The Whoがやって来た!~The Whoとマーシャル
すでにThe Whoの初の単独公演をご覧になられた方々、いかがでしたか?
1976年、まだ音楽よりも映画に夢中だった中学生のころ、ケン・ラッセル監督の映画『トミー』が日本で封切られました。封切りと同時に日比谷のスカラ座に観に行ったことをよく覚えています。というのも、内容も音楽も年端の行かない子供には十分刺激的だったということもありますが、「クインタフォニック・サウンド・システム」とかいう音声システムの効果がものすごく、普通の映画に比べて迷惑なほど音が大きかったのが最大の要因かも知れません。
これがThe Whoとの出会いでした。それから付かず離れず30余年…。
2004年、「Rock Odyssey」の時、ロジャーの"See me, feel me"の歌声が聴こえた途端…涙が出ました。今回は何が出ちゃうのかな?早く観たいな。
さて、ピート・タウンゼンドはマーシャルを使いません。マーシャル・ブログをご愛読の多くの方はご存じのことでしょう。でも、もしピートがいなかったらマーシャルはこの世になかったか、まったく違うものになっていたかも知れないのです。それは、ピートやリッチー・ブラックモアの希望を容れ、ジム・マーシャル、ケン・ブラン、ダッドリー・クレイヴンという3人のスタッフがアンプを作り、ピートがその評価をし、最初のマーシャル・サウンドを決定づけたからなのです。そうして出来上がったアンプがコレです。(第1号マーシャル誕生秘話はまた別の機会に…)
しかし、ピートは1966年からマーシャルを使っていません。「代金を払った払わない」でマーシャルとケンカしちゃったんですね。それから40年以上マーシャルを使っていないのです。恐ろしく強情な人です。現在ではもうマーシャルと全然仲良しで、マーシャルの工場に飾ってあるピートのポートレイトにも"To my ally, Jim(私の味方、ジムへ)"なんて書かれています。そういえば、マーシャルが初の100Wを作ったのもピートのリクエストによるものでした。JTM45/100がそれです。
写真はリイシューのJTM45/100。そして、下が正真正銘のオリジナルJTM45/100です。本当に8×12"キャビ。こでがキッカケで4×12"キャビが誕生し、ジムがはじめて「スタック(stack)」と呼んだ話はよく知られています。
ちなみにジムは一時期、ピートがステージで壊したギターの修理をやっていたこともあったそうです。ピートはまた直して使えるようにギターには致命的なダメージを与えず上手に壊していたとか…。マーシャルも同様で、ピートがギターをキャビネットに突っ込んでいる写真をよく目にしますが、これをやってもフレット・クロスを破るだけで、決してスピーカーに損傷を与えることがなかったそうです。要するに「寸止め」です。まさに名人芸だったらしいですよ。
ところで、The Whoのファンの皆さんなら当然『キッズ・アー・オールライト』ご覧になられていますよね?気が付きました?BBCに出演した時のインタビューで司会者が「まだ、ギャラが少ない頃、あんなに楽器を壊していったいどうやってお金を工面していたんだい?」とピートに質問すると彼はこう答えています。
"It's hard to say. I used to rush into Marshall's Music Shop and steal guitars off the wall. I'd say, "just taking a guitar, pay you Tuesday", and rush out."(言いづらいな。マーシャルの店へ駈け込んで壁に飾ってあるギターをかっぱらってたんだよ。「ちょっと借りるだけだ、火曜日には金を払うよ!」って言って一目散さ。)
字幕はもっとシンプルな翻訳で「マーシャル」という文字は現れませんでしたが、この話を聞いてもピートがマーシャルといかに深く関わっていたかが容易に想像できます。
The Whoがなければマーシャルがなかったかもしれないし、マーシャルがなければThe Whoがなかったかも知れないというお話しでした。(ミッチ・ミッチェルの回といい、こればっかりでスミマセン。でも事実だと思いませんか?!)
実は、The Whoとマーシャルの関連はこれだけではありません。当然、ジョン・エントウィッスルもマーシャルを使っていましたし、キース・ムーンは一時期ジム・マーシャルのドラム教室に通っていたこともあったと聞きます。
余談ながら、私はジョン・エントウィッスルが亡くなった次の日に偶然ロンドンにいたのですが、Denmark Streetという楽器屋街(東京でいえばお茶の水のようなところ)ではもうもっぱらその話で持ちきりで、いかにイギリスでThe Whoの存在が大きいか思い知りました。
ああ、一度でいいから1959の壁の前で右手を振りまわすピートの姿を見てみたい!…これが本当の気持ち…ゾックゾクするやろ~。でもムリだろうナァ…悔しい~です!



