SPICE FIVE~ああ、高田馬場は今日も熱かった♪
SPICE FIVE~Ah, Takadanobaba was hot again today♪
木枯らしが吹きすさぶ寒~い日だった。JR高田馬場から肩をすぼめて足早に会場に向かう。もう少しの辛抱だ…ハコにたどり着ければ演奏は熱いに決まってる。
予想通りの快演。こんないい演奏を観た後は足取りも軽い。興奮で身体も火照り来る時のさむさなんかすっかり忘れていた…。以上。
と何も言うことないぐらいの素晴らしいパフォーマンス。あああああああああああああああ、もこういう音楽をひとりでも多くの人に聴いてもらいたい!
名手・和佐田達彦の新しいプロジェクト、SPICE FIVEのライブの話し。何しろメンバーの彩りが鮮やかだ。
エレクトリック・ヴァイオリンに武藤祐生。
キーボードとボーカル、小川文明。今日のシャツは地味だ。
ドラムはそうる透。
ギターとボーカルは田川ヒロアキ。昨日レポートしたようにスピーカーを交換したJMD501を引っ提げての登板だ。
まずは和佐田さんのチョイスでマイルスの「Jean Pierre」を演奏。
今から約30年前、『We Want Miles』を初めて聞いた時はブッ飛んだね。何に?ってMike Sternにサ。
当時いっしょにやらせてもらっていた大分年上のバンドのボーカルの人が1981年の新宿のマイルスを観に行っていてこう言っていた。「あの長髪の太ったギターのヤツうまかったナァ~」って。当時マイクは非常にふくよかだった。この言葉が気にかかって『We Want Miles』を耳にしたのだった。何でも吸収したい頃だったからね。
そして、『The Man With the Horn』でもマイクが弾いているのを知ってすぐに聴いたが、1曲目の「Fat Time」にしか参加していなかったのでガッカリした。でも、マイルスが「ジミ・ヘンドリックスのようにガンガン弾け」と言われてガンガン弾いたこのソロがこの上なくカッコよくてソロを全部コピーした。確かオープンリールを使って速度を半分にして…。
ジャズ評論家から「マイク・スターンはただのロック・ギタリストだ」と酷評されて男泣きに泣いたマイクを「アイツらは何もわかっちゃいない。オレはお前のよさを充分理解している」となぐさめたエピソードも好きだった。
とにかくマイク・スターンのギターが聴きたくて参加作を漁った。タイガー大越の『Tiger's Baku(ドラムはヴィンス・カリウタ。これがまたカッコいい!)』、Blood Sweat & Tearsの『Brand New Day』など…。マイルスの元を離れ、ソロ・アルバム『Neesh』はよかったが、その後ドップリとフュージョンになってしまって…それからはチョット…。
でも1986年のLew Soloffの『Yesterdays』はドラムもエルヴィンで素晴らしい。Roland Princeの「Antigua (=Anti Calypso)」が大好き。それとベテラン・テナー奏者Jerry Bergonziの1995年の『Vertical Reality』はオススメ。
あ、それと何といっても1981年の新宿の演奏を収録したCD2枚組の『Miles! Miles! Miles!』。何しろ猛烈な病み上がりでマイルスは元気がなくて不調極まりなく、このCDへの評価もかなり厳しいが、ナ~ニ、マイク・スターンのギターとマーカス・ミラーのベースを聴くつもりなら何ら問題はありゃせん。むしろ、マイルスの不調分をバック陣がカバーしようと一生懸命演奏していてカッコいい…と思ってます。実はこの音源はFM東京かなんかでオンエアされてもちろんエアチェック(この言葉ってまだイキ?)。そのテープを後生大事にしていたのだが、お約束通り失くしてしまった。それがCDになったてーんで喜んでゲットしたのさ。
…と大分話がそれたが、そんな思い入れのある曲だけにシ・ア・ワ・セ。和佐田さんありがとうございます。もちろん、SPICE FIVEの演奏も言うことなし!
武藤さんはギターアンプでヴァイオリンを鳴らしている。その加減もあってマーシャルもお詳しい。ヴァイオリン好きだ~。マーブロのヴァイオリンの話しはコチラ。
休憩中にアンプ談義からヴァイオリン談義へ。レイ・ナンスの話しで盛り上がったっけ。武藤さんはヴァイオリンでバッキングするということに心血を注いでいらっしゃる。
武藤さんに順番が回ってきてロング・トーンでソロに入る。この瞬間がたまらないんだよね~。残念ながら今回はマーシャルではなかったけど、またよろしくお願いしますね。
そういえばMauro Paganiが来日するそうで…。日本っていい国だ。
ヒロアキくんとのバトルは当然スリリング!こういうライブが観たいよね!Herbie Hancockの「Cameleon」もよかった。そういえば、このバンドも「Stratus」が似合いそうだね。「Quadrant 4」もおもしろそうだ。
演奏だけではなく、MCも楽しい。この日盛り上がったのは向かいのうどん屋さんが閉まっちゃって困った話しと数ヶ月前に大いに世間で話題となった中国の遊園地の妙なコピー着ぐるみの話し。結局みんなアレ好きなんだよね。和佐田さんの爆笑MCに油を注ぐのが文明さん!聴衆を絶対に飽きさせない。
今日の文明さんは「Stormy Monday」を歌詞の説明つきで熱唱。文明さんのレパートリーではBob Dylanの「My Back Page」も大好き。Keith Jarrettアレンジ(『Somewhere Before収録』)で日本語歌詞なんて絶対いいに決まってるもんね。この日は聴けず残念!
文明さんの声ならBilly Prestonの「Nothing From Nothing」なんてハマるような気がする。きっといいよ。聴いてみたい!
透さんはこの会場が初めて。誰よりも早く来てぬかりないようセッティングをされたとか…。そういう人なんだよね、透さんって。おとぼけCats時代も一番練習するのが透さんっていう話しを聞いたことがある。練習をする人ってカッコいいと思う。
さて、問題のJMD501はどうなったか?注入された「G12K-100」という名のラヴの威力はいかに?
答えはカンタン。超ド級のサウンドだった。昨日のレポートにあるように立体感が出て音に奥行きが生まれた感じ。抜けは最高。歪みは限りなく太くフィードバックも思いのまま、クリーンの美しさも比類なし。ギターは言わずもがなだが、JMDがまるで彼の身体の一部のように感じてしまった。ああ、マーシャルの連中に耳かっぽじって聴かせたい!
この日のクライマックスがやって来た。以前に他のギグでやって好評だったという。お客さんにキーを頂戴して、そのキー以外はフリーフォームでジャムってみようという趣向。
今日のお題は「C」。
ゆったり静かに始まって徐々に発熱して…。ま、当然そういう展開は読めるのだが、音の化学反応が進み、ドライブし出してからの和佐田さんのベースが凄まじかった。火を噴くような超絶ソロはもちろん、バッキング時のベースラインがもうどうしようもない位イカしてる。ラインを聴いているだけでも鳥肌モンだった。
曲中即興で「うどん屋さんが閉まっちゃった」歌を披露したヒロアキくん。とにかくギターがスゴイ。彼と初めて会ったのは2008年のこと。あれからモノすごくうまくなった。うまいのは当たり前でこんなことプロに失礼か…。イヤ、そうではなくてフレーズの幅がおっそろしく広がったと思う。至極音楽的なのだ。
実際にこの日もバップっぽいメロディを繰り出して、「エッ、こんなフレーズ知ってんの?!」と息をのませる個所がいくつもあった。それも極上のギターサウンドでやられるのだからこっちはタマッタもんじゃない。ソロが終わると大拍手。これまるでCharles Mingusの『Mingus at Carnegie Hall』のRahsaan Roland Kirk。アレだ。ヒロアキくんのオリジナル曲も数曲ピックアップされた。
文明さんのキーボード・ソロも極上だった。音楽の厚みがスゴイ!最後にはRay Charlesの「What'd I Say」や十八番のDave Masonの「Feelin' Alright」で大盛り上がりさせてしまった!文明さんの声って何でこんなにソウルフルなのかしらん?うらやましい。
フリーフォームの曲をこれだけまとめ上げるのは透さんのフレキシブルなドラミングがあってこそ!静かに始まったこのアドリブ狂想曲を徐々に盛り上げてひとつの大きなドラマにしてしまった!和佐田さんとのコンビによるドライブ感は格別だった。
このバンド、個性のかたまりで実に面白い。ずっと続いてくれることを望む。
そして、田川ヒロアキの音楽的成長がとても楽しみだ。(生意気言ってスミマセ~ン!でもホントなんだもん!)
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano
(一部敬称略 2011年1月10日 高田馬場音楽室DXにて撮影)





















