Marshall LAWはマーシャルが年1回発行する小冊子で、人気アーティストへのインタビュー、新商品の情報、世界のマーシャルにまつわるエピソードを満載し、毎年フランクフルトの展示会で配布され始めます。Marshall Blogでは人気のミュージシャンに関する記事を中心にダイジェストで日本語版をお送りします。今回は2008年3月に発行されたMarshall LAW通算第10号の登場です。是非お楽しみください。
Biffy Clyroは1995年スコットランドのエアシャーで結成されたサイモン・ニール(g、vo)、ジェイムズ・ジョンストン(b、vo)そしてベン・ジョンストン(ds、vo)の3ピース・バンド。2007年7月に最新作『Puzzle』をUKで発表。この作品が初登場で英アルバム・チャートで第2位のヒットとなり一気にシーンの中心に躍り出た。数々のフェスティバルへの参加で精力的な活動を展開する一方、MUSE、THE WHO、THE ROLLING STONES、RED HOT CHILI PEPPERS等のサポートなども務めファンを激増させている。サマーソニック2008への出演も決定している。
Biffy Clyro
私がビッフィー・クライロのフロントマン、サイモン・ニールに会ったのは開演前の簡単なサウンドチェックの後。腰かけておしゃべりする時間を割いてもらった。その晩彼らが演奏するO2スタジアムのことなどについて語ってもらったが、彼はロンドンでも有数のロケーションがオフィス街などにならなかったことを大変よろこんでいた。
Marshall(以下M):バンドの連中とはどうやって知り合ったんだい?
サイモン・ニール(以下S):みんな学校がいっしょだったんだ。音楽を始めた14、15歳のころにはいっしょに大騒ぎしようと決心してた。音楽好きになる人は、みんな若いうちに音楽の魅力を発見するんだと思う。我々も早いうちに音楽に惚れこんじまったってワケ。我々はたいそうなプランなんて練ったことはなかったけどきっとこれが生活になるんだと思った。ただすごいアルバムが作りたかったんだ。
M:みんなはいまだに仲がいい友達なのかい?
S:バンドをやっている人なら誰でも仲がいい友達でなきゃこんなことはできないって言うと思うよ。
M:はじめてのギグって覚えてる?
S:ああ。我々はもともとスクリュー・フィッシュって名前だったんだけど、イースト・キルブライド(註:スコットランド、サウス・ランカシャーに位置する新しい街)のキー・ユース・センターで演奏した。7割はオリジナルで残りはカバーを演奏した。そんな初期のころからオリジナル曲をかくことに興味があったんだ。ロック・スターのふりなんかしていなかったよ。ただのミュージシャンでいたし、曲を書くということがとても我々には魅力的なことだった。最初のギグは1996年で授業はサボらなきゃなんなかった。
M:リラックスできるコンサート会場はいい演奏ができると思う?
S:うん。いつだってはじめての会場で演奏する時はその会場のことをまず調べるよね。これまでは、ツアーをするたびに会場のキャパがでかくなってる。最初にアストリア(註:ロンドンのトッテナム・コートロード近くのライブハウス。キャパは1,600~2,000名)で演奏した時にはマジで「オーマイガッ!」状態だった。圧倒されたよ。最高のギグにしたいと思って自分にプレッシャーをかけた。2回目にはちょっとリラックスして楽しめるようになる。それがいつもおもしろいんだ。たとえ上がっちまったとしても、それは、そこにいるから…そこにいたいからこそ生まれてくるエキサイティングな緊張だ。我々はそういう状態に持っていくようにしているよ。
M:初めて弾いたマーシャルのことは覚えている?
S:~サイモンはジェイムズに覚えているかと尋ね、しばらく言葉を交わした後に、100Wのプレキシという結論に達した~
その頃はお金がなくてね、友達からそいつを借りて弾いたんだ。(今までおおよそ6年借りっぱなしになっているけど、この先も返すつもりはないと彼らは言っている。
M:お気に入りのマーシャルのアンプヘッドは何ですか?
S::今、持っているのは1959 100Wヘッドのリイシューだよ。前の古いやつよりずっとパワーがある。前のやつは本当にオンボロでプレゼンスを1ミリ上げただけで悲鳴を上げ始めた。その点、新しいヤツはまさに獰猛でいいね。
M:今は1959にMODEFOURキャビネットだね。どんな感じだい?
S:すごく気にいっているよ。普段はいつもオーバードライブ・ペダルを使っているんだけど、ヘッドとキャビの両方がそれに馴染むかどうかが重要なんだ。その点うまくいっているし、サウンドも完璧だ。あのキャビは我々のスタイルに恐ろしくマッチしているよ。(下の写真は1959SLPとMF280Aの合成です)
M:ニュー・アルバムが爆発的なヒットした去年は君にとってすごい年になったと思うけど、あの大成功には驚いた? あれのおかげでいったいどれくらい忙しくなったんだい?
S:イエス。あの成功ぶりにも、これほど忙しくなったことにも驚いているよ。今まで作ってきたアルバムすべてに誇りをもっているけど、あのアルバムの出来は特別なんだ。新しく契約したレーベルが、こちらの期待に応えてくれて、いっしょに働きたいと思うプロデューサーと働く機会を与えてくれて、効果的なプロモーションを仕掛けてくれたおかげで、すごく有利なスタートを切ることができて勢いがついた。驚くべき1年だったね。あれほどうまくいくなんて夢に見たことすらなかった。本当にたくさんの人があのレコードに共感してくれた。いつでも自分たちが満足できるものをつくってるわけだけど、この3人の人間がつくったものを他の人たちが気に入ってくれたら、それはすごく感動的なことだよね。
M:今まで演奏した会場で最もひどかったところはどこか覚えている?
S:え~と、結構ヒドイところで演ってるけど…タンブリッジ・ウェルズ(註:イースト・サセックス州境のロンドンにほど近いケント州の街)の時はヒドかったな。でもそこで何回もいい演奏もしたよ。会場は以前公衆トイレだったところで、今もその臭いがするんだ。ま、いい会場がいい演奏を生み出すワケでもないけど。アメリカでの「ワープ・ツアー」の時なんか巨大なスタジアムのよこの駐車場で演奏したよ。そこには日除けがなくて気温は100℃くらいに感じたよ。隠れるところもなくて燃え盛る太陽のしたでプレイしたんだ。そのツアーではしたこともない辛いギグが2、3回あったよ。
M:ジョエルとは、忘れられない思い出になった?
S:ああ、思い出してみるに楽しかったな…でもシンドイ頃でもあったよ。
M:最もあなたに影響を与えたミュージシャンは?
S:まず最初に我々をインスパイアしてくれたのはニルヴァーナにウィーザー。今でもそう。サウンドガーデンも重要なバンドだ。『Superunknown』にはへヴィ・ロックにしてヘンテコリンな楽器のアレンジが施されている。よく我々はニルヴァーナと比較されるんだ、3ピースバンドだからね。でも音楽的にはサウンドガーデンの方が比較しやすいかも。サウンドガーデンの曲を演奏しようとしても彼らのようにうまくいかないよ。そこが魅力的なんだ。
M:どこで演奏するのが好き?
S:お気に入りの場所はいくつもあるよ。自分たちのショウをする時はロンドンはホームのような感じがする。パリもそうだね。そういう場所だとリラックスできるし、結果ギグもエンジョイできる。ドイツでもフランスでもアメリカでも納得のいく演奏をしたことはあるけど、やっぱりホームが一番だよ。
M:去年、君たちはグラストンベリー、’T’ in the Park(註:スコットランド最大のロック・フェスティバル)、レディング/リーズのような大イベントで演奏したよね? どんな感じだった? てんやわんやって感じじゃない?
S:まったく、その通り。でも、みんなと一緒に楽しく過ごせたよ。’T’ in the Parkはいつも素晴らしい。レディングが一番だった。あの時はワープ・ツアーから帰ったばかりだった。アルバムを出してからしばらくイギリスを離れていたんだ。アルバムの評判がいいということは聞いていた。レディングがどれほど熱いものかは知らなかった。テントはもう満員状態で…。我々はそこで人生最高と思われる演奏をしたんだ。出番の最後で俺はギターを火にくべた。今までで最高の演奏だった。観客も燃えまくっていたしね。いい演奏が終わってメンバーと目を合わせ、Wow!って思う。その瞬間、なぜ音楽をやってるかがわかる。演奏が終わった時、「ひどい演奏だ!」って思うことほど最悪なことはないね。
M:もし、ステージでいっしょに演奏できるギタリストを選べるとしたら誰がいい? 故人でもかまわないよ。
S:ジョシュ・オム(Queen of the Stone Age)がバンドに重みを増してくれて最高にカッコよくなるだろうな。ベルベット・リボルバーと演奏したことはあるよ。スラッシュがバンドにいたらいいね。彼は伝説だよ。彼ら2人が最高にイカすギタリストだと思う。
M:イギリス、ヨーロッパ、アメリカのツアーと4月まで本当に忙しいようだけど、その方がいい?
S:ああ、最高だよ。最初の3枚のレコードの頃は何カ月も先までツアーのスケジュールがわかっているなんてことはなかった。バンドとしては知りたいことだけどね。今から4月まで3日しか家にいることができなくて、もっと時間があればいいと思う。でも、そのかわりスゴイこともあるんだ。Queen of the Stone Ageとヨーロッパをツアーするし、またアメリカにも行くし、はじめて日本でもショウをいくつかやるんだ。だから、バンドをやるんだね。自分たちの音楽を持って行ってあげないと聴けない人たちのために世界中を回るんだ。日本へのツアーは間違いなくエキサイティングなものだろうな。日本語のフレーズ・ブックももう用意したんだ。
M:熱心なサッカー・ファンだよね? 今、好きな選手はいる?
S:そう! 大好きなんだ。そうだな、ルーニー。Pro Evo Soccer(註:サッカーのゲーム)をしょっちゅうやるんだけど、その中で彼は完璧だよ。でも俺は(註:グラスゴー)レンジャース・ファンだからアリー・マッコイストが好きだ。
M:次にビッフィー・クライロをどうしたい?
S:ただ世界中をツアーしてレコードを作って、というのが楽しいな。ショウをやるのは素晴らしい。でも自分にとって一番楽しいのは音楽をクリエイトすること。レコードを作って音楽をクリエイトできる限りはそれを楽しみたいね。音楽を作って世界中を回れるなんてまったく素晴らしいことだよ。