ジェフ・ベック(Jeff Beck)のマーシャル
今回の来日に際し、2月12日の名古屋公演より使用したジェフ・ベックのマーシャルをご紹介しましょう。下の写真は2月21日と22日に開催されたエリック・クラプトンとのジョイント・ライブでのセットです。
ヘッドは1987Xで一般に販売されているものです。キャビネットは基本的には1960BXですが、スピーカーは一部入れ替えています。今回は機材の取材が完全にオフリミットとなっているためあまり詳しく解説できないのが残念ですが(機材写真の掲載が許されたのはこのマーシャル・ブログだけかもしれません)、リンクはせずにEQはかなりトレブリーにセッティングされています。
それにしても、あの音。このマーシャル・ブログでは過去何回か「音の良し悪しは機材ではなく指(=テクニック)が決める」旨のことを言ってまいりましたが、ジェフの演奏がもっともいい例でしょう。ウリ・ジョン・ロートの時にも痛感しましたが、改めて本当にそれを思い知らされた今回の演奏でした。私も同じくギターを嗜む者として、ケーブルがどうとか、真空管がどうとか言っているのが正直恥ずかしくなってしまいます。それでも、あの音に少しでも近寄せたいとお思いになる方がいらっしゃるのであれば、少なくとも同じ機材を揃えることは必須でしょう。何しろジェフが使ったものと全く同じ仕様のアンプヘッドがいとも普通に入手できるのですから!「機材を楽しむ」というのも間違いなくギターを弾く者のロマンですものね!でも、残念ながら1987Xをゲットしても残念ながらジェフと同じ音を出すことはまず不可能でることは予めご承知ください!
<2月11日、パシフィコ横浜の単独公演をご覧になられた方へ>
当日の公演の5曲目「哀しみの恋人たち('Cause We Ended As Lovers)」の冒頭よりジェフのギターにノイズが乗ってしまい、数曲を演奏した後にコンサートが中断されました。キーボードのソロ中にジェフがアンプヘッドを揺さぶったためにあのノイズがギターアンプによるものとお思いになられた方もいらっしゃったと存じますが、あれはアンプによるノイズではありません。ジェフのギターテクがアンプを交換してもノイズが治まらなかったことを見ても明らかですが、マーシャル・ブログでは念のためにジェフのギターテクに原因を聴き取りました。案の定、ノイズの原因はアンプによるものではなく大本の電源ケーブル(イギリス国内用のテーブル・タップ)のアース・ピンの老化が原因で、ギターの音を出すたびに振動を受け、グランドが不安定になってしまったのことです。今回のアジア・オセアニア・ツアーでその電源ケーブルが酷使されアース・ピンが傷んでしまったのです。中断後、アンプを替えたりせず、短時間でコンサートが再開できたのも電源ケーブルと交換するだけという単純な対処で済んだためです。
筆者も30年以上にわたっていろいろなコンサートを見てきました。かつて、TOTOのコンサートのアンコールでチューニングが全く違う(あるいは狂っていた)ギターで「子供の凱歌(Child's Anthem)」を弾いてしまったスティーヴ・ルカサーを見たことがありました。なぜかルカサーはその状態に気が付かず、しばらくの間、よりによってそのままテーマ・メロディを弾いてしまったのです。お客さんの反応でハッと気がついたのでしょうか、ルカサーはやおらステージそでにギターを放り投げ、ローディに向かって「クビ!」の仕草をしたのです。超一流のプロでもこんなことが起こると知ってショックを受けました。
今回のジェフも正直ヒヤっとさせられましたが、反面、滅多にお目にかかれない貴重なシーンに遭遇できたと筆者は思っています。
(2009年2月22日 さいたまスーパーアリーナにて撮影)


