マーシャル・カタログ物語~梅村昇史の世界 <前編>
ウェブサイトやブログの制作に加えて、JVMやVintageModern以降の怒涛の新商品ラッシュでタイミングを失っておりましたが、この度久しぶりにマーシャルの総合カタログが出来しました。さて、久々のカタログにふさわしく表紙のイメージを刷新してみました。それがコレ。メッチャ、気に入ってるんですけど!
作者は梅村昇史氏。同氏はCDジャケットをはじめとした音楽関連のフィールドで活躍するデザイナーです。このお方…。
梅村氏が最近手掛けた作品を紹介しましょう。まずはCDジャケット。
ROCKIN' THE USA PART3 / JIMI HENDRIX (MSIG0576/7 MSI)
1968年5月のフィルモア・イーストのセカンド・ショウや「マイアミ・ポップ・フェスティバル」、同じく68年11月の「An Electric Thanksgiving」の模様を収録。もちろんマーシャル!
ROCKIN' THE USA PART4 / JIMI HENDRIX (MSIG0580/1 MSI)
こちらは1969年のオークランド、70年1月のニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデンでの演奏を収録。ヘンドリックス27歳、死の8ヶ月前の演奏です。
FLOATING WORLD LIVE / SOFT MACHINE (SDCP-1002 ストレンジ・デイズ・レコード/ユニバーサルミュージック)
1975年ドイツ・ブレーメンのラジオ放送用音源を収録したスタジオ・ライブ盤の国内版。「収束(Bundles)」期、ホールズワース参加の人気盤。氏による手の込んだイラストが輸入盤よりはるかにソフツの雰囲気を醸し出しているでしょう?よく見ると街の看板には収録曲が描きこまれていたり、カンタベリー・ミュージックの大ファンという梅村氏らしく「Canterbury」という文字が何箇所かに登場しています。(実は筆者もカンタベリー大好きでしてね…数年前、現地まで行っちゃいました)
THE SOFT MACHINE LEGACY (SDCP-1001 ストレンジ・デイズ・レコード/ユニバーサルミュージック )
エルトン・ディーン、ジョン・エサーリッジ、ヒュー・ホッパー、そしてジョン・マーシャルというソフツの歴代トップメンバーによる2006年の作品。2006年にエルトン・ディーンが、2009年にヒュー・ホッパーが死去。もうこのメンバーでの演奏は不可能となってしまいました。こちらも無機的なコラージュによる手法にどこかユーモアを思わせるデザインで内容にぴったりの雰囲気。
ちなみにエルトン・ジョンの本名はレジナルド・ケネス・ドワイトといいますが、「エルトン」は以前のバンド仲間であったこのエルトン・ディーンから、「ジョン」はロング・ジョン・ボルドリーから頂戴してそのステージ・ネームを名乗っています。「しかし、エルトン・ジョン・ファンでエルトン・ディーンを知っている人なんているのかな?」とは梅村氏の弁。ホント同感です。
ZAPPA BOX, LATER WORKS / FRANK ZAPPA (VACK-5914/5920 ビデオアーツ・ミュージック)
ザッパ晩年の作品を紙ジャケにしてボックスに収めたもの。氏はほかにもザッパ作品の国内盤の帯のデザインなども手掛けています。同時に氏は著名なザッパ研究家でもあるのです。ヤングギター(シンコーミュージック刊)2009年7月号には氏のペンによるザッパ・クロニクルが掲載されています。筆者もザッパ関連でわからないことがあるとよく梅村さんに教えを乞うてます。
サルサ人形の家 / 弘田三枝子(MSI/POPMAY POPMAY36)
弘田三枝子、「バケーション」、「砂に消えた涙」、「夢見るシャンソン人形」をはじめとした洋楽カバー、「人形の家」でのレコード大賞受賞、日本人初のニューポート・ジャズ・フェスティバル出演などその偉大な業績は枚挙にいとまがありません。98年リリースの2枚のアルバムを1枚のCDにデジタル・リマスターした限定編集盤。「ワンサカ娘」もミコさんです。
続いては書籍。
『スケルトンキー/グレイトフル・デッド辞典』 (工作舎)
こちらは本の表紙。筆者は熱心なデッド・ファンではありません、好きだけど。どの部屋でも開けることのできるいわゆるマスター・キーのことを「スケルトン・キー」というようですが、まさにデッドのA to Z本だからそういうタイトルなのかしらん?デッドのシンボルといえばSkull。それをモチーフとしたデザインだがどこかコミカル。そう、「コミカル」は梅村作品のキーワードなのです。お気づきになったでしょうか?「アオクソモクソア」風の上部のレタリングは「スケルトン・キー」とカタカナで書いてあるのです。ところで、数年前に野音で見た「めんたんぴん」カッコよかったナァ。
フライヤーも手掛けています。つまりチラシ。
ZAPPA PLAYS ZAPPA/来日記念フライヤー (SMASH)
2009年のZPZ(Zappa Plays Zappa)来日公演のチラシ。公演に先駆けて都内の某CD屋さんで開催された「大山甲日さん(「大ザッパ論1&2」を編んだザッパ研究家。本職は友禅作家)と直枝政広さん(カーネーション)のトークショウ」に梅村さんが飛び入りでザッパの関連レコードの解説をされていました。エドガー・ヴァレーズからTOTOまで!
氏のイラストは可愛くてユーモラスで深みがあってすごく好き。そういえば「デヴィッド・アレンの線描画っていいですよね!」と意気投合したこともありましたっけ。
在日ファンク (PCD-4399 P-VINE RECORDS)
2010年1月に発売された和製ファンクバンドのファースト・アルバム。コレ、いいっすよ~、マーシャルとおよそ関係ないけど…。暑苦しくなくて好き!リーディング・チューンの「きず」のロケ場所がアメ横なのもうれしかったりして!丸井さんの裏でしょ、コレ。MySpaceで試聴できます。
梅村さんがこの仕事の依頼を受けた時、「『在日』か…。よっしゃ頭文字『Z』じゃん!」とほくそ笑んだかどうかは私は知りません。でも絶対そう。だってこんなに「Z」が大きいんですもの!(そういえばイヴ・モンタンとジャン=ルイ・トランティニアンの「Z」という映画がありましたな、観てないけど。さらに、この「Z」では驚いたことがひとつあって、私が唯一愛読するマンガ、「元祖!浦安鉄筋家族(浜岡賢次著、秋田書店刊少年チャンピオン連載)」の中で、ある部屋に貼ってあるポスターの図柄がこの映画「Z」になっているのを発見したのです。このマンガはジャズや60~70年代ロックが好きな人が見れば至る所に仕込みが発見できて2倍楽しいでしょう。例えば学習塾の名前が「アガルタ」だったり、The WhoのTシャツを着た人が歩いていたり、いつもニヤリとさせられます。いつかマーシャルも登場しないかな~!)
先日、LPでは持っていましたが、CDに買い直そうとようやくゲットしたPierre Moerlen's Gongの『Live』。帯とライナーノーツのデザインに何故か親しみを感じてそのクレジットを見ると梅村さんの作品でした。「Umemura」じゃなくて「Uemura」になってたけど…。
後編では実際に梅村さんにマーシャル・カタログ表紙の作コンセプトなどを伺いたいと思います。
つづく









