SYU(ガルネリウス)、マーシャルを語る
今や日本を代表するへヴィメタルバンド、ガルネリウスを率いるSyuも大のマーシャル・フリーク。彼のマーシャルへの想いをたっぷり収録したインタビューをお楽しみください。
マーシャルとの出会いはJCM900
YMT(以下Y):月並みな質問ですが、マーシャルとの出会いについて教えて下さい。
Syu氏(以下S):16、17歳の時、練習スタジオに置いてあったJCM900がはじめてのマーシャルです。何の迷いもなくプラグインしました。
Y:どうでした、はじめてのマーシャルは?
S:音づくりの方法もまったくわかりませんでしたが、そのパンチのある音に驚きました。バンドの仲間もウワァ~ってなって。
Y:生まれてはじめてのギターアンプってどんなものでした?
S:通販で買ったギターセットについていたヤツですね。4~5万円位で何でも付いているセットでした。
Y:天下のSyuさんもそんな頃があったんですねェ~。
S:イヤイヤ(爆笑)その小さなアンプのボリュームを目一杯上げて歪ませて弾いていました。そのシャリシャリ感にすっかり慣れちゃって。だから、JCM900をはじめて弾いた時のあの真空管が出すパーンという迫力のある音に驚いたのを覚えています。
Y:その頃はどんな音楽を演っていたんですか?
S:メタルです。Xとか。当時、僕のまわりはX派とBoφwy派に分かれていましたが、両方演ってました。
Y:もうその頃からうまかった?
S:イエイエ、ま、バイオリンをやっていたので他の人たちよりは有利だったかも…。
Y:当時、「Marshall」に対する憧れみたいなものってありましたか?
S:もちろん!どの雑誌を見てもステージの上はみんなマーシャルだし。
Y:どちらかというと日本のアーティストからの影響が大きい?
S:そうですね。
Y:それで、はじめてのマーシャル、JCM900に突入したわけですね。
S:はい。もうその時からミッドレンジが好きで、当然ミドルはグイっと上げめ。トレブルもプレゼンスもグイグイ上げて、ひとりでバッチンバッチンいわせてました。ただ、あまりギターがいいものではないし、ギターとアンプの組み合わせのことなんかわからないし…でもひとりで「最高に気持ちいい」とよろこんでいました。当然、バンドの連中からは白い目で見られました。
プロ活動を始めて
Y:いつプロ活動を始めましたか?
Y:アンプは何を使っていました?
S:JCM2000のTSL100です。発表されてすぐ買ったんですよ。
Y:じゃ初めて自分で買ったマーシャルがTSL100。
S:はい、完全にTSLッコでしたから。
Y:でも、しばらくマーシャルから離れていた時期もあったよね。
S:TSLが壊れちゃって…。
Y:それでまたマーシャルに戻って来てくれたわけだけど、何か発見ってありましたか?
S:まず感じたのはとにかくパンチが効いてる。音の芯っていうのかな。きらびやかな高域。ミッドは立っているし。ノブの多さも魅力なんですよ。Tone Shift、Deepなんかのコントロールも充実してますでしょ。フットスイッチも好き。
Y:それじゃ、はじめてマーシャルJCM900を弾いたときの感動がまた…って感じ?
S:イヤ、その感動を完全に凌駕してましたね。病みつきになっちゃいました。
あこがれのマーシャル・サウンド
Y:この人のマーシャルの音っていいな…て思う人はいますか?
S:初期のイングヴェイ、ザック・ワイルド、島(紀史)さん。島さんの音づくり大好きです。リッチー・ブラックモア。
Y:アンプのコントロールについて教えて下さい。まず目立つのはいつもミドルが10ですね。なにかこだわりがあるんですか?
S: はい。僕は「10から調整していく派」なんです。トレブルがよく出るのはわかっているからすちょっと抑え目にして、ローは上げ目で「体感ロー」を稼いでいます。あとは会場に応じてです。トレブル、ベースは特に。歪みの量も会場に合わせて調節しているんですよ。
Y:ところで、セッティングは?
S:もう基本はワウとチューナーです。
Y:基本的に歪み系のエフェクターはつながないんですね。
S:基本も何も、歪みは全部アンプにおまかせですよ。
Y:VintageModernを使うときはオーバードライブ系を使っていたよね?
S:はい、でもあのMid Boostの使い方を教わってからは無用です。
Y:何か「これがマーシャルだ!」って思い当たることはありますか?例えば「ピッキングした時にこう鳴るのがマーシャル」みたいな…。
S:「クリアな芯」ですね。例えばガツガツと早く刻んだ時でもひとつひとつの音がはっきり出てくる。つまり音に芯があるのがマーシャルだと思う。
Y:何か、古今東西のマーシャルで試してみたいモデルってありますか?
S:全部試したい!特にギターも同じにしてザック・ワイルドのセットを試してみたいな。
Y:彼の音はとてつもなく美しいもんね。
S:「美しい」としか言い表せないですよ!あれだけ歪んでいるのに!
Y:イングヴェイも美しい。
S:そうそう、美しい!
レコーディングとライブ
Y:今度のアルバム(One For All-All For one)はTSL?
S:はい2000です。
Y:レコーディングでもステージでもTSLを使ってきてもらったわけですが、それぞれのシチュエーションで気をつけていることというか、使い分けているようなことはありますか?
S:はい、あります。たとえば、バッキングを録るときには歪みを抑えたセッティングにしたり、というのはあんまり歪ませすぎると全体像がボケる時があるんです。一方、ライブではチャンネルはひとつしか使わない。つまりアンプのセッティングは一切変えずに、ギターのボリュームで音を変えます。また、これができるのがマーシャルのいいところなんです!多チャンネルの意味があまりないかもしれませんが!(爆笑)これからは使い分けていきたいな。
Y:ピッキングのニュアンスとか、ダイナミック・レンジ、レスポンスなんかに関してはいかがですか?
S:使うギターによってものすごく左右されると思うんですよ。マーシャルってそのギターの特徴をどこまでも引き出してしまうでしょ?しかもいい方向に…。レスポンスはどんなギターを弾いた時でも早いと思います。特にいいギターだと木材の鳴りを強調してくれる。それとピックアップが合体した音が出てくるのを感じます。反対にピックアップの音しか出ないと感じるギターもありますよね?
Y:ダイナミックレンジについては?
S:素晴らしい!ピッキングのニュアンスだけで音色はガラリと変わる。あたかもギターのボリュームを操作してかのよう。色々なアンプを試してきましたけど、これは本当にスゴイことだと思う。
ニューアルバムとマーシャル
Y:ニューアルバム(One For All-All For one)でこのマーシャルの音を聞いてくれ!みたいな箇所はありますか?
S:そりゃもう全部ですよ!強いて言えば、8曲目の「The Flame」という曲では歪み抑えてクランチにして、かつギターのボリュームを下げてブルージーな感じに仕上げてみました。もちろんリードチャンネルを使っています。それから、ワウを踏んでマーシャルを弾く。これにハマリまくってます。恐ろしくワウとの相性がいいんです。気持ちいい!ぼくはデジタルがあまり好きではないんですよ。どこまでもアナロギー(?)でいたい。
Y:他に何かマーシャルに関するコメントはありますか?
S:とにかくマーシャルっていうのは、ぼくの感覚ではすべての歪み系ギターアンプの元になっていると思っています。これからもずっとずっと弾き続けていきたいな!

