Marshall LAWはマーシャルが年1回発行する小冊子で、人気アーティストへのインタビュー、新商品の情報、世界のマーシャルにまつわるエピソードを満載し、毎年フランクフルトの展示会で配布され始めます。Marshall Blogでは人気のミュージシャンに関する記事を中心にダイジェストで日本語版をお送りします。今回は2008年3月に発行されたMarshall LAW通算第10号の登場です。是非お楽しみください。
Marshall LAW日本語版の2番手はThe Answerです。
「イギリスは日本に比べて人口は半分、国土は2/3。しかし、話がロックに至るやその厚みは日本などまったく比べ物にならない」という話しを聞きます。それを裏付ける現象のひとつがThe Answerの登場ではないでしょうか?時代が変わりどんなにテクノロジーが進化しても、どんなに音楽が変わろうとも、60年代のブルース・ロックのDNAを継承し、70年代ロックの文法をキチッと学び、自分たちの音楽に昇華させているのがThe Answerです。オールドファンはその耳慣れたサウンドに鳥肌を立てつつうなづき、ヤングファンはあまり耳にしなかった新鮮な音楽として受け止める。数年前にはThe Darknessがいました。こういうバンドが突然出てきて正当な評価を受ける…だからイギリスのロックはおもしろい!
The Answerは2000年アイルランドでて結成。メンバーはコーマック・ニーソン(vo)、ポール・マホン(g)、ミッキー・ウォータース(b)、ジェイムズ・ヒートレイ(ds)の4人。ライブ・サーキットで評判を高め、アイルランドの大規模なロック・フェスOxegen Festivalなどにも出演。2005年にはシングル「Keep Believin'」でデビュー。2006年にはディープ・パープルやホワイトスネイクとのジョイント・ライブも実現させた。同年6月、アルバム「Rise」を発売しUKで大きな評判を得ています。
左がデビューアルバム『Rise-FESTIVAL EDITION』。この他にも1枚ものの通常盤もあるが、こっちが絶対におすすめ!ボーナスCDにはエアロスミスの「Sweet Emotion」(このカッコよさがまた尋常じゃない!)や2007年3月来日時の渋谷AXでのライブ音源が収録されているのだ!このオープニング、「Good evening Tokyo city! We Are The Answer!!」の絶叫から始まる「Come Follow Me」には普通鳥肌が立つでしょう?(発売元:WHDエンタテインメント)
そして、やはり注目すべきはポール・マホンのマーシャル・サウンド!「太い、分厚い、力強い」の手本のようなサウンドです。さすがオリンピック・スタジオ録音(ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリンの作品が録音されたところ)。マーシャル・サウンドのおいしいところをしっかりと押さえています。
ポールはVintageModernを使用しており、2006年10月、イギリスのマーシャル工場内のシアターで世界中の関係者を集めて開催されたVintageModernとJVMシリーズの新商品発表会でThe AnswerはVintageModernのデモ演奏を担当しました。残念ながら当日はコーマックの体調が悪く、インストでの演奏となりましたが、目の前で聴いたポールのVintageModernのサウンドは今でも耳に残っています。
それでは、ポール・マホンのインタビューをお送りします。
THE ANSWER
クラシック・ロックのイメージ、クラシック・ロックのサウンド、泣き叫ぶような歌詞、そしてVintageModernを通して発せられるギターの絶叫。
これは誰だ? いや、質問するまでもない。“アンサー”はもちろん、“THE ANSWER”だ。超満員の会場、ボーダーラインでライブの準備をする彼らに話を聞いた。このライブは彼らにとって、ハイドパークでのコンサートのためのウォーミングアップだった。
我々は列車にしばらく揺られてロンドンへ出ると、地下鉄に乗り換えて2、3駅先の駅へ行き、ウエストエンドにある会場のボーダーラインに到着した。
ちょうどサウンドチェックをやっているところで、終わりの2曲ほど聴くことができた。感想は……WOW! 想像してみてほしい。ほとんど無人のボーダーラインで、コーマックがパワー全開で歌い、ポールは華麗な技を見せながらもやすやすとギターを操っている。セッションが終わるころには、もう2度と誰とも会話ができないのではないかと私は心配していた――それほど耳鳴りがしていたからだ!
すぐにポール・マホンが挨拶をしにやってきて、もうちょっと静かなところに行こうかと提案してくれた。ローズ・ヒル・ドライブという、こちらもすばらしいバンドがサウンドチェックを始めようとしていたから、耳鳴りがやまないまま、一杯飲みながらおしゃべりをするため、クローバーという店に移動した。(だがこちらも、あまり静かとは言えなかった!)バー・カウンターでビールを3杯受け取ってから、インタビューらしきものができるくらい静かなところを求めて、店の奥のテーブルへ進んだ。
私はインタビューを録音することにしたが、騒音の中で我々の声が拾えるかどうか、まったく自信がなかった。
話をしながらメモを取ろうかと相談し、それもムリそうだとあきらめてから、私はジ・アンサーが結成された経緯と、バンドのメンバーはまだ比較的若いのに、なぜ60年代末から70年代初めのグループに影響を受けているのかについて質問した。
「最初に夢中になったバンドはAC/DCで、その後はモトリー・クルーやメタリカ、それに80年代初めから半ばのロックにハマったんだ」とポールはアイルランド訛り丸出しで話しはじめた(私はまわりの騒音のことは心配したが、アイルランド訛りのことなど考えもしていなかった。これではまるでお手上げだ!)
「あの連中(80年代のバンド)がレッド・ツェッペリンやクリームやディープ・パープルの話をするのを聞いてそういうアルバムを聴いてみたら、すごく気に入ったんだ。そこからはクラシック・ロックに夢中になっていった。そういう音楽をやりたいと思って、そこからバンドが始まったんだ―ミッキーとオレとで始めたんだよ」
ふたりとも以前は別のバンドにいたよね、と私は尋ねた。「ちゃんとしたバンドじゃなかったんだ。人が入れ替わってたし。でも、バンドを始めようと決めた時、コーマックにボーカルをやらせて、最初にやった曲がフリーの『All Right Now』だったんだ。あの曲を歌おうとしたヤツはたくさんいたけど、みんなうまくいかなかった。コーマックならできるって、最初の小節を聴いた瞬間に確信したよ。その日、みんなで曲作りをしたんだけど、オレたちが作る曲はどれもレッド・ツェップやフリーやパープルみたいな感じだった。自然とそうなったんだ。その当時はニュー・メタルがはやってたけど、オレたちはあまり興味がなかった。オレたちみたいな年代で、こういう音楽が好きなのは不思議だってみんなに言われるけどね」
メンバーが出会ったのはベルファストの大学だった。初期のライブはどんな感じだったか、私は興味をもって聞いてみた。
「機材の使い方を覚えるまでが大変だったね。自分の部屋でやっている時は最高のサウンドだって思っても、ステージに出てみるとまったく違って聞こえるんだ」
「初めてのライブをやった時、チューナーを持ってなかったんだ」とポールは笑う。「チューニングを下げて始めたんだけど、2、3曲やってるうちに狂ってくる。そんな簡単なことを覚えるまでが大変だったね。すごく緊張して、立ってるだけでドキドキした。でも何曲かやってるうちに落ち着いてきて、人前で演奏するのはどんなドラッグよりも強烈な体験だってわかるんだ。最初のライブでそれがわかって、それからは毎回あの快感を再現したくてやってるよ」
バンドの人気は、非常に印象的なデビュー・アルバム『Rise』の名前のとおりに“上昇”した。
いちばんお気に入りのトラックは? 「だんぜん、『Come Follow Me』だね。いろいろな要素がちょっとずつ入ってて、ライブで演奏するとすごく楽しいんだ」
『Preachin’』など何曲かはブルースのトラックだけど、昔のブルースをインスピレーションに曲作りをすることもある?
「それはあるね。ブルースの影響から抜け出すことはできないよ。ロックはブルースに影響を受けてる部分が大きいし。でもオレの場合、影響を受けるのは、自分を表現するやりかたとか、演奏のしかた、歌いかただね――とても心がこもってるんだ」
私はレコーダーのほうをちらっと見て、この会話がちゃんと録音されていることを祈りながら、私のお気に入りのテーマ、ギター・ヒーローに話を進めた。ジ・アンサーがすでに出演したようなステージに出るチャンスをつかむ若手バンドは少ないが、ジミー・ペイジの前で演奏するのは、特に刺激的な経験だったにちがいない。
「サンダーの前座を務めたのが最初だった。最後の曲になった時、ふと舞台のそでに目をやったら、そこに男が立っているのが見えて、ジミー・ペイジによく似てるな、と思ったんだ。ステージが終わって、オレとコーマックが階段を降りる時に、その男とすれちがった。オレたちは顔を見合わせて、『今の、ジミー・ペイジだったよな』と言った。ふたりで彼のあとを追っかけて挨拶したら、彼はオレたちのバンドのことが気に入ったって言ってくれたよ」
私はビールをまたひと口飲んでから、ライブとスタジオ・レコーディングと、アルバムにしたらどちらがいいかについてポールと議論した。それぞれにいいところがあるというポールの意見に私は賛成した。スタジオ・レコーディングは完璧な結果が得られるが、ライブ・レコーディングにはライブ演奏に溢れている生のエネルギーと感情がある。ポールがVintageModernを通して驚くほどクリアな演奏をする時は、なおさらそうだ。アンプの話になり、ポールの最初のアンプは何だったか聞いてみた。
「初めてのアンプは、Park(かつてマーシャルが発売したシリーズ)だったけど、15歳くらいになって、Valvestateを手に入れた。ミッキーと一緒にやり始めたころだ。ミッキーはSUPER LEADを持っててオレより年上だったからオレよりよくわかってるんだろうと思ってた。でも、ベースもギターもボーカルも、全部それ1台につなげようとしてたんだ。だからオレはValvestateを手に入れた。最初のバルブ・ヘッドは、JCM2000だったよ」
ポールはさらに、自分はTSLや1959も持っているけど、VintageModernはまだ家に持って帰ったことがないのだと説明した。それでも、最近の忙しいツアーのスケジュールの中で、すでにかなり慣れ親しんでいると言う。VintageModernのトーンは、彼らの音楽にとても合っているし、とてもレスポンスがいい。
ここでデイヴ(ポールのマネージャー)がやってきて、時間があるうちに食事をすませておけとポールに言った。我々はクローバーの前でポールにお別れを言ったが、そこでサウンドマンのウエインにばったり会った。私がサウンドチェックの時のデシベル数が非常に高かったことを彼に言うと、本番では会場が満員になって、かなりの音は群衆に吸収されるから大丈夫だとウエインは請け合ってくれた。ウエインはまた、VintageModernから得られるサウンドがとても気に入っていると話してくれた。演奏者も気に入り、サウンドマンも気に入り、ファンのみんなも気に入っているんだから、これはいいアンプに間違いない!
我々はボーダーラインに戻り、タブ(Tab the Band)という、有名な父親を持つ3人編成の新進バンド(メンバーのうちの2人は、エアロスミスのジョー・ペリーの息子)とクラシック・ロック・ファンならきっと気に入るローズ・ヒル・ドライブの演奏を聴いた。ジ・アンサーのステージのすばらしさは、あの夜ボーダーラインに来ていた幸運なファンたちが証言してくれるだろう。
終了後もジ・アンサーのみんなと少し話をしたが、彼らがシャワーを浴びにいくというので、我々はまたしてもクローバーへ足を運ぶことになった。