子供ばんど『永久凍土解凍SHOWCASE』~4月18日・前日ゲネプロ公開!
Kodomo Band "Thawing the Permafrost SHOWCASE" ~ General Probe Exhibition on the Right Previous Day!
<短編私小説:子供ばんどと私>…読むのが面倒な人は★までワープできます。
大塚に住んでいたT君は中学&高校時代の同級生で、私同様ギターに夢中になっていた。彼とは決して仲が悪いワケではなかったのだが、音楽の好みがまったく折り合わず、よく言い争いをしたものだ。人の音楽の好みなんて放っておけばいいのに…こういうところがまだ子供らしかった。
あの頃、ロックを聴きだすキッカケというのはビートルズという子が圧倒的に多かった。まだビートルズが解散して6年ぐらいしか経っていない時分だ。ビートルズではなくてベイ・シティ・ローラーズからロックに入るヤツも大勢いた。そういう連中はたいてい平日の5時15分から「ぎんざNOW!」を毎日観ていたはずだ。
そして、ビートルズを卒業してどっち方面に進むかが問題だった。私の場合、トッド・ラングレンも好きだったが、ロキシー・ミュージックやイエス、キング・クリムゾン等のプログレやハード・ロック…つまりドロドロのブリティッシュ・ロックが好みだった。今にして思うともうマーシャルに携わる萌芽があったのかも知れない。
一方、T君はイーグルスだのドゥービーだのとカラッカラのアメリカンまっしぐらだった。それがこっちは気に食わない。張り合っていたからね。「なんでハードロック聴かねーんだよ!」って。ワタシャ、これのおかげで今でもイーグルスが苦手なんだから…。
当時は当然インターネットなんてものはなくて、音楽の情報を得る手段といえば数少ない音楽雑誌を読むかラジオを聴くぐらいなもので、年上の兄弟がいるヤツがある種うらやましかった。情報網が増えるからね。それに当時LPレコードは2,200~2,500円ぐらいでとてもバンバン買えたもんではない。今でも新品は買えないけどね。レンタル・レコードなんてものもなかった。だからレコードを兄弟と共有できる環境にいるヤツが尚更うらやましかった。
私は年の離れた妹がいるだけ。T君は確かお姉さんがいたはずだ。いつか『サウンド・オブ・ミュージック』のサントラ盤をお姉さんに録音してもらったことがあったから覚えている。しかし、彼のお姉さんはロックには興味が無かったようだった。ようするに境遇は私とほぼ同じだった。
ところが、高校に入るとT君の音楽や楽器に関する知識が急速に進歩し、ロックを聴いていたはずなのに、彼との会話の中に「クロスオーバー」なんて言葉まで出てくるようになった。更に「~年のストラト」がどうとか「レスポールのトラ目がどう」とか「チューブがどう」とか…。オイオイ「トラ目」って一体なんだ?「チューブって自転車のか?」と、もうこっちにはT君の話しはチンプンカンプンになってしまった。明らかに水を空けられてしまったのだ。
音楽好きの兄弟もいないT君が一体どうやってその音楽や楽器の知識を身につけたのか?
答えは簡単だった。彼は学校に内緒で、開店してまだそう間もない池袋の楽器屋さんでアルバイトをしていたのだ。当時は楽器屋さんのお兄さんたるや、もう中高生にとっては雲の上の存在で、ギターはメチャクチャうまいし、ロックのことは何でも知ってるし、チマチマ音楽雑誌を読んでいるよりそういうお兄さんと仲良くなるのがギター上達への一番の近道だったのだ。
ところが、楽器屋さんのお兄さんはコワイ。せいぜいピックやケーブル程度の買い物をしない子供なんてなかなか相手にしてくれない。そこをT君はうまいことやったワケだ。
今でも覚えているけど、「ジェフ・バクスターってギターすごくウマイよな!」とかこっちが知らないのを見越して話しかけて来るんだよね。恐らくその楽器店でスティーリー・ダンの「マイ・オールド・スクール」かなんかを教わってきたんだろう…今にして思えば。あのスカンクのソロは確かにカッコいい。
こんな調子である月曜日の朝一番、血相を変えてT君が「オイ、子供ばんどって知ってるか?!」と教室に入り込む朝日に照らされて勝ち誇ったように叫んだのだ!
こっちゃ知るワケない。当時は洋楽に夢中で日本のロック・バンドを耳にすることの方が珍しかったから。
T君は興奮交じりに子供ばんどを説明した。どこかのライブを観てきたのだろう。彼がによれば、①とにかくギターがうまい②ミニアンプをヘルメットにくっつけて弾く③植木等の「スーダラ節」を演った④ノリノリのすげえカッコいいロックだった。
「なるほどそりゃ面白そうだ…ん~、観て見たい!」と思っていたのもつかの間、意外に早くその機会がやってきた。それは新宿ロフト(昔のね)で確かBAD SCENEと子供ばんどと三文役者というバンドのジョイントライブだった。
当時私はこの三文役者の手伝い…いわゆるボーヤ…をやっていて、楽屋に入ることができた。そこへノッシノッシと階段を降りてきたのはド派手なコカコーラのロゴのパンツをはいたトーベンさんだった。ベースをブラ下げてた。「オ~!これが子供ばんどのベースか!」と感動した。ライブはT君が説明したとおりのパフォーマンスで素晴らしいものだった。というか子供ながらにものすごいプロ根性みたいなものを見たような気がした。子供ばんどがEAST WESTに出場する前の話しである。
次に子供ばんどを観たのは原宿のクロコダイルだった。この時はソリッド・スライダーというバンドも登場した。何でもボーカルとベースの人がご兄弟で、ご実家が静岡のお茶屋さんだとか(これMCで話されたの)…。ギター&ボーカル、ベース、ドラムのトリオ編成で、このギターの人また想像を絶するスゴさで、歌もギターも血管がブチ切れるのではないかというほどの大熱演だった。テッド・ニュージェントの曲なんかを演っていた。
その次の日、渋谷にあった楽器店PACOにブラッと寄った。(このお店は当時のロご用達の楽器店で高校生の我々にはかなり敷居が高かった)すると、そこでギターを弾いている人はというと、何とうじきさんではないか!「昨日、クロコダイルへ観に行ったんですよ…」なんて恐る恐る声をおかけした。「対バンの人、すごかったですね!」というと「おお、すごかった!すごかった!」なんて会話をしたことを覚えている。(このストリート・スライダーズの話しは覚えておいてくださいね)
そして、次の機会は埼玉大学の学祭だった。実際にはお会いしなかったのだが…。私が入れてもらっていたバンドがその学祭に出演した。そのころはもう子供ばんどは大人気で、出番は我々とはまったく異なる時間帯だった。教室が楽屋になっており、黒板に大きな字でこう書いてあった。「うじき以下 ガキバンド! ちゃんとやっとけよ! 大二」。 大二とはもちろん岡井大二さんのことだ。
さらにNew Year Rock Festivalへの出演。テレビで見たうじきさんはPAのタワーによじ登っていた。
T君は今頃どうしているだろう…。
そんなことを思い出しながら23年ぶりに再結成された子供ばんどのライブに赴いたのだった。
★
元来、今回の再結成ライブは2011年4月19日に開催されるはずだった。ところがあまりにも人気が高く、1回きりのライブでは到底収まりきれなくなってしまったため、前日のゲネプロを公開してライブ・コンサートにしようということになった。
このレポートはその18日のライブのもようだ。
当然会場は超満員。1回ぐらいの追加公演ではとても間に合いそうもないようだ。
子供ばんど…あまり「なつかしい!」なんて思わないな。それよりも「待ってました!」という感じ!
ステージ下手にズラリと並んだマーシャル。うじきさんとトーベンさんのバックラインだ。
今回、うじきさんは70年代の1959をメインに使用した。JCM800以降直前のモデル。
ベースの湯川トーベン。トーベンさんは「大ベン」の時の他、何回かマーブロに登場してもらっている。
トーベンさんもマーシャルのベースアンプを愛用してくれているが、今回は1992LEMで登場した。
ギターの谷平こういち。
ドラムは山戸ゆう。
昔観た子供ばんどと変わらなかった。それはまさに日本のロック!シンプルにドライブするリズムに日本語が見事に乗るサマは改めてカッコいいと感じた。こういうガッツのあるロックを演奏する若者が何と少ないことよ!
18日のオープニングは新曲の「マンモスのうた」。いきなりヘビィな展開だ!
そして「ロックンロール・トゥナイト」。エ、もう演っちゃうの?私の子供ばんどの印象はこの曲に凝縮されている。
そして「のら猫」、「がんばれ子供ばんど」と代表曲がズラリと並ぶ!もうお客さん大喜び!
ギター・ソロがまたいいんだよナァ~。子供のころは気がつかなかったけど、フレーズがいちいち味わい深い!抜けまくるギター・トーンも大きな魅力だ!
昔と変わらないエネルギッシュなうじきさんのステージング!
普段からアツイ人だけど、ステージのうじきさんはもう手が付けられないくらい燃えちゃってた!
ああ、あのコーラのパンツを思い出す!トーベンさんも根っからロックを感じさせてくれる人だ。
「DREAMIN'」、「電車のうた」、「ターザンの逆襲」と続く。
トーベンさんのベースっていかにもベースらしくて好き。ピックで奏でるその音色も太さといい、重さといい、抜けといい実に気持ちがいいのだ。
もちろんボーカルでも大活躍!
「さよならBOY」、「TAKE ME TO YOUR PARTY」に続く。
ちょっとしたおそろいの振り付けもバッチリ!
そして「アル中ロックンローラー」、「Rock & Roll Singer」で本編を終了した。
くどいようだけど、日本のロックってカッコいいよナァ。
もし、このカッコよさがわからなかったら言われちゃうよ!「アンタはまだまだコドモだよ」って!
本編終了後、「TOKYOダイナマイト」、「NEW YORK! NEW YORK! NEW YORK!」そして「サマータイム・ブルース」を演奏。メンバーはステージを降りたが、それでも鳴り止まない拍手にうじきさんはアコギの弾き語りで2回アンコールに応えたのだった。
ああ怒涛の2時間!やっぱりホンモノのロックは素晴らしい!
さて、終演後、ショウを観にきていたトーベンさんの仲良しの伊藤広規さんと合流。そこで、広規さんからひとりのミュージシャンを紹介された。「鈴木です」…声を聞いた瞬間にあのクロコダイルの記憶が蘇った!ソリッド・スライダーのあの人だ!
そう、「あの人」とはスライダーの後、LOOKを結成して大ヒットを飛ばした鈴木トオルさんなのである。当然、あの時のクロコの話しなどをして盛り上がる!広規さん、向山テツさんと「ピラミデ」というバンドをされている。こりゃ、また楽しみが増えたゾ!
帰り道「こういうのがロックっていうんだよ!」なんて友達と話していた人がいたが、まったくの同感です。お客さんは青春時代に子供ばんどを経験された40がらみの方が多かったが、こういうバンドこそ若い人たちに観てもらいたいと思うのです。彼らビックリするんじゃない?
子供ばんどはこの後、8月の「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO」への出演が決まっている。
何から何まで大満足の一夜なのであった。
子供ばんどの詳しい情報はコチラ⇒子供ばんどオフィシャルサイト
(一部敬称略 2011年4月18日ヤマハ銀座スタジオにて撮影)

























