DOUG ALDRICH(ダグ・アルドリッチ)のMarshall LAW
Marshall LAWはマーシャルが年に1回発行する小冊子で、人気アーティストとのインタビューや新商品情報、世界中のマーシャルにまつわるエピソードを満載し、フランクフルトの展示会で配布され始めます。
Marshall Blogではオリジナルの英語版Marshall LAWから人気のミュージシャンに関する記事を抽出してその日本語版をお送りします。今回は2008年3月に発行された通算第10号のMarshall LAWをお送りします。
トップバッターはVintageModernを武器にWhitesnakeで暴れまくるダグ・アルドリッチの登場です。
SNAKE, RATTLE 'N' ROLL
デヴィッド・カヴァーディルは、数々の優れたギタリストと仕事をしてきた――リッチー・ブラックモア、故トミー・ボーリン、バーニー・マースデン、ミッキー・ムーディ、ジョン・サイクス、エイドリアン・ヴァンデンバーグ、ヴィヴィアン・キャンベル、スティーヴ・ヴァイ、ウォーレン・デ・マルティーニ、レブ・ビーチ、そして彼の最新のギター・ヒーロー……それはワン&オンリーのダグ・アルドリッチだ。
「ダグ・アルドリッチ? あいつは超強烈な“フィドル弾き”だね。チョップスも持ってるし、トーンも、テイストのよさもある――あいつは本物だ。間違いなく超一流だよ」
こんな賞賛の言葉は、誰に言われてもうれしいものだろうが、唯一無二のザック・ワイルドの口から出たとなると、まったく別の重みをもつ。ザックは人をよくほめる……ただし、賞賛に値すると思った相手しかほめないし、その基準は高い……かなり高いレベルじゃないとほめたりはしない。
そう、ダグ・アルドリッチは、ザックが挙げた3つの条件、チョップス、トーン、テイストのすべてを兼ね備えた卓越したプレイヤーだ。この3つがそろったうえに、“Xファクター(未知の要因)”と呼ばれるダイナミックなステージ・パーソナリティが加わるのだから可能性は無限大だろう。
ダグはその4つすべてを持っている。だからこそ仲間の尊敬を集めている。それゆえ近年になって彼は、ロック界で最も敬愛される伝説的シンガーのふたり、ロニー・ジェイムス・ディオとデヴィッド・カヴァーディルがまっさきに声をかけるギタリストになったのだ。
「ロニーと一緒に仕事ができて、今はデヴィッドと仕事をしているのは、本当に幸運なことだよ。僕は彼らの音楽に育てられたんだからね」とダグは言う。「ふたりとも、すごく特別で時代を超えた、天与の声を持っているんだ」
ダグは11歳の時に演奏を始めた。「妹がクラシック・ギターと、基本のコードやシングル・ノートのメロディが載ってる本を持ってたんだ」と彼は振り返る。「それを使って練習を始めたら、すごく楽しかった」数カ月後、ダグはエレクトリック・ギターに乗り換えた。その理由は単純で、誰にも反論できないものだ。「クラシック・ギターじゃ、ジミー・ペイジやジェフ・ベックにはなれないからね!」このふたりのブリティッシュ・ロック界のアイドルの他に、ダグが早い段階で影響を受けたヒーローには、クラプトンとヘンドリックスがいる。
「そのあとで知ったのが、リッチー・ブラックモア、トニー・アイオミ、マイケル・シェンカー、ゲイリー・ムーア……そしてもちろんエディ・ヴァン・ヘイレン、それから最後にすごく大きな影響を受けたのがランディ・ローズ。だいたいは耳で聞いて覚えたよ。当時は今みたいにいろいろなビデオや本はなかったからね」
エレクトリック・ギターを手にしたダグは、すぐにバンドで演奏しはじめた。「近所の友達がドラムスを持ってて、もうひとりの子を誘って、3人でバンドを始めたんだ。最初はコード3つのリフでジャムをやった。最初に覚えた曲は『スモーク・オン・ザ・ウォーター』。バンドの名前はなんと、『パープル・ヘイズ』だったよ!」
「とにかく演奏しまくってた。他のギタリストに影響を受けながら、少しずつ真剣になっていったんだ」とダグは続ける。「それで、高校を卒業した時点でカリフォルニアに行くことにした。そのころ僕が住んでたフィラデルフィアには、自前のミュージック・シーンがなくて、コピー・バンドばっかりだったから」
この大胆ではあるが珍しくはない決意を現実にするため、ダグはカリフォルニアにあるコミュニティ・カレッジに入学する手続きをしてから荷物をまとめて西へ向かった。
「でも授業には、ぜんぜん行かなかったね」と彼は告白する。「LAで活動してるバンドに入る努力を始めたんだ」ダグはその紛れもなく優れた腕前のおかげで間もなくLAのミュージック・シーンで評判を上げ、ライブのプレイヤーとして引っ張りだこになっただけでなく、地元の楽器店でギターの教師としても活躍した。「80年代の初めごろは、みんながギターを弾きたがってたみたいだったよ!」と彼は言う。「週に70人くらい若者にレッスンをして、夜のグループ・レッスンもいくつか教えてた。初めてギターで稼げるようになったんだ」
この時期に彼はギターをフルタイムの仕事にする決意を固めたのだろうか? 「プロになりたいって、今でも思ってるよ」と彼は笑う。「とにかくギターが大好きで、音楽は僕の人生と幸せになくてはならないものだけど、それで生計を立てようと本気で考えたことはないんだ。『これを仕事にしようと決めたのはいつですか?』とよく聞かれるけど、『決めたことはない』と答えるしかないね。僕はただギターを弾いているだけで、それでお金を稼ぐ機会に恵まれた。でもこれで生計を立てることができなくたって、同じように演奏を続けていたよ」
ダグが最初にブレイクしたのは80年代半ば、ライオンという彼のバンドがレコード会社と契約した時だ。「ライオンは僕の子どもみたいなものだ」と彼は言う。「本物のレコードとビデオを作ってツアーをしたのは、あの時が初めてだったからね。あのバンドでは、最高のレコードを作ったけど、レーベルが僕たちをあまりサポートしてくれなかったから、解散することになってしまった」この時からダグは“セッションをいっぱい”やりはじめ、ハリケーンやハウス・オブ・ローズとアルバムを作り、ツアーをした。また、ライオンのシンガーと一緒にバッド・ムーン・ライジングというバンドを結成した。ライオンと同様、このバンドは日本とヨーロッパの一部でヒットした。その他にも彼は評論家に高く評価されたソロ・アルバムを2枚発表した……
「そんなことをいろいろやってたら、2001年に、ロニー(ジェイムス・ディオ)から電話があったんだ」とダグは言う。「それまでも好きなことをやって暮らせてハッピーだったけど、ディオとやるようになって、それがフルタイムの仕事になった」
ロニーとのレコーディングやツアーによって、ダグはスポットライトを浴びるようになり、大勢の人間が彼の才能に圧倒された……そのひとりがデヴィッド・カヴァーディルだった。そして、ディオが休暇に入ると、デヴィッドがホワイトスネイクにダグを誘った。「彼に仕事をオファーされて、すぐにとびついた。80年代半ばからずっとホワイトスネイクの大ファンだったからね」とダグは語る。
いくつかのツアーで成功を収め、『イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト』という傑作ライブ・アルバムを発表したあと、プレイヤーとして、作曲家としてのダグの才能に感銘を受けたデヴィッドは、ダグと一緒にホワイトスネイクの新作に取り組むことにした。「一緒に曲作りをしてみたら、すごくうまくいって、ふたりともすごく盛り上がって、そこからどんどん発展していったんだ」とダグは言う。そして生まれたのが、ホワイトスネイクの新作、『グッド・トゥ・ビー・バッド』というアルバムだ。
この待望のニュー・アルバムの出来は? 「昔からの頑固なホワイトスネイク・ファンが大勢
いて、そういうファンはムーディ/マースデンの時期が大好きなんだ。僕もそうだよ。クラシックなホワイトスネイクのサウンドだね」とダグは語る。「その後デヴィッドは、爆竹みたいなギタリストのジョン・サイクスと手を組んで、1987年にあの強力なアルバムを発表した。あのサウンドが好きな人も多い。それで僕にプレッシャーがかかった。どうしたらこの2つをうまく合体させられる? クラシックなホワイトスネイクと、80年代末に大ヒットした、もっとモダンなサウンドのバンドのハイブリッドを作るにはどうすればいいだろう? 2つの橋渡しをする音楽的な方法を見つけることが僕の目標だった。僕たちはそれをうまく実現したと思うよ。ヘビーなブルーズでありながら、モダンなサウンドだ。このアルバムのデヴィッドはすごいよ。ものすごいボーカルだ。このレコードがどう評価されるかにかかわらず、デヴィッドと一緒に曲作りをして、あの声を聞けたことで、ものすごくインスピレーションを得たし、僕にとっては最高に楽しい時間だった。彼のスクラッチ・ボーカルを聞いただけで、すごく感動した。彼から出てくる声が、とにかく強烈なんだよ」
ステージとスタジオ両方でダグが愛用するアンプは、VintageModern 2466。「マーシャルはたくさん持ってるよ――既製品もあるし、改造版もある――それぞれに使い分けてるんだ」と彼は言う。「どんな場面にも使える初めてのアンプが、VintageModernだった。ほんと、名前のとおりだね。あのクラシックでありながらユニークなマーシャル・サウンドは、初めて体験するものだった。それに、前にマイクを立てたら、とにかく大声で吠える。強烈なんだよ! 30年以上前から頭の中で聞いていたサウンドをこのアンプが現実にしてくれた……それも、箱から出してすぐにそうなんだから、ビックリだよ!」
ホワイトスネイクの新盤発売と、目まぐるしいツアー・スケジュール――その中には、デフ・レパードとともにイギリスを回るダブル・ヘッドライナー・ツアーも含まれている。ダグと彼が頼りにするVintageModernにとって、華々しい1年になりそうだ!


