルだけにディープですよね。トーンをいじっていて「あ、ここを上げればこうなるのか~」なんて発見は今でもあります。ディープだからどんな要求にも応えてくれる。マーシャル以外のアンプを選択する理由がないんです。僕にはね!

ポール・ギルバート、マーシャルを語る

我等がポール・ギルバートがマーシャル・ブログのオープンを記念してインタビューに答えてくれました!マーシャルへの熱い想い、VintageModernの使い方など充実した内容でお届けします!


マーシャルとの出会い

YMT(以下Y):月並みな質問ですが、マーシャルとの出会いについてお聞かせください。いつ、どこで、どうやって?

Paulgilbert ポール・ギルバート(以下P):僕が11歳、ギターのレッスンを受け始めた時だよ。先生に最高のロック・アンプは何かと訊いたんだ。「MARSHALL」と答えてくれたよ。

そのころはとても小さい町に住んでいてね、そこにはたった2軒しか楽器店がなかったんだ。それもトランペットやドラムのような学校のマーチングバンドで使う楽器しか取り扱っていなかった。だからマーシャルにトライすることはできなかったんだ。

僕の最初のライブでのマーシャルの体験はちょうどロックコンサートに行き出したころのことだね。ヴァン・ヘイレン、UFO、パット・トラヴァース、サクソン、ランディ・ローズがいたころのオジー・オズボーン、そしてデフ・レパード。これらのバンドはすべてマーシャルのスタックを使っていた。そしてギターのサウンドはチョー最高だったね!

それからマーシャルを使っていた地元のバンドを聴きに行った。そこは小さなクラブだったのでアンプの音がしっかりとチェックできたんだ。そのギタリストのサウンドはとんでもなく素晴らしくて、正真正銘マーシャルのサウンドだった。そのアンプがメチャクチャ欲しくなったのを覚えているよ。

Y:一番最初に手に入れたマーシャルは?そして、その後のマーシャル・キャリアを教えてください。

P:15歳の時、1974年製の50W MKIIが$250で売りに出ているのを見つけんたんだ。その時の僕には大金だった。でもお父さんがお金を貸してくれたんだ。そうしてそのマーシャルをゲットすることができた。家に持って帰って鳴らしてみた。そう!もう途方もなくデカイ音だったよ!マスターボリュームがないモデルだったもんだから歪ませるには思い切りボリュームを上げなきゃならなかったんだ。そりゃものすごい爆音だよ!!でも、音はすごくよかったな。その後、お父さんがマスターボリュームをつける方法を探してきてくれたおかげで小さい音でもアンプを歪ませることができるようになったんだよ。
そのアンプはレーサーXの最初の2枚、”Street Lethal”と”Second Heat”でも使ったんだ。残念ながらレコーディングをする友達に貸したところ、彼の車から盗まれちゃったんだよ!!

お気に入りのマーシャル・サウンド

Y:お気に入りのマーシャル・サウンドは?具体的にアーティスト名やアルバム名などを挙げていただいても結構です。

Paulgilbert2 P:マイケル・シェンカーとルドルフ・シェンカーはふたりとも最高のマーシャル・サウンドを出すよね。僕は「UFOライブ(Stranger in the Night)」でのマイケルのサウンド、それから「ラヴドライヴ(Lovedrive)」や「蠍魔宮(Black Out)」のルドルフのサウンドが大好きなんだ。
僕はいまだにサウンドチェックのときはいつでも「ブラック・アウト」のリフを弾くんだよ。それから「大いなる野望(Corridors of Power)」のゲイリー・ムーアのサウンドもいいな。もちろん、モンタレーの時のジミ・ヘンドリックスのサウンドもはずせない。

VintageModernについて

Y:もし差し支えがなければ今のVintageModernのセッティングを教えてもらえませんか?

P:まずMID BOOSTをオンだ。そしてDYNAMIC RANGEをHIGHにセットして…

BODY              : 6
DETAIL            : 4
TREBLE            : 5.5
MIDDLE            : 3.5
BASS              : 7
PRESENCE          : 6
MASTER VOLUME     : 8
REVERB            : 0

ってところ。
もちろん、会場の音場によって調整するよ。たいていは自然なブライト感を出すようにするんだ。もし、会場がデッドの時にはDETAILやTREBLEをあげるかな。REVERBもホンノ少し。

Y:あなたはよく50Wアンプをお使いになりますが、100Wを使わない何か特別な理由があるのですか?

P:僕はパワー管をフルに働かしたサウンドが好きなんだ。そうすると100Wのアンプは僕が演奏するような現場では音が大きすぎちゃうんだね。

Y:マーシャルに限らず、一般的にアンプのお好みのセッティングというものはありますか?例えば、いつでもMIDDLEはフルにしているとか…。

P:新しいアンプを試す時にはまずギターのボリュームを低くするんだ。(10のうちの)2とか3位かな。アンプがどうクリーンになるか見るんだ。そして純粋なトーンを確かめる。それからゆっくりとギターのボリュームを上げていってオーバードライブの具合を見る。サスティン、コンプレッションを得るために充分に歪ませる。でも弾き終えた場面ではノイズやハウリングが起こらないようなクリーンさもなければならない。

試してみたいマーシャル

Y:試してみたいマーシャルはありますか?もし、モデル名がわからなければ、「誰それの何々」という感じでも構いません。

P:いつもマーシャルの公式ウェブサイトに見入って空想にふけっているんだよ!実際、最近2061Xを手に入れたんだ。まず最初に、見た目がメチャカッコいい!! すごく小振りでノブが4ケしかないのもいいね!これから発表されるビリー・シーンのソロ・アルバムの中の曲のギター・ソロで使ったんだ。それから、これから発売が予定されているニール・モースのアルバムでも使ったよ。とにかくピュアなギター・トーンが素晴らしいし、グッとボリュームを上げた時がたまらなく気持ちいいんだ!

一方では1987Xも試したいと思っているんだ。僕が最初に手に入れたマーシャルとそっくり同じだし、初期のレーサーXの作品で使っていたヤツだからね。もう一度あのトーンを試したいんだ!

そしてもちろん、ランディ・ローズのシグネイチュア(1959RR)!ランディのサウンドは僕が人生で聴いたヘヴィ・メタル・ギター・サウンドの中で最高のものだよ。僕は15歳の時に2度ほど彼を見た。2回ともその素晴らしさに打ちのめされちゃったよ!

最近の活動状況

Y:マーシャルに関係した最近の活動状況を教えてください。言い換えればマーシャルを使って最近はどんな活動をされているんですか?

P:去年G3のツアーのために2X12”のVintageModernコンボ(2266C)を買ったんだ。毎晩2266Cを劇場で使っていたのでパワー管をフル稼働させることができて、このアンプのテストには最高だった。このアンプのパワー管は特別なんだよ。KT66のサウンドはとてもウォームで倍音を出しまくるんだ。このサウンド、この感覚、言うことないね!! 
2×12”コンボだというのにジョー・サトリアーニやジョン・ペトルーシのサウンドと互角に渡り合うことが出来るんだよ!

そのツアーの後、家に戻ってVintageModernでニューアルバム「咆哮(Silence Followed by a Deafening Roar)」をレコーディングした。たくさんの人からギター・トーンについてのお褒めの言葉をいただいたよ!本当にVintageModernは他とは一線を画したアンプなんだ。

ライブとレコーディング

Y:マーシャルをレコーディング・スタジオで使うときとライブで使う時、明らかに区別していることは何かありますか?もしそうであれば何を、どうしていますか?

Paulgilbert3 P:アンプのセッティングの最も大きな要素はマスター・ボリュームをいかにセットするかだ。小さな会場ではそれほど大きな音は出せない。他の楽器とのバランスがあるからね。最近はギター・クリニックをよくやるんだけど、大抵は大きな音を出せない会場が多いよね?そういうときにはTHD Hot Plateを使うんだ。マスターボリュームを上げるためのアッテネーターだね。家でも使っているよ。僕のスタジオは完全な防音ではないからね。近所の人々を怒らせることなくパワー管をフル稼働させるには便利だね。

VintageModernのすすめ

Y:音のよさだけでなく、レスポンス、弾き心地等も含めてVintageModernのよいところを教えてください。

P:VintageModernは本当に美しいトーンを持っていると思う。今まで過去に使ってきたアンプのいくつかは「紙やすり」みたいな感じがする。そこへいくとVintageModernはまるで「七色の小石」という感じだね。それからシンプルなところも好きだな。マルチチャンネルのアンプは使ったことがないんだ。もしクリーン・サウンドが欲しければ、ただギターのボリュームをさげてやればいい。もしもっとサスティンやディストーションが欲しければオーバードライヴ・ペダルを使えばいい。僕がアンプに欲するのは最高の音を出すチャンネルがひとつあればいいということだ。VintageModernは完璧だね!

Y:最後に日本のファンの皆様にマーシャルについてひとことお送りしてあげてください。

P:まだ子供のころ、僕のおじさんがアンプに関するアドバイスをくれた。彼が言うには「アンプには“楽器屋アンプ”というものと“ライブ・アンプ”というものがある。つまり、楽器屋さんでアンプを試奏するときは大きな音では弾けない。だからエフェクターを山ほどつなぐか、ギンギンに歪ませやらないとそれらしくないんだ。何しろ音が小さいからね。でも、アンプをステージに乗せてバンドとともに観客の前に出るときには、他の楽器から抜きん出て、最高にクリアで豊かな倍音を出すアンプが必要になる。おじさんのサウンドはその通りだった。彼のアンプはもちろんMarshallだったよ!

僕のアドバイスは、「バンドといっしょに爆音でマーシャルを鳴らして世界中をロックしよう」だ!

Y:どうもありがとうございました。

P:Thank you!

*2008年4月11日、emailを通じて本人にインタビューしました。