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2010年2月

2010年2月26日 (金)

ルーク篁、マーシャルを語る <前編>

今回のルーク篁さんの『マーシャル・トーク』は去る2009年12月13日に開催されたマーシャル・ロードショウの模様を収録したものです。ルークさん、お話が滅法お上手で聴いているこちらも最高に楽しくて、何度もマーシャルとは関係ない話題に突入しました。その辺りも少々文字にしておきました。お待たせしました!前後編の2回にわたってお送りします。お楽しみください!

ニュー・アルバムについて

マーシャル(以下M):ニューアルバム『Green Horn』を発表されて、レコ発ツアーも完了。お疲Green_horn れさまでした。いかがでしたか、ニューアルバムの反応は?
ルーク篁(以下L):去年は(2008年)ベスト・アルバムしか出せなかったので、昔から聴いてくださっていらっしゃるファンの方々には1、2曲しかお聴かせできなかったんです。だから今度のアルバムは2年半ぐらいぶりらしいんです。
M:らしい?
L:あんまり自覚がないんですよね。だから待望のアルバムになったようです。そして、聴いてみると元気がよくていい感じだし、みんな「いいんじゃないですか」って。
M:おいしいエキス満載で…聴かせどころを無理やり詰め込んだとはいいませんが…。
L:アハハハハハ!(大爆笑)
M:失礼。ギターソロもバッチリ決まっていて素晴らしい。それでこのアルバムで使われたアンプがJVM410 H。これで全部録られたんですか?
Jvm410h_front L:そうですね。全部JVMだと思う。
M:思う?
L:(爆笑)イヤイヤ全部コレ。コレです。
M:よくミュージシャンってレコーディングの状況を覚えていらっしゃいますよね。「あの曲のあそこは何を使ってどのエフェクターをかけて…」とか。それなのに…。
L:ウッソ~!そうかな~?皆さん、そう?
M:たいていは…。
L:シャラさんも?
M:シャラさんは完璧に覚えていらっしゃいます。マイクの角度まで。それで、シャラさんもアースシェイカーのニュー・アルバムは全部JVMで録られました。
L:知ってる知ってる!シャラさん、最初JVM苦手だったんだよね!
M:アレ?人のことは覚えていらっしゃるんですね~?:(会場大爆笑)
L:将棋指しの方々なんかもモノスゴイ記憶力ですもんね。指した手を全部覚えちゃう。
M:それで千手先まで読んじゃう。でもミュージシャンも記憶力のよい人が多いですね。ルークさんも先日のポール・ディアノとか高見沢さんとかサポートされるときは暗譜されるわけでしょ?大変ですよね2週間で30曲覚えてこいなんてことも…?。
L:そう。でも覚えておかないとステージで格好つけられないじゃないですか。僕はね、うまいギタリストとは思っていませんが、そこそこ格好のついてるギタリストだと思ってるんですよ!(会場大爆笑&拍手)
M:マーシャル・ブログで色々な方に写真を撮らせていただいているでしょ。一発で気に入った写真が撮れる方と何枚撮ってもうまくいかない方もいらっしゃる。そこへいくとルークさんは撮った写真がみんなキマってる。一発で決まる。いつもカッコつけてるってことかもしれないけど…。(会場爆笑)
L:そうですか。でも僕はたくさんある写真の中でいいのが少ない方だと思うんですよ。
M:レベルが高いんじゃないんですか?
L:イヤイヤ、聖飢魔IIの頃から…エース清水なんかカッコいいわけですよ!でも僕は「コレじゃダメだネェ」みたいな。
Luke958 M:このお写真は?手裏剣?(爆笑)
L:きっと指輪を見せたいんですよ。
M:お、なるほど!
L:写真ってスタジオとかで撮られるの難しいですよ!すごい明るい所で、いいおべべ(ママ)着せてもらって、もちろんそれなりの顔をするんだけど…。突っ立てるだけじゃダメじゃない?それ考えると海老ちゃんなんかスゴイよね!(爆笑)モデルってスゴイよ。何もないところで、シャッターの音しかしないところでスゴイ笑顔でさ!普通できないっすよ!
M:だからといって海老ちゃんはこのポーズしないんじゃない?(大爆笑)
L:今日はこの調子いくよ~、3時間ぐらい!
M:大丈夫、大丈夫、このロードショウ、最長3時間半までやったことあるから!
L:エ~!(会場大拍手)

と、こんな調子でマーシャルとはまったく関係ない話でスタートしたルーク篁のロードショウ。新商品の紹介を交えルークさんにマーシャルについてたっぷり語っていただきました。

JVMについて

M:さて、1曲目をJVM410Hで弾いていただきました。JVMは現在のマーシャルのフラッグシップ・ライン。一番の高級機ですね。JCM2000の歴史を塗り替えるべく、最も歪んで、ギタリストが望む必要な機能をすべて搭載して、かといって無駄な機能はすべて排し、それでいてプレイヤーが使いやすい…という条件をすべて満たしたモデルなんです。
これ、フロントパネルにはツマミが28個、スイッチが8個付いているんですが、ゼンゼンややこしくないですよね?
L:ウン、ゼンゼン簡単で使いやすい。アンプの基本の機能だけでできているからね。
M:それで、さきほどの演奏を拝見しますと、ルークさん、チャンネルひとつしか使わない。OD2のREDモード。クリーン・トーンを出す時もギターのボリュームを下げるだけでチャンネルは変えませんでしたよね?他にもチャンネルがあるんだから使えばいいのに!
Img_0427 L:イヤ、これがいいアンプの証拠なんですよ!ギターのボリュームをフルアップした時にしっかり歪みきるアンプっていうのは世の中にいっくらでもありますよね。でも、ボリュームを絞っていった時に歪みがドンドンなくなってくるというアンプというのは実はそんなにない。それで歪みがなくなっていった時に音が細くなっちゃうアンプっていうのは山ほどある。マーシャルは歪みがなくなっていった時に音が太いまんまクリーンの音が残っててくれる。(なぜか大拍手!)
M:その通り!全く同じことをして音を作っている人がいます。
L:ホウ?
M:石原慎一郎さんです。SHARAさんもOD1のORANGEしか使わない。それでギターのボリュームを絞ってクリーンを作っていますね。
L:ウン、その方がストレートなんですよ。昔のギタリストってそうだったんですよねってあんまり言いたかないんですけど、表現の方法のひとつとしてボリュームの調節っていうのがあるワケなんだよね。1曲の中で静かでクリーンなアルペジオから盛り上がってウワーッと歪みのパートになる時、スイッチひとつでポンと音が変わるんじゃなくてボリュームを上げて歪ませていく…これって「抑揚」なわけじゃないですか。クレッシェンドっていうか。これはひとつの表現ですからね!これができないアンプはスイッチで音を切り替える。スイッチではクレッシェンドはできないんだよね。ポーンといっちゃうから。そこが、つまりボリュームの操作ってのがエレクトリック・ギターのひとつの醍醐味なんですよ。
Img_7457 M:要するにジミヘンですな。
L:そうね。あといつもは歪みきった音で弾いているんだけど、「このパートは少しだけ抑えたい」とかいう時がありますよね。それをスイッチでやろうとすると難しい。アンプが歪んでいないのと、アンプは歪ませておいてギターのボリュームを下げて歪ませないというのは全然違うからね。
M:レコーディングの時もそうされているんですか?
L:そうです。クリーンはクリーンで録ることもありますが、大体そうやって音を作っています。そうだな…『Green Horn』の中の「Go Faster! (×4)」の静かなパートはグッとギターのボリュームを下げてるんですよ。その後のワーって戻ってくるところはボリュームを上げてる。ちゃんとそういう音になっていますよ。
M:ああ~、今日はもうこれで終わりでもいいや。言いたいことルークさんが言ってくれるから…。でもね、いくらギターのボリュームをいくら操作しても音が反応してくれないアンプってもの世の中にはあるんじゃないですか?
L:あるある、たくさんありますよ。
M:ボリューム操作だけじゃなくてピッキングの強弱や角度、これらをキッチリ表現してくれなImg_0491 いと困るわけですよね。
L:その通りです。
M:その点、マーシャルは信頼できる?
L:もちろん!
M:それに安いし…。
L:そうなんですよ!マーシャルって絶対安い!

マーシャルとの出会い

M:我々…って言っていいですか?(会場笑)我々が若いころってマーシャルを弾くどころか、匂いすらかげなかった。
L:そうそう!世の中になかったからね。あっても楽器屋さんのショウウィンドウの中。試すことなんて到底できなかった。
Img_7448 M:ルークさんは幾つぐらいでギターを始めたんですか?
L:僕は10歳くらいかな?
M:早ッ!ご存知の方も大勢いらっしゃるとおもいますが、ま、昔はもう気が遠くなるぐらいマーシャルは高価だった。でも、ジム・マーシャルの方針もあって、また世の中も色々変わって今みたいに気軽に入手できるようになりました。
L:お会いしたいですね、ジム・マーシャル!
M:ルークさんのマーシャルとの出会いっていかがでした?
L:僕はフォーク小僧だったんですよ。姉貴がディープ・パープルのレコードを買ってきて…。
M:出た!「お姉さんのディープ・パープル」!このパターン多いんですよね~!
L:全部マーシャルでしたよね。それが出会い。このアンプを使うとこんなカッコいい音が出るのか~って思った。
M:「ライブ・イン・ジャパン」?
L:いや「マシン・ヘッド」だった。
M:でもあれってマーシャルの写真とか入ってましたっけ?
L:どうだったかな?ホラ昔はレコードなんてそう買えなかったじゃない?だから、ウチは「マシン・ヘッド」、アイツんちは「ライブ・イン・ジャパン」とかいって交流が広がって情報量も増えていいった。
Img_0356 M:パープルなんだ?ツェッペリンじゃなくて…。
L:もう完全にディープ・パープル。ツェッペリンみたいなブルースを基に延々に弾いていくみたいなものよりジョン・ロードの「ハイウェイ・スター」のソロの方がリリカルで美しくて好みだった。
M:やっぱりマーシャルに憧れた?
L:もうメチャクチャ憧れましたよ!目標。アレさえあれば何とかなる!…みたいな。
M:では生まれて初めて行った外タレのコンサートって覚えています?
L:ウン。Tレックス。
M:マーク・ボランがいた頃ですよね?それって相当おマセですよ。
L:だから姉貴ですよ。でも知ってる曲を演ったっていう印象がないんですよ。「ゲット・イット・オン」は演ったらしんだけど…。演奏の前に映画が上映されたんですよ。20分くらいの。もうそれの音が大きくて「ウワッ、すごい所へ来てしまった!」ってすごく驚いた。

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つづく

2010年2月25日 (木)

Miyake Meets JMD:1~三宅庸介JMD:1を弾く

今、三宅庸介のような音楽をやっている人が他に日本にいるのだろうか?少なくともそうたくさんはいないであろう。ピュアでハードでソフトで神秘的でストレートで…たくさんあるギターという楽器の魅力の、今では隠れてしまった部分を大胆に切り出して我々に提示してくれる姿は勇ましさすら感じてしまう。

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彼の紡ぎだすボイシングにはいつもノックアウトしてしまう。以前のマーブロの記事では別のことを言ったけれども、今、最もセロニアス・モンクに近いのはビル・フリゼルなどといわれるが、三宅庸介の和声感覚や間や孤高の独自性はロック・ギター界のモンクと言っていいのではないか?この比喩が当たっているかどうかはYosuke Miyake's Strange, Beautiful and Loudの『Lotus and Visceral』を是非聴いてもらいたい。(ライブ・レポートも見てね)

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さて、今回はJMDとのお手合わせ。長年にわたってマーシャルを使用し、マーシャルを知り尽くし、それに飽き足らずいまだに研究に邁進する氏の意見は大変勉強になる。テクは完璧、ひたすらよい音を追い求める姿がまったく神経質に映らないところがスゴイ。多くのプロ同様、故障にも全く動じない。機材は二次的なものであることを熟知しているから変に神経質に陥らないのだ。

デジタル・アンプに抵抗があるわけではないんですけど、僕の場合のマーシャルといえば真空管が灯っていてこそあの音が出ているというイメージがどうしても強いんですよね~。
マーシャルは血が通っているように温かい。

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マーシャルのサウンドで僕が常々大切だと思っているポイントは、ピッキングした立ち上がりのすぐ後に来る何とも言えないスポンジのように吸収されて連れて行かれる感じ…。特にこれはメロディ・ラインを弾いている時に感じるんですけど、この感じと音を味わうために弾いている、というか弾かされているように思うんです。このJMDはその感じを味わえますね。バルブアンプ特有のアタックの後のコンプレッション感が完璧に出ています。

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デジタル系アンプというとたいていアタックとかレスポンスばかり気にされがちですが、それだけではなく、同時に減衰も大切な要素だと思うんですよね。これもうまく処理されていますね、JMDは。本当にマーシャルそのものだ。

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それから、いつもマーシャルって操作が実にシンプルなんですよ。JVMだってあんなにツマミがついているけど視覚的でわかりやすい。このJMDもそう。ギターをインプットして、インプットから近い順にセッティングしていけばいい。(ヘッドの場合)プリアンプで基本となるサウンドを決定して、左へ向かってゲイン、EQ、チャンネルのボリューム、エフェクターと来て最後にマスターボリュームで全体の音量を決めてあげる。何ら難しいところがない。

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コンボはもはやひとつの完成型に達してますね。僕は今回コンボの方が好きかも知れない。100Wコンボ(JMD102)は音の広がり感がキチンと出ている。ずいぶん僕も実験をしたんですけど、スピーカーが2台搭載されていると左右のスピーカーから出てくる音のタイミングがほんの少しズレるんです。そこに広がり感が生まれる。そこへいくとスピーカー1発コンボは音の出方がダイレクトです。このJMD501もそう。だから、コンボを選ぶときは出力だけでなくて「奥行き」を求めるか「ダイレクト」を求めるかというこちら側のニーズをハッキリさせておく必要があると思います。

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好きなチャンネルはCrunch6-ClassicとOverdrive9-Classicかな。6なんかは絶妙なクランチ具合ですよ。VintageModernに見られるような音の張りを感じます。これを弾くと逆にVintageModernのキモを見たような気がするな。すごくうまくできています。
エフェクターはトレモロが気に入りました。ディレイはテープ・エコーで育った我々のような世代には若干クリアすぎるかも知れない。

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マーシャルはこれまでうまくニーズを先取りして時代のロック・サウンドを引っ張ってきたという事実があります。プレキシやJTM、ブルースブレイカーでは弾き手の呼吸感やダイナミクスを見事に音楽的なトーンに作り上げたんですね。JCM800ではもう少しミッドに特化した次の世代のロック・ギター・サウンドを作って見せました。ここから後は自分たちで作り上げた伝説の音と向き合いながらも常に前を見てまた新しい「モノづくり」に励もうとしていることがよくわかります。そこが好きなんです。で、このJMDシリーズはサウンド的にも企画的にもまさにそれの結晶じゃないですか!となると、先に言ったようにマーシャルの音は真空管に灯る赤い炎じゃないってことになるかな?少なくともプリ管の灯じゃないってことですね!(笑)

出てくる音が歴代のモデルに似ているか似ていないかなんてことは完全に超越しちゃってますね。

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Yosuke Miyake's "Strange, Beautiful and Loud"

JMD:1の公式ウェブサイトはここからお入りください。

2010年2月24日 (水)

ichiro meets JMD:1~ichiro、JMD:1を弾く

Ichiro曰く、「いい音の条件、そして、いいPlayの条件とは…いつの時代もどんなジャンルにでもあてはまる事だと思うんだけど、いい音の条件はいいPlay。いいPlayの条件はいい音。どんな考え方しても必ずここに辿り着くはずなんだよね」(ichiro blog:2010年2月11日付け記事より。同時に2187について触れています。是非ご覧あれ)

マーブロ曰く、「その前にichiroのようないい音が出せれば苦労はない」

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1987T、2061X等々を愛用し、いつも最高のサウンドを求めてやまないichiro。その礎は魅惑のビンテージ・サウンド。先日のGIBIER du MARIのライブでも2187を使って とろけるようなサウンドをクリエイトしていた。そんなビンテージの権化がJMD:1にチャレンジ!さてさて、いかなる評価が飛び出すのやら!

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俺らがやっているような古いタイプの、粗い部分を求める音楽に使用する楽器とは真逆のような感じはするけど、バンドの中にあってハッキリとした輪郭のある音を出すアンプだとは思うよ。実用性は絶対高いね。とても便利だし。

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デジタル・プリアンプだからって音が細いなんてことはまったく感じないな。特にCrunch5-VintageとかOverdrive10-Modernなんか最高にガッツのある音だよ。

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これだけ使える音が入ってエフェクターも完備しててこの値段ならメチャクチャお得だよね。

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スタックだとキャビネットが鳴りきるまでに必要な音量を出せないことが多いんだよね。でもコンボはひとつの箱の中でスピーカーにアンプが乗っかって重みがあってさ、その重みがキャビネットを鳴らしきる手伝いをしているような気がするんだよね。それで最近コンボにはまっているのね。

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それと、このJMDもそうなんだけど、後ろがオープンじゃん?後ろが開いてると前から出ている音と後ろから出ている音に包まれて気持ちいいのね。これはクローズドバックのキャビネットを使うことが多いスタックとの大きな違いなんだ。

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俺の場合、歌って弾いてるからクローズド・バックの場合は出てくる音があまりにも直進的すぎてステージでデッドポイントが生まれてくるのね。そうすると歌いにくいんだ。オープンバックの場合は音に広がりがあるので歌いやすい。それに音が広がっている分、音が耳に到達するまで空気に触れている量が多くて、レコーディングでオンマイクとオフマイクを使うようなアンビエンス効果があると思う。JMDのコンボも十分そういう効果が出ているよね。

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と今回のJMDはコンボの評価も非常に高いのも特徴のひとつかもしれない。

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JMD:1の公式ウェブ・サイトはここからお入りください。

2010年2月23日 (火)

Puffyとマーシャル~中シゲヲのJVM

Puffyの新曲のレコーディングにお邪魔してきました。

ギターはライブでもおなじみのTHE SURF COASTERSの名手・中シゲヲ。

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以前に紹介した通り、中さんはPuffy関連ではマーシャルを起用されます。

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前回はDSL100を使用していましたが、いよいよ中さんもJVM化。JVM210H。もうステージでもレコーディングでもハイゲイン・マーシャルということにおいてはJVMが完全にスタンダード・モデルになってきました。

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レコーディングに使用される中さんの愛器たち。

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ステージでバリバリJVM を弾く中さんの勇姿が早く見たいものです!

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中シゲヲさんの詳しい情報は⇒さすらいのギター日記

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2010年2月22日 (月)

Takasaki Meets JMD:1~高崎晃、JMD:1を弾く(菅沼孝三ソロ・アルバム・レコーディングより)

菅沼孝三のソロ・アルバムのレコーディングに潜入してきた。大好きなドラマー、孝三さん。何しろ筆者の勝手な野望は孝三さんとフリオ・キリコの「日伊手数王対決」なのだ!

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実は菅沼孝三とマーシャルは切っても切れにくい縁があるのだ。というのも孝三さんには2000年、2001年と「マーシャル祭り」に主演していただき「マーシャル・ギタリストの十人組手」で激演していただいた。ほとんどぶっつけ本番だった(第1回目はリハなしの完全なぶっつけ本番!)にもかかわらず素晴らしい演奏だった。演ってる方々は大変に決まってるけど、見てるこっちは楽しかったナァ~。

この日のレコーディングはトリオでロック!この3人がこれまた凄まじい演奏で…。

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ベースはCANTA地獄カルテット、自己のプロジェクトで大活躍、マーブロでもおなじみのMASAKI。この日もヤカンとタライを持参!…ウソだってば!

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そしてギターは世界の高崎晃

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そして、この使用されたマーシャルがJMD100だったのだ!

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レコーディング・ブースに収められたいつものキャビネット。

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高崎さんはJMDを弾くのがこの日が初めて。「ちょっと使い方教えて」と簡単に仕組みと構造をお伝えすると、16のチャンネルのサウンドをひと通りチェックして、キュキュキュとEQをセット。数分後にはもうJMD100を自家薬籠中のものとしてメガトン級の音を出していた。

画家が絵具を数種混ぜたり、作曲家が和音を組み立てたりして自分の表現したいものを自然に作り出すように、何といおうか、こういう人は「アーティストの才」というか「野生の勘」なのか機材をすぐに使いこなす能力を生まれつき持っているような気がする。もちろん、実際には機材ではなく、高崎さんの指が音をつくっているんだけどね。

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最初、使用するサウンドを「ま、3種類位やな…」としていたが、使っていくうちに「あんな音、こんな音」と 5種類の音を使うことになった。まだこちらも使い方に慣れていないので冷や汗タラタラ。でも、大丈夫。操作がもんのスゴイ簡単だからね~。

レスポンスも早くて文句なし。1回目のプレイバックでは「チョット音が細いのでは?」とご自身で気にされていたようだが、周りは「ゼ~ンゼン!」 セッティングを少々変えて録り直したところさらにゴン太サウンドに!ご自身もご満悦。

ギターのオーバーダブをミキサー室でみんなで見守っていると、孝三さん…「タッカンはアマチュアのころからリズムがものスゴかったんですよ」…ってトップドラマーに言わせしめる高崎晃。そう、いつも感心するんだけど、一流のアーティストは弾く楽器を問わず絶対にリズムが鉄壁なのだ。

歪み系のセッティングではキャビネットを収納しているレコーディング・ブースの頑丈なガラス戸が揺れているのではないかというほどの超轟音!でも高崎さんの轟音はいつも美しい!恐るべしはJMD!

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それはそうと、高崎さんのお気に入りチャンネルはClean1-Modern、Clean3-Classic、Overdrive9-Classic、Overdrive12-Detuned、Lead15、Lead16といったところ。

レコーディング・メンバーや居合わせたスタッフ、レコーディング・エンジニアの方、皆さんJMDの音質とパフォーマンスに驚かれておりました。手頃な値段にもビックリ!

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レコーディングに使用した愛器、KG-PRIME。

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終了後、3人で記念撮影。もう夜更け。

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高崎晃も認めたJMD100。もしかしたらマーシャルJMDがギターアンプの「デジタル」と「アナログ」の垣根を取り払うのかも知れない…。

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このセッションを収録した菅沼孝三ソロ・アルバムは5月発売の予定。絶対聴いてね!

公式ウェブサイトへはここからお入りください。

(継承一部略 2009年2月14日 都内某レコーディングスタジオで撮影) 

2010年2月19日 (金)

やっぱりカッコいいGIBIER du MARI!~ichiro Plays 2187

「MARIさんカッコいい~!」という声援が飛び交う。そうMARIさん、実にカッコいい~!「カッコいい~!」という形容しか思い浮かばないカッコのよさなのだ!

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『プロフェッショナル』という1966年のアメリカ映画があった。誘拐された妻を取り戻そうと金持ちの旦那がそれぞれの分野のプロを雇って戦っちゃおうという筋書き。射撃の名手、馬の名手、弓矢の名手、爆破の名手等など。これをバート・ランカスターやらリー・マービンやらロバート・ライアン、ウディ・ストロードなど激渋の面々が演ずるのだからタマラナイ!

GIBIER du MARIを見るたびにこの映画のことを思い出す。一流のプレイヤーがそれぞれの専門楽器で一流の演奏を繰り広げるからだ。

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パーカッションのプロフェショナルは斎藤ノブ

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ドラムのプロフェッショナルは樋口 昌之

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ベースのプロフェッショナルは高橋"Jr."知治

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鍵盤のプロフェッショナルはタケコシカズユキ

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ギターのプロフェッショナルは我らがichiroだ。

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これがプロフェッショナルが使うアンプ。日本50台限定生産の2187だ。もうすでに楽器フェアでも展示しているのでご存知の方も多いかと思うが、 1974年から1984年に生産されていた1987の2×12"コンボバージョンのリイシューだ。(センド&リターンは搭載していない)

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したがってコントロールは1987と全く同じ。

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ソロにバッキングにすべての場面において芳醇なサウンドをかもし出す。またカッティングの時の音がいいんだ~!

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足元のようす。

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このライブの翌日、あるギタリストから連絡があった。「昨日EASTでichiroが使ったマーシャルがエラクよかったって聞いたんだけど何?」って。うれしいね~。

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でも本当に素晴らしい音だった。枯れてて、色っぽくて、太くて、抜けてて、コシがあって…あと何があるかな?とにかくトロけるようなトーンとはこのこった!

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てっぺんまで張られたLCフレットのルックスがまたタマラン!

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それに増して素晴らしいMARIさんのパフォーマンス。老若男女を問わず「カッコいい!」と声を上げたくなるステージだ。ああ、また観たい!

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この後4月末よりGIBIER du MARIはBillboard Liveのツアーを敢行する。プロフェッショナルたちの素晴らしいパフォーマンスをお見逃しなきよう!

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2187は2月下旬に限定50台で発売の予定です。(現在公式ホームページ制作中)

(敬称略 2010年1月31日 渋谷O-EASTにて撮影)

2010年2月18日 (木)

野獣リユニオン・ライブ!~ロックは若者だけのものではないさ!

盟友・中野重夫からDVDが届いた。タイトルは『It's Only Hard Rock~NOKEMONOデビュー30周年記念LIVE』。2009年11月3日、名古屋ボトムラインでのライブを収録したプライベートDVDだ。

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「やじゅう」と書いて「のけもの」と読む。1978年、地元名古屋で結成、活発な活動で人気を博し、それが認められジューダス・プリーストの名古屋公演にサポートアクトとして登場(要するに前座。でも昔はこの前座が楽しみでね~)。その後、中部北陸エリアを対象としたYAMAHAのバンドコンテスト、「ミッドランド」で優勝し、79年『地獄の叫び(FROM THE BLACK WORLD)』でデビュー。(現在はCDで入手できます)

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筆者は残念ながらライブは見たことがなかったが、デビュー・アルバムの宣伝チラシを野音の誰かのコンサートでもらった記憶がある(赤地に白抜きでドバっと「野獣」って入っていたような…。それともアレ、ARBだったかな~。とっときゃよかったナ)日本の70年代ロック・シーンの最後を飾った名バンドだ。

その野獣のオリジナル・メンバー5人の内4人が集まり、バンドの結成30周年を祝うライブが開かれたというわけ。

メンバーはボーカル&ギターのACE。

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ギターのBUNCHAN。当然のごとく並べられたマーシャル三段積みがうれしいね!キマってます!

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ベースはCHERRY。

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ドラムはZEN。 彼だけはオリジナルメンバーではない。

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そしてROLLAこと我らが中野重夫。昔は(今もか)欧米風の名前をつけるのが流行っていて名乗る本人たちも時には恥ずかしいように見受けられたが、野獣の場合はスゴイ!ボーカルのACEはトヨタハイエース、ベースのCERRYは日産チェリー、ROLLAはトヨタカローラ、つまり愛車にちなんだ名前なんだとか。ギターのBUNCHANはセリカに乗っていたので「リカちゃん」はマズかろうとうことで本名から取ったそうだ。

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ACEやROLLA(シゲさん)のように現役でバリバリやっているメンバーもいるが、バンド活動から遠ざかっているメンバーもいてはじめは少々ぎこちなくもないが、すぐに昔の間を取り戻してノリノリのステージを繰り広げる。とにかくみんな楽しそう!はじめはお客さんも恥ずかしがってかしこまっているのだが、ACEのかけ声で爆発!やってる方だけじゃなくてお客さんも楽しそう!

単なるノスタルジアだけじゃなく、こういう音楽が待ち望まれているのでは?しっかし、ホントに昔の日本のロックってこうだったよね。まるっきり新鮮に聞こえるわ。そう『It's Only Hard Rock』なのだ!

ところで中野重夫はFM愛知で『Keep On Rockin'』というレギュラー番組(毎週木曜日28:00)を持っていて、DJとしても活躍している。昔は音楽とシゲさんのおしゃべりで構成されていたのが(この頃は筆者も2度ほど出演させていただいて、モデルの解説や歴史を交えつつマーシャルで録音された名盤をかけたりして「マーシャル特集」を仕込んでいただきました)、最近はすっかりゲストとのセッションばかりをオンエアしているらしい。聴きたいな~。東京じゃ聴けないのよ。中京地区の皆さん、要チェック!

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シゲさん、それだけでなく不定期に朝日新聞の三重版に『カフェ日和』というコラムを掲載している。2009年11月30日付けの記事でこの復活ライブのことに触れている。本人の許可を得て少し引用すると…

「熱いおやじ魂が炸裂した。

11月3日、名古屋のライブハウス「ボトムライン」で、私が23歳の時にレコーディングしたハードロックバンド「野獣(ルビつき)」の30周年ライブを開いた。(中略)いま、メンバーの全員が50代。この年になってもライブをするなんて、デビューのころは考えもしなかった。(中略)青春時代をともに過ごした「戦友」たちとステージに立つ喜びをかみしめただけではなかった。30年を経て、進化した野獣をファンに見せることができた。

そして思った。50歳を超えても、ロックはまだ、深めることができるのだ」

シゲさん、歳なんて関係ないって!1954年のビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」がロック誕生の瞬間としたら、ロックは今年でまだ56歳。大してシゲさんたちと年齢は変わらない(失敬!)。

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昔は30歳を越してもロックをやっている人がいると驚いたもんだけど、ロックも我々といっしょに歳をとってるんだからどうってことない!「ポール・マッカートニーやミック・ジャガーが還暦を過ぎてもロックを演っていてスゴイ」みたいな報道がよくされるよね。でも、老齢でロックをやっちゃいけないなんて法なんてまったくありゃしない。クラシックと違ってロックの場合、まだ世代は1回転していないんだから!

それよりもロックが本当にクリエイティブだった時代のロックをみんなでずっと伝承していきましょうよ!土台「今の若いモンは昔のロックを聴かない!」なんてついこぼしがちだけど、我々が若いころロックの歴史をさかのぼるのはたった20年でよかった。でも、今の若い人たちは50年以上もさかのぼらないと原点に行きつかない!これは大変な作業だし時間もお金もかかるからね。でもおいしいものは誰が食べてもおいしいはず。今はそのおいしいものを隠されちゃってるだけ。何がおいしいのかを是非教えてあげてくださいな!

ものは考えようですよ!決してイヤミなんかじゃなくて、今からレッド・ツェッペリンやディープ・パープルを知って楽しめるなんて若い人たちが本当にうらやましい!映画もそう、これから「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」や「用心棒」や「天国と地獄」、チト偏りすぎたか…「ウッドストック」を観れるんですよ!こっちゃ何十回観たかわからない…でもまだ何十回も観れる(と思う)。その素晴らしい瞬間が若い皆様に早く訪れますように!もう一度言いますが、これはつまらない年寄りのイヤミなんかじゃ決してありませんからね。(ホントは映画のブログもやりたいくらいなんです)

若い頃のキーで歌うことはできないかもしれない、若い頃使っていたゲージの弦でギターを弾くのはシンドイかもしれない、でもいくつになっても音楽っていいもんだ…残念ながらボトムラインに居合わすことはできなかったけど、野獣のライブはこんなこともしっかりと伝えてくれたに違いないと思います。

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※冒頭のDVDは非売品です。

(敬称略 資料提供:中野重夫)

2010年2月16日 (火)

マーシャル・カタログ物語~梅村昇史の世界 <後編>

新しいマーシャル・カタログ…表紙制作にあたって作者の梅村さんに少しお話をうかがいました。まずはデザインのコンセプトから。

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基本的なコンセプトは「曼荼羅」なんです。ZPZのフライヤーもそうだったのですが、コラージュという手法を取ってはいますものの、マーシャルという素材を集めて作った「曼荼羅」なんですね。もちろんマーシャルといえば猛烈に「ロック」というイメージがついてまわりますが、あまりロック然としたイメージにはしたくなかったんです。それとユニオン・ジャックべったりというのもどうかと思って…。でも少しイギリスのイメージも足さなくてはと思い兵隊さんの図柄を足しました。

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コラージュという手法を使うとどこかカル・シェンケル(ザッパ作品のスリーブを多く手掛けたデザイナー)っぽい仕上がりになってしまいます。もちろんカル・シェンケルは好きですが、特段意識したということはありませんね。

「Does humor belong to his works?」と訊かれたら答えは迷わず「Yes, it does!」となるわけです。

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最初はジム・マーシャル氏がギターを下げている図案というアイデアもあったんです。僕は作品の中にコミカルな要素を入れるのが好きなんです。でもそれもどうかと思いポートレイトのシルエットだけにしました。それから、「ロック」ということではなしに「音楽」が香るデザインを目指したつもりなんです。

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実は最終版に至るまでに大幅なデザインというか雰囲気を変える工程があったのです。下の図案は最初の作品。いわゆる習作というヤツ。まだ左下の年号が「2009」になってるでしょ?これをマーシャル社のデザイナーに見せたところ「マーシャルのイメージ・カラーである黒とシルバーを入れたらどうか」とアドバイスがありバックにグラデーションを入れることになった。Marshall

そうしている間にも矢継ぎ早に新商品が投入されるのでClass5やMAなど極力最新の商品写真に差し替えられたのです。

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フランク・ザッパ、ニール・ヤング、そしてトッド・ラングレンが梅村氏の3大フェバリット。ニール・ヤングを除いては筆者と好みがピタリと合うのでお会いする度に音楽の話で盛り上がり時間の経つのを忘れてしまうのですが、氏の音楽への造詣と愛情は限りなく深く、イタリアン・プログレの泡沫バンドから辺境ロック、ジャズ、さらに現代音楽にまで及ぶその事典的知識には舌を巻かざるを得ません。正式な教育を受けたデザインのノウハウにそのようなバラエティに富んだ音楽的要素が加わることによってユニークな作品が生まれるのでしょう。

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最後に…新しくなったのは表紙だけではありません。内容もキャビネットのページを刷新したり、ウェブサイトとの連動を図る等今までにないページ作りを目指しました。

新しいカタログは2月17日ごろよりマーシャル取り扱いの楽器店に並ぶ予定です。これからもマーシャル・カタログ、ウェブサイト、マーシャル・ブログの3点セットをご愛顧賜りますようよろしくお願い申しあげます。

作成にあたり絶大なご協力を頂戴しました関係スタッフの方々にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げます。そして何よりも長い間出来をお待ちいただいたマーシャル・ファンの皆様に心より感謝申し上げます。

2010年2月15日 (月)

マーシャル・カタログ物語~梅村昇史の世界 <前編>

ウェブサイトやブログの制作に加えて、JVMやVintageModern以降の怒涛の新商品ラッシュでタイミングを失っておりましたが、この度久しぶりにマーシャルの総合カタログが出来しました。さて、久々のカタログにふさわしく表紙のイメージを刷新してみました。それがコレ。メッチャ、気に入ってるんですけど!

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作者は梅村昇史氏。同氏はCDジャケットをはじめとした音楽関連のフィールドで活躍するデザイナーです。このお方…。

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梅村氏が最近手掛けた作品を紹介しましょう。まずはCDジャケット。

ROCKIN' THE USA PART3 / JIMI HENDRIX (MSIG0576/7 MSI)

1968年5月のフィルモア・イーストのセカンド・ショウや「マイアミ・ポップ・フェスティバル」、同じく68年11月の「An Electric Thanksgiving」の模様を収録。もちろんマーシャル!

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ROCKIN' THE USA PART4 / JIMI HENDRIX (MSIG0580/1 MSI)

こちらは1969年のオークランド、70年1月のニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデンでの演奏を収録。ヘンドリックス27歳、死の8ヶ月前の演奏です。

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FLOATING WORLD LIVE / SOFT MACHINE (SDCP-1002 ストレンジ・デイズ・レコード/ユニバーサルミュージック)

1975年ドイツ・ブレーメンのラジオ放送用音源を収録したスタジオ・ライブ盤の国内版。「収束(Bundles)」期、ホールズワース参加の人気盤。氏による手の込んだイラストが輸入盤よりはるかにソフツの雰囲気を醸し出しているでしょう?よく見ると街の看板には収録曲が描きこまれていたり、カンタベリー・ミュージックの大ファンという梅村氏らしく「Canterbury」という文字が何箇所かに登場しています。(実は筆者もカンタベリー大好きでしてね…数年前、現地まで行っちゃいました)

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THE SOFT MACHINE LEGACY SDCP-1001 ストレンジ・デイズ・レコード/ユニバーサルミュージック )

エルトン・ディーン、ジョン・エサーリッジ、ヒュー・ホッパー、そしてジョン・マーシャルというソフツの歴代トップメンバーによる2006年の作品。2006年にエルトン・ディーンが、2009年にヒュー・ホッパーが死去。もうこのメンバーでの演奏は不可能となってしまいました。こちらも無機的なコラージュによる手法にどこかユーモアを思わせるデザインで内容にぴったりの雰囲気。

ちなみにエルトン・ジョンの本名はレジナルド・ケネス・ドワイトといいますが、「エルトン」は以前のバンド仲間であったこのエルトン・ディーンから、「ジョン」はロング・ジョン・ボルドリーから頂戴してそのステージ・ネームを名乗っています。「しかし、エルトン・ジョン・ファンでエルトン・ディーンを知っている人なんているのかな?」とは梅村氏の弁。ホント同感です。

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ZAPPA BOX, LATER WORKS / FRANK ZAPPA (VACK-5914/5920 ビデオアーツ・ミュージック)

ザッパ晩年の作品を紙ジャケにしてボックスに収めたもの。氏はほかにもザッパ作品の国内盤の帯のデザインなども手掛けています。同時に氏は著名なザッパ研究家でもあるのです。ヤングギター(シンコーミュージック刊)2009年7月号には氏のペンによるザッパ・クロニクルが掲載されています。筆者もザッパ関連でわからないことがあるとよく梅村さんに教えを乞うてます。

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サルサ人形の家 / 弘田三枝子(MSI/POPMAY POPMAY36)

弘田三枝子、「バケーション」、「砂に消えた涙」、「夢見るシャンソン人形」をはじめとした洋楽カバー、「人形の家」でのレコード大賞受賞、日本人初のニューポート・ジャズ・フェスティバル出演などその偉大な業績は枚挙にいとまがありません。98年リリースの2枚のアルバムを1枚のCDにデジタル・リマスターした限定編集盤。「ワンサカ娘」もミコさんです。

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続いては書籍。

『スケルトンキー/グレイトフル・デッド辞典』 (工作舎)

こちらは本の表紙。筆者は熱心なデッド・ファンではありません、好きだけど。どの部屋でも開けることのできるいわゆるマスター・キーのことを「スケルトン・キー」というようですが、まさにデッドのA to Z本だからそういうタイトルなのかしらん?デッドのシンボルといえばSkull。それをモチーフとしたデザインだがどこかコミカル。そう、「コミカル」は梅村作品のキーワードなのです。お気づきになったでしょうか?「アオクソモクソア」風の上部のレタリングは「スケルトン・キー」とカタカナで書いてあるのです。ところで、数年前に野音で見た「めんたんぴん」カッコよかったナァ。
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フライヤーも手掛けています。つまりチラシ。

ZAPPA PLAYS ZAPPA/来日記念フライヤー (SMASH)

2009年のZPZ(Zappa Plays Zappa)来日公演のチラシ。公演に先駆けて都内の某CD屋さんで開催された「大山甲日さん(「大ザッパ論1&2」を編んだザッパ研究家。本職は友禅作家)と直枝政広さん(カーネーション)のトークショウ」に梅村さんが飛び入りでザッパの関連レコードの解説をされていました。エドガー・ヴァレーズからTOTOまで!

氏のイラストは可愛くてユーモラスで深みがあってすごく好き。そういえば「デヴィッド・アレンの線描画っていいですよね!」と意気投合したこともありましたっけ。
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在日ファンク (PCD-4399 P-VINE RECORDS)

2010年1月に発売された和製ファンクバンドのファースト・アルバム。コレ、いいっすよ~、マーシャルとおよそ関係ないけど…。暑苦しくなくて好き!リーディング・チューンの「きず」のロケ場所がアメ横なのもうれしかったりして!丸井さんの裏でしょ、コレ。MySpaceで試聴できます

梅村さんがこの仕事の依頼を受けた時、「『在日』か…。よっしゃ頭文字『Z』じゃん!」とほくそ笑んだかどうかは私は知りません。でも絶対そう。だってこんなに「Z」が大きいんですもの!(そういえばイヴ・モンタンとジャン=ルイ・トランティニアンの「Z」という映画がありましたな、観てないけど。さらに、この「Z」では驚いたことがひとつあって、私が唯一愛読するマンガ、「元祖!浦安鉄筋家族(浜岡賢次著、秋田書店刊少年チャンピオン連載)」の中で、ある部屋に貼ってあるポスターの図柄がこの映画「Z」になっているのを発見したのです。このマンガはジャズや60~70年代ロックが好きな人が見れば至る所に仕込みが発見できて2倍楽しいでしょう。例えば学習塾の名前が「アガルタ」だったり、The WhoのTシャツを着た人が歩いていたり、いつもニヤリとさせられます。いつかマーシャルも登場しないかな~!)

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先日、LPでは持っていましたが、CDに買い直そうとようやくゲットしたPierre Moerlen's Gongの『Live』。帯とライナーノーツのデザインに何故か親しみを感じてそのクレジットを見ると梅村さんの作品でした。「Umemura」じゃなくて「Uemura」になってたけど…。

後編では実際に梅村さんにマーシャル・カタログ表紙の作コンセプトなどを伺いたいと思います。

つづく

2010年2月12日 (金)

CRYSTAL BREED始動~ジャーマン・ロックからの回答

マーブロの読者の皆さんは「イギリス(含むアイルランド)以外のヨーロッパのロック」というとどの国を思い浮かべるだろうか?

個人的にはやはりプログレ、シンフォニックの密度が濃いイタリアかな?何たってarti & mestieri(今週フリオ・キリコからメールが来ていましたが、精力的に活動中とのこと)やAREAがいるし、イタリア語ってロックビートに乗ると案外ロマンチックなんだよね。

フランス?GONGは別格としてANGEやZAO、TAI PHONGやATOLLも素晴らしい。たまにはZNRもいいもんだ。

FOCUSやFINCHのオランダ?チト弱いか?でもTRACEはカッコいい。

ヨーロッパやアバ、イングヴェイ、最近ではアーク・エネミーやイン・フレイムス等々数多くの名バンドを輩出している強国スウェーデンを抱える北欧も捨てがたい。SBBとかOMEGAなんかの東欧勢も面白い。

日本に入ってきているバンドの数やジャンルの幅を考えるとやっぱりドイツか?タンジェリン・ドリームやクラフトワークをはじめたとした電子音楽勢は今でもポピュラーだし、CANの存在もデカイ。ファウストやアシュ・ラ・テンぺルなんてのもいたし、メタルに及んではひとつのジャンルまで確立した。でも、ジャーマン・ロックのアイコン的存在はやっぱりスコーピオンズでしょう。ウルリッヒ・ジョン・ロートという不世出の天才ギタリストを輩出し、数々の名盤によって世界中のロックファンに影響を与えたことは間違いない。

そのスコーピオンズ…終わってしまうんだそうだ。さびしい限り。

ところが、層の厚いジャーマン・ロック界のこと、ちゃんと素晴らしいアーティストが出てくることになっている。このニクラス・ターマン(Niklas Turmann)もそのひとり。

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もうマーブロの読者にはおなじみでしょう。先日のフェア・ウォーニングのサポートで来日していたからね。一昨年のウリのサポートも務めたスゴ腕ギタリストだ。

そのニクラスが結成したバンドがCRYSTAL BREEDだ。

ニクラスがマーシャル(JVM410H)を愛用している関係でマネージメントよりプロフィールが送られて来たので紹介しておく。

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「ニクラス・ターマン(Niklas Turmann、vo&g)と彼の幼稚園時代からの長い友である、
コーヴィン・バーン(Corvin Bahn、key)がウリ・ジョン・ロート・バンドのメンバーとしてワールド・ツアーに参加したことに触発されて結成したバンドがCrystal Breed。
その後、ニクラスが在籍していた「ハノーファー音楽大学」で出会ったマイケル・シューガルト
(Michael Schugardt、b)とトーステン・ハーニッツ(Thorsten Harnitz、ds)を加え2008年に本格的にバンドをスタートさせた。作品はニクラスとコーヴィンのペンによるものがメイン。

2008年末に3曲を完成させ、これを足掛かりに北ドイツのライブハウスを中心にギグを行い、
現在はフル・アルバム用の楽曲も完成させいよいよ今夏からファースト・アルバムのレコーディングに入る予定」

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それではCrystal Breedのサウンドを聴いてみよう!⇒CRYSTAL BREED My Space

エレクトリック・ギターのパートはすべてJVMで録ったそうだ。

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決して少なくない数の音楽関係者が口にしている通り、また、マーブロの他の記事でも触れているように、ロックはもう新しい要素など必要としておらず、いよいよ折り返し点に立っているのではないかという見方がある。

もちろん一種のノスタルジアであることは否めないのだが、練習を積み重ねずとも比較的気軽に演奏できる種のロックがあまりにもはびこりすぎて、音楽の厚みや深さ、器楽の楽しみを見失ってしまったと大衆自らが気づいて来ているということだ。

キチッと練りこまれたCRYSTAL BREEDの音楽はこのような見方を証明する回答のように聞こえる。

ユーディ・メニューインがかつてロックを指して言っていたように「音楽は鬱憤ばらしでない!」とニクラスも言っているような気がする。

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ウリ・ジョン・ロートを師と仰ぎ、クィーン、ビートルズ、ピンク・フロイド、プログレッシブ・ロックなどに影響を受けたニクラスが作り出す音楽に惜しみない拍手を添えつつ期待したい。

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