Tokyo Guitar Showイベント・レポート~三宅庸介編
Yosuke Miyake's Strange Beautiful & Loud in Tokyo Guitar Show
毎年6月に開催される恒例の「東京ギター・ショー」。今年で9回目を迎え、ギター好きにとってはこの季節の風物詩としてすっかり定着してきた。
不況にも負けずたくさんの音楽愛好家が訪れ賑わっていた。そう、こんな時こそ音楽を聴いて演って、不況なんかブッ飛ばしやがれ~!
東京ギター・ショウの名物のひとつはライブ・イベントだ。 不況も逃げ出す強烈なラインナップで今年もショー全体を盛り上げた。
そのトップ・バッターが三宅庸介バンドだ。
下は2009年10月21日に発売されたYosuke Miyake's Strange, Beautiful & Loudの『Lotus And Visceral Songs』。日本では滅多にお目にかかれないオリジナルのギター・ミュージックがギッシリと詰まった名盤だ。イヤ、失礼を承知でいえば、今の日本の音楽事情を考慮すると、他に類を見ないという意味でむしろ「珍盤」と呼べるかもしれない。これが珍盤とならないような日本の音楽シーンの活性化を心から望む。

グループ名からもわかるようにジミ・ヘンドリックスからの影響が大きい三宅庸介のプレイング・スタイルだがその展開法は独特だ。特にあのボイシングは強烈そのもの。
ジミ・ヘンドリックスのデビューアルバム『アー・ユー・エクスペリエンスト?』収録の「Third Stone from the Sun(=宇宙人から見た地球。太陽系では地球は太陽から数えて3番目の星)」の中でジミが「Strange beautiful grass of green(奇妙で美しい緑の芝生)」としゃべっている。
この曲の冒頭にはテープの回転を遅くして加工した低い声が収録されているが、これは宇宙人に扮したジミとマネージャーのチャス・チャンドラー(元アニマルズのベーシスト。マーシャルの2466やJMD:1の開発に携わったスティーヴ・ドーソンも元アニマルズだ)の無線上での会話で、チャスが飛行士、ジミが管制官の役だ。
「太陽って呼ばれている星の三番目の惑星の軌道に入った」「多分それが地球ってヤツだろう」「その通り。知的な生物がいることで知られていいる」「よく調べてみよう」
なんてことを言ってるらしい。このアルバムは1967年の発表。同じく宇宙飛行士と地上管制官の会話を歌にしたデヴィッド・ボウイーの名曲「スペース・オディティ」が1969年。いかにジミがブッ飛んでいたかがわかる。それにしても60's、70'sロックのクリエイティビティはスゴイ!今こんな曲をクリエイトできる人がいないでしょう。想像の世界にしかなかったモノやコトが現実のモノになってるからね。科学の進歩はありがたいけど、ロマンを失うことがあるね。
当日はVintageModern2466とDSL100、1960BVが使用された。
足元のようす。ペダルにもMarshallスクリプト・ロゴが!
ベースは山本征史。日本メタル界の最重要ベーシストのうちのひとりだ。
山本も1992 SUPER BASSを引っ提げて登場!やっぱオール・マーシャルはステージが映えるね!
ドラムは金光健司。
クリスピーで表現力豊かなドラミングで三宅庸介の音楽を織り上げていく。
名手3人が一丸となって鬼神のごとく観客に襲いかかる!ま、ハッキリ言って口をあんぐり開けっぱなしのお客さんもいらっしゃいましたよ。「一体なんじゃ、この音楽は?!」みたいな…。でも、この手の音楽がひとりでも多くに人に聴いてもらえるのは自分のことのようにうれしいな!
終始入魂のプレイでマーシャルとストラトキャスターのコンビネーションの素晴らしさをアッピールしてくれた。
その三宅のプレイに堂々と渡り合う山本。
と、まや山本のプレイに触発されてエキサイトする三宅。これがライブ音楽の楽しさだよね!スリルそのもの。やっぱり音楽には「スリル」と「毒」が絶対に必要なのだと思う。
マーシャルのベース・アンプっていい音だナァ~。もちろん弾き手がいいからなんだけど、図太くて貫禄があって、とてつもなく音楽的に響くような気がする。そんなことを三宅さんに話すと「僕は山本が弾くマーシャルのべース・サウンドが大好きなんです」としみじみとおっしゃっていた。ナンダ、やっぱりみんなそう思っているのか!明日も登場するが…1992の復活を望みたい!
音楽の種類を形容する時のひとつの方法として「ブルース」という言葉を用いることがある。例えばプログレッシヴロックというジャンルを表現するのに「ブルースからもっとも遠い位置に存在するロック」のように。
確かにイエスの「危機」やジェネシスの「サパーズ・レディ」を聴いてブルースを感じる人はいないだろう。ただし、プログレのアイコン的存在のキング・クリムゾンは『コンストラクション・オブ・ライト』で「プロザック・ブルース」という異形のマイナー・ブルースを演じていたが…。でも、ロバート・フリップはピーター・ガブリエル(私の世代は「ゲイ」ではなく「ガ」です)のファースト・ソロ・アルバムの中の「ウェイティング・フォー・ザ・ビッグ・ワン」で見事なブルース・ソロを弾いて見せてくれていたけどね。
「危機」といえば、昔の洋楽につけられた邦題はすさまじかった。原題は『Close to the edge』=「キレそうな状態」とか「怒り爆発寸前」という意味。ジェフ・ベックの『ギター殺人者の凱旋』はおなじみ『Blow by Blow』。これは「逐一詳細に」みたいな意味だ。不幸にして今のところ両方とも実際に外国人が口にしているのを聞いたことがない。
もう少し原題に近いタイトルがついていた方がいいのに…と昔は思ったが、今ではこれはこれでロマンがあっていいなと思うようになった。そういえば、同じアルバムだとは知らないために『ギター殺人者の凱旋』を持っているにもかかわらず『Blow by Blow』を買いに石丸電気に行ったヤツがいたっけ。カウンターで「ジェフ・ベックの『ブロー・バイ・ブロー』ください」と注文すると、商品を差し出す店員さんに真っ赤になって「スミマセン、持ってました」と注文を取り消していた姿が忘れられない。私じゃござんせんよ!
これは完全な私見なのだが、私には三宅庸介の音楽からブルースが聴こえてこないのにブルースを感じる。ジミ・ヘンドリックスが礎にあるからだろう。
音楽的に見れば、ボイシングはブルースのそれとはるかにかけ離れて複雑なものだし、ソロ・フレーズもペンタトニックだけで組み上げることをしないからだとは思う。そして、非常にケーデンス感が希薄で普通の作曲法と違う次元で音楽が作られているような…。コレ、よほど頭の中で確固たるイメージがないと表出しない音楽だと思う。それをまた具体的に音にするのが大変な作業なのだ。また3拍子の多用も大きな特徴といえようか。ものすごいイマジネーションだ。
それにつけても、素晴らしいマーシャル・サウンド!高域から低域まで実にバランスと取れたサウンドだ!
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Yosuke Miyake's "Strange, Beautiful & Loud"
山本征史の詳しい情報はコチラ⇒山本征史Official Site
実は金光健司、山本征史、そして島紀史からなるトリオ・バンドが結成された!ライブは11月とまだ先の話だが、首を長くして待つことにしよう。
金光健司の詳しい情報はコチラ⇒stroke life
これからも是非積極的に自身の道を突き進んでもらいたい!
(敬称略 2010年6月26日 東京ギター・ショーにて撮影)
