AFD100情報

2010年3月10日 (水)

AFD100情報 vol.4~1959T対2203

250_afdlogomain 『AFD100情報vol. 2』でスラッシュと他ふたりが先回の動画の中でスッタモンダしている通り、スラッシュが『Appetite for Destruction』で使ったマーシャルが何なのかワケがわからなくなっているようだが、ここで事実関係を整理するためにマーシャルが1959T(註:クリーム時代にクラプトンが使っていたことでも有名なトレモロつきの1959)と2203の関係を説明してくれた。

そもそもアンプの改造がはやり出したのは80年代初頭のアメリカにおいてだった。プレイヤーたちはオリジナルの状態より一層高いゲインを求めたのだ。思い返してみるに、その当時のマーシャルの最新モデルはJCM800 2203や2チャンネルの2210とその50Wバージョン2205(註:マイケル・シェンカーの愛器)たちだった。下の写真は日下部正則さん所有の2210

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その頃の最も典型的な改造といえば、回路に手を加えたり、ゲイン段を足して、もしくはその両方を施してボイシングを変えることだった。その点1959Tはこの改造に最も適したモデルであった。なぜなら増設するゲイン段に必要とされる真空管をトレモロ用としてすでに搭載していたからだ。そうしてこの1959Tのトレモロ要のプリ管の片側を利用してスタンダードな2203のマスター・ボリューム回路にアップグレードされたのだ。(そのスペアの真空管は2203をも凌ぐゲインステージとして使用された)下の写真は1987T(1959Tの50Wバージョン、T氏のコレクション。トレモロのコントロール用のノ部が通常の1987より2ケ多い)

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こちらはichiroさん所有の1987T

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オリジナルのスラッシュのアンプについて記事を書いたジョン・ライマスは以下のように確認している。

「#39は1983年か1984年にS.I.R.が最初にそういう方法で改造を加えたヤツだと思う。

結局、プリアンプは2203スタイルのマスター・ボリューム回路とまったく同じに作り直されていたんだよ。つまり、2203仕様にするためにゲイン段がひとつ増設されていたんだ。そこへ行くと、1959Tは4番目の12AX7が搭載されていた…トレモロ用の球だ。でも誰もトレモロなんか使っていなかったね…この4番目の三極管12AX7がゲインを稼ぐために使われ、完全なゲイン段が増設されたんだ。つまり、2つのゲイン段を持つ1959Tでもあり、また別の見方をすれば、ゲイン段ひとつの2203ということもできるのさ」

スラッシュの記憶によれば、そのオリジナル・アンプはインプットがふたつあって、スモール・マーシャル・ロゴが付されていたということ。2203への移行期中のモデルとして知られている点としては、このような仕様のモデルは存在しないばかりか、イギリス国内でのEL34の入手困難を理由に1976年頃は、真空管を搭載せずアメリカに出荷せざるを得ず、現地の配給会社が独自に6550管を搭載していたのだ。(他のモデルは1974年からこのようにしてアメリカ輸出していた)

AFD100の開発をどうしていくか?次の段階にはプロトタイプの製作に入っていく。(その通り!6550管を使用するのだ!)他の真空管も使用し、スラッシュとの意見交換によって出されたアイデアも実験していくつもりだ。

こりゃパワー管は6550になるな…おそらく。

(10.02.10 1959T VERSES 2203)

2010年3月 2日 (火)

AFD100情報 vol.3~スラッシュのアンプはどんなかな? その2

250_afdlogomain_2 スラッシュ所有アンプ調査の2回目。どうも不明な点が多いようで…。

サンチャゴ・アルヴァレス(以下A):昨日ブースターかなんかの話をしてた?

スラッシュ(以下S):いんや…。そうじゃくて同じアンプの2つのバージョン違いについて話したんだ。ひとつはノーマル品、もうひとつはスペシャル・バージョンって。

A:30周年記念モデルかなんか?

S:そう。そのスペシャル・バージョンのアイデアてのは、多分ペダルにもできるようなメッチャいいプリアンプ・ブースターがアンプの中に入っててさ…。

A:中に?

S:ああ、ペダル・ディストーションを使った時なんかと違ったビックリするくらいのいいサウンドでさ、アンプが何かものすごい機械になっちゃうんだよな。でも、ちょっとコントロールしづらくなる。わかる?

Man(お手伝いの人、以下M):いいね~。

S:ソロとかスゲェ音でさ、フィードバックもバッチリ。外部の機材を使わなくてもいいように内部のゲイン回路に何か仕掛けがしてあるんじゃん?

A:おそらく構造が違うんだね。スペシャルバージョンは恐らくこんな感じで配線が…。

S:そうだな。ナァ、JCMのリイシューってやってないのかい?

A:まだやってるよ。

S:あ、そう?

A:やめたんだけど…

S:そいつぁいいわ。単純なヘッドだからな。

A:スタンダードだね。

S:全部知ってるワケじゃないけどタイトでいいよ。

A:ところで、「AFD」アルバムのオリジナル音源は持ってるかい?

S:「Appetite」のか?マスターがあるかってこと?

A:そう。ナンカない?丸々じゃなくてもいいよ。ソロのとこかなんか。

S:そうだな。俺は何も持ってない。何かできるかやってみよう。

A:助かるよ。

S:そんなこと考えたこともなかったよ。

A:ちょっと聴ければいいんだ。キャビネットやマイクによる部分もあるし。

S:おう。

A:どうすればよいのかがわかると思うよ。

S:わかった。やってみよう。

(オリジナル音声の状態が非常に悪いため正確を期せない個所もありますが、雰囲気だけでも味わってやってください)

つづく

2010年2月 8日 (月)

AFD100情報 vol.2~スラッシュのアンプはどんなかな?

Afdlogomain_4 AFD100の開発にあたってまず最初にすることは実際にスラッシュが使用しているマーシャルを綿密に精査すること。マーシャルのシニア・デザイン・エンジニア、サンチャゴ・アルバレスがLAでスラッシュと邂逅し、持参されたスラッシュのオリジナルの2203を解析するというビデオの第1弾をお送りします。

ステージ1:オリジナルアンプの解析

スラッシュ(以下S):まぁ、いくつかのアンプを使ったけどさ、とにかくコイツがドエラクいい音なんだよ。

エリック・ヴァレンタイン(プロデューサー、以下E):ホント特別なんだ。トーンの回路が普通のもの違うだろ。そんな改造って今まで見たことあるかい?

サンチャゴ・アルヴァレス(以下A):トーンの回路はまったく普通のマーシャルと同じだよ。でもヴォイシングが違うんだな。リヴォイシングされているんだと思う。

E:ヴォイシングが何だって?

A:ゲインだよ。ゲイン段。

E:あ、そう。

A:でもトーン・コントロールはまったくいじっていないよ。

E:わかった。それじゃ、トーンを変える何がしかの改造がゲイン回路に施されているのかい?

A:そうだね。3段階になってるんだけどすべて変えられているね。

E:そうか、だから…。

A:そう。

S:これを改造したヤツがSIRのアンプをいじったのかな?

E:イヤ、ティム・カズウェルのヤツとは違うよ、あの有名な#39のね。これはフランク・レヴィってヤツがやったんだ。小さなステッカーが貼ってある。

S:そうか。でも改造の仕方が…

E:でも違うモノだよ。

A:そうだね。2種類のアンプについて話し合ったんだ。ひとつはトレモロつきの1959.でもあれはゲイン段が2つなんだ。だからもうひとつゲイン段を足さないと…。

S:チョット待った。それってSIRのアンプのことかい?

E:そう。オリジナルの#39のSIRのアンプさ、1959だよ。

A:4インプットのヤツ…。

S:それって完全につくり直されたヤツかい?

A:アップグレードされているんだよ。800の仕様で…。

S:JCMだと思ったんだけどね。

E:イイヤ、違う。

S:違う?でもそう(アンプに)書いてあったぜ。

E:オリジナルの#39アンプにかい?多分そんなことないと思うんだけどな。

S:そうか。4インプットって言ったよな?

E:普通そうだよ。

S:覚えてないな…(笑)。ま、オレの記憶も怪しいもんだからな。

A:オーケー、とにかくあのアンプには800の仕様にアップグレードする改造が施されているんだよ。

S:そうなのかい?

A:だから、基本的な回路は同じようにしようかと思う。

S:了解。

E:そうだね、あれはこのアンプの先輩でこのアンプも同じようにしてあるってこった。

S:これが同じならオーケーだ。

A:あそう?そんなとこでいいの?

S:「Nighttrain」をそれで弾けばすぐにわかるよ。

E:まったくだ(笑)

つづく

2010年2月 6日 (土)

AFD100情報 vol.1~プロジェクト始動!

Afdlogomain_3 先日『NAMM2010レポート <後編>~アーティスト・モデル』の時に紹介しましたスラッシュの新しいシグネイチャー・モデルの開発プロジェクトが順調に進んでいます。

マーブロでは続々にアップデイトされる本国マーシャル制作のAFD100情報の専門ウェブサイトを日本の皆様にお伝えしていくことにしました。

以下は再録です。

スラッシュがシグネイチャー・モデルを開発する旨、本人が来場のうえ発表しました。その名もAFD100。Appetite For Destruction(もちろんガンズ&ローゼズのデビュー・アルバムにちなんで付けられています)の頭文字です。そのコンセプトをマーシャルのアーティスト担当、ポール・マーシャルがAFD100専門ウェブサイト内の動画の中で語ります…

「今日ここ(NAMMのマーシャル展示スペース)にスラッシュが来てAFD100とそのウエブサイトについて発表します。そのウェブサイトでこのモデルのアイデアや製造についての情報のアップデイトをしていきます。また、ビデオやコメント、インタビュー、さらにはサウンド・アドバイスなども充実していく予定です(大意)」

で、スラッシュがやって来た!

「スラッシュだ。オレの新しいアンプ、、、新しいオレのマーシャル・アンプを紹介するためにアナハイムまでやってきたゼ」と前置き。「マーシャル・アンプ」って言い直すとこが律儀でいい人感が出てますね。

「人前で話すのはキライなんだよ」と切り出したスラッシュ。続いてAFD100のコンセプトについて説明。『Appetite for Destruction』で使ったのはSIRスタジオから借りたJCM800 2203だったがそれが最高のアンプだった。それをその後も使いたがったが盗まれてなくなってしまった。今回のシグネイチャーはその2203を目指して開発をしていく…みたいなストーリー。

ご存じの通りマーシャルは市場初のシグネイチャーモデルとして1996年にスラッシュの2555SLを発表。この初のシグネイチャー・シリーズに続いてザック・ワイルド、ジミ・ヘンドリックス、ケリー・キング、ランディ・ローズとマーシャルのシグネイチャー・シリーズは連綿と続いて今尚盛ん。(こうして見るとスラッシュ、ザック、ケリーとJCM800がらみが3人も!)そして、またスラッシュの登場。これは決してネタがなくなったわけではなく(実際にシグネイチャー・シリーズの計画はもう先まで決定しています)、スラッシュともに原点を目指し、ロック・ギターの本当のカッコよさを取り戻そう!という意気込みが感じられます。

やっぱり、ロックの花形楽器はギター。カッコいいリフとギター・ソロが最高の見せ場でしょ。それを忘れてしまった今のロックに対するマーシャルの回答であり、それを知らない若い人たちへの呼びかけであるような気がします…「ロック・ギターってもっとカッコいいものなんだぜ!」って。(『大谷令文、マーシャルを語る<後編>』も是非ご参照ください)

上のポールが案内しているAFD100の公式ウェブサイトはコチラ

(新カテゴリー『AFD100情報』を設定したため記事を再録しました)